漫画「絶対信じない」週刊少年マガジン賞を受賞しました。 #創作大賞2024
漫画家のかっぴーです。「左ききのエレン」「ブラパト!」など連載中です。
創作大賞2024で、私の漫画「絶対信じない」が週刊少年マガジン賞を受賞しました。
昨日、その授賞式があり参加させて頂きました!
※動画は本日正午に公開します
私がnoteの賞を頂くのは今回で三度目なのですが、三度目の正直と申しますか、それなりの意図があり応募させて頂きました。
この記事では、その理由について書こうと思います。
良かったらご覧ください。
最初の受賞は、他でもない「左ききのエレン」読切版でした。今回の「絶対信じない」のような短編のパイロット版。
これをきっかけに今はなきケイクスで連載が決定し、何の保証も無い中で勢いで脱サラし、漫画家としてのキャリアをスタートしました。ただただ「左ききのエレン」という頭の中にあるストーリーを描いてみたい一心で。
この読切が2015年9月。もう丸9年が経ちました。
どんなに貧乏しても、この「左ききのエレン」を描き上げるまでは漫画家を続ける。最低でも3年。もしかしたら、また会社員に戻るかも知れない。それでも永遠に続くかのように、後先を考えずに、目の前の情熱に身を任せよう。そんな想いで会社の名前を「株式会社なつやすみ」としました。私の夏休みは9年も続いています。
そして9年経った今年、もう一度noteの賞に作品を出しました。二度目の受賞は22年の「元・天才キッズ動画配信者の末路」(別名義で出しました)というテキスト作品だったため、漫画での挑戦は9年ぶりです。
この9年で生活は一変し「ジャンプスクエア」「ジャンプ+」「スピリッツ」など、自分が読んでいた媒体で連載経験をさせて頂き、会社員歴よりも漫画家歴の方が長くなりました。白髪も増えて、すっかりおじさんになった。
あの頃と比べると夢のような生活です。
それでも、ふと頭をよぎったんです。
漫画家になって失敗では無いけど、まだ成功もしていない。
「絶対信じない」は、「左ききのエレン」がシリーズ累計100万部を超えた数ヶ月後に描いたものです。100万部と聞くと、これからデビューを目指す人達にとっては成功している様に思うかも知れませんが、20巻近く刊行した頃の数字です。悪くは無いが、スゴいとも言い難い絶妙な数字です。しかも、115万部(この数字はよく覚えてます。)辺りで、売り上げがピタリと止まりました。
現在はシリーズ累計333万部を突破していますので状況は変わりましたが、当時は売上が止まった事で眠れませんでした。
来る日も来る日も朝方まで眠れずに、頭だけ冴え切って身体は疲弊していました。しっかりと数字で見えてしまう自分の限界に吐き気がしました。悪くは無いが、良くも無い。これが、浪人してまで美大に進学して入社した広告代理店を辞めてまで手にしたかった成果なのか。本当に、頭がどうにかなりそうな日々でした。
そんなある日、例によって朝方にベッドに入ろうとした時。「絶対信じない」の冒頭シーンが浮かんで来た。何故か分からないけど、これを描かなければいけないと思いました。この感覚は「左ききのエレン」を描いた時と全く同じでした。
物語のプロット(設計図)は、その日の午前中に完成しました。その勢いで第一話を描き始め、5時間で完成。その後、描いてはXへ投稿を繰り返していたので、ほとんどライブペインティング状態でした。SNSの反響も良くて、久し振りに漫画を描いていて楽しかった。
当時のツイートは、以前Xアカウントをアラブ系の方に乗っ取られた時に(これ実話です)削除されてしまいました。ちなみに、これによってフォロー外れてる方が大勢いらっしゃるので、もう一度フォローして頂けると嬉しいです…!
noteに本作を再投稿した理由は、投稿が消えてしまったのが大きいです。
そして、もう一つ。これが創作大賞へ応募した理由でもあるのですが。
「絶対信じない」は「左ききのエレン」とは異なり、リメイクやメディア化までいけなかったからです。
反響の熱量は負けていなかったと感じています。それでもリメイクやメディア化の打診が来なかった。もちろん力不足だったのかも知れませんが「左ききのエレン」は、もっともっと荒削りな状態で発掘してもらえました。本作は自主制作で映画化したいくらい気に入っています。あの時と何が違うんだろうか?
それから2年ほど経ち、エレンも完結して333万部突破。それでも「絶対信じない」の事を、度々思い出していました。あの物語が本当に好きだった。どうして、あれは次に繋がらなかったのだろう?
漫画家は、ひとつの連載に何年も費やします。人生で生み出せる作品数には上限があります。新しい連載も始めたし、これからも新しい作品を生み出すだろうけど、あれだけグッと来た作品はエレン以来で。「絶対信じない」は特別で、捨て切れない想いが募っていました。
そこで「左ききのエレン」と全く同じ条件でやってみて、それでもダメだったら諦めようと思ったんです。つまり、noteで賞を獲る。
もちろん、今回賞を下さった週刊少年マガジンで連載できるかは分かりません。まだ何も決まっていませんが、少なくとも「この作品をうちに欲しい」と思って頂けた事が、大きな一歩です。(ちなみに複数社から賞のオファーがあり、マガジンを選択させて頂きました。)
まぁ、私の溜飲が下がるかは今後の展開次第ですが、チャンスを頂けるのであれば絶対にやり切ります。本気出して本気出して、それからでなければ諦められない。目にみえる形で結果が出なければ、絶対に信じない。
また何か決まりましたら、ご報告します!
この度は、映えある賞を頂きましてありがとうございます。
漫画家かっぴー
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