ファンの「応援したい欲」がついてこれるか?

ネットで話題になり、メディア化する流れは夢があります。ただ最近はそのサイクルが異常に早くなってる気がする。ぼくは作品をメディア化をして頂く事もあるし、前職は広告業界でメディア化に協力する立場も経験したので、どっちの気持ちも分かるんですが、何よりも「ファンのテンション」つまり「応援したい欲」を気持ちよく乗せてあげる事が大事なのかなと、個人的に思います。

分かりやすく言うと、すごく良い雰囲気でデートを重ねて「そろそろ付き合ってもいいかな?」と思ってもらえた頃に「大事な話があるんだ」と切り出し「告白(書籍化)かな…?付き合う(本を買う)のは良いかもな…」と思ってたら「付き合ってくださいだし、結婚しましょう(ドラマ化!映画化!グッズ化!)だし!!!!」と言われるみたいな。気持ちが付いていかない。

もう今時、書籍化の話は「一回バズったら、その日の午後にメールが来る」くらいのスピード感で、とにかく速攻で出したがります。で、ぼくは本に関しては速攻出すのは良い選択だと思います。本を買う行為が直接作者にお金を渡す行為だとみんな知って居るので、手元に置いておきたい以上に「今はテンションが上がってるから、作者に御礼をしてもいい」と思ってもらえる。ぼくも読者としてそう思うので、noteとかはそれがもっと直接できるからいい。良いと思ったら、すぐに500円とか渡せる。これは500円の本を一冊買ってあげるよりも、10倍の支援になります。(印税が10%だとして、厳密にはnoteの手数料もあるので…ほぼ10倍)

だから、とにかく温まったファンのテンションの受け皿として、本を速攻で出すのは大正解かと。ただ、これはコンテンツ単位で見た話なので、作家単位で考えるなら慎重にした方がいいかも知れない。もしも、そのコンテンツが初めてのヒットで、今後そのヒットを続ける自信が無いのなら、すぐにお金に替えない方が良い可能性もある。ファンがお金を払う行為は、表現が難しいけど「溜まった熱い気持ちを放出する行為」なので、ちょっとアレに近いと思ってて(察してください)つまりは一回発散すると「あー、良いコンテンツだった」と賢者タイムがきてしまう可能性があります。もうとにかく、次いつ来るか分からないビックウェーブをマネタイズしたいんだと思うなら、速攻本は出すべき。てか、その本がバカ売れすりゃ次もあるから。

先日クラファンで5300万円のご支援を頂いた原作版エレンなんかは、2年前から「紙の本にしてくれ」ってずーっと言ってもらえていて、その時は計算でも無く単純に「リメイク版あるし」と思ってやらずに来たんだけど、そのクラファンを2年前にやってたら1000万円も集まって無かったと思います、分かんないけど。早過ぎた気がする。

もちろん溜まりに溜まって、時間が経ち過ぎると想いは風化するので、時期を逃すと作家にお金が入りませんけど、誤解を恐れずに言うなら「せめて半年くらいは風化しない〝応援欲〟でなければ、そのコンテンツでは食っていけない」と思います。だから、逆に「長期的な食い扶持じゃない」と速攻でマネタイズするのは、正解だとも思います。さっさとお金にして、次だ次ってやっていくのも今風だと思う。

それで最初の話題に戻りますが、応援したい欲にも段階があって、映像化などのメディア化は、既存のファンだけを喜ばせるものでなく新規に広めるためのものなので「私が好きなものが、もっと広く知られる!」という親心さえ芽生える段階にならないと、なかなか既存ファンが喜べない。だから、付き合いたての彼氏が夢を追いかけて海外に行っちゃうみたいな、なんでしょうか「いや、今は二人の時間をー!!」みたいな?分かりますか、分かりますよね。でも付き合ってしばらく時間が経って「オレには夢があるんだ」てな話が日常的にちらちらあって「…オレ、やっぱり…いや…でも…」

「何?最近のあなた、変よ?」

「オレ…オレさ…」

「言いたい事があるなら、言って。私、受け止めるから。」

「オレ…オレっち…」

「オレっち?」

「オレっち…ニューヨーク行きたい」

「オレっちがニューヨークに?」

「ニューヨークで寿司職人になるんだ!!」

「SUSHI…!!!」

みたいな、そういう段階を踏んだら応援したくなりますよね。ぼくはなります、よく分かりません。そんな感じに思いました。


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