ラッキーと実力。
何か変だなと思っていた事が、少し分かったので自分のためにも書きます。
他の漫画家さんなどの作り手と、この手の話をした事が無いので、実はみんなそうなのかも知れないけど。ぼくは自分の意図した事が伝わって、初めて達成感があるんだと思いました。
これだけ書くと、そりゃそうだろって話なんですが、真逆の事態を想像してみてください。例えば、腐女子の方々に気に入ってもらって思わぬ所で爆発的な人気になったとします。作者は意図していないけれど、もう重版に重版を重ねて億単位で印税が転がり込んできて、もうマンションにマンションを重ねて、タワーマンションになったとします。その時、達成感は得られるのだろうかって。
これは極端な例です。意図しない売れ方レベル99の話。でも、意図しない売れ方レベル3くらいの事態は、すでに実体験としてあります。
身も蓋もない事ですが、もちろんレベル99まで行ってしまえば振り切って満足できるかも知れません。都内にタワーマンション持ってたら、もうアリに思えてしまうかもしれない。また、金持ちの成功者と貧しいながら誠実に活動する者を容易に対極のものとして想像するのも、浅はかだと思います。本当に良いモノを作れば、金持ちになれると思っているので。
この辺の事を考え始めると、何をモチベーションに活動するのかって話と、具体的に年収いくら欲しいんだよって話を、健全な30代前半男性として決めておかないといけないと思う様になりました。
まず、分かりやすいお金の話になりますが、ぼくは脱サラして漫画家になる時に「今(サラリーマン時)の年収を下回ったら、即サラリーマンに戻る。」と決めました。これは、今も変わらず思っています。で、この金額は変動してしかるべきだと思っています。つまり、サラリーマンは年収が上がるものだからです。多くの企業は、年齢によって。この考え方自体が古いと思われるかも知れませんけども、そういう給料体系の話では無く。真っ当にサラリーマンとして生きていたら貰えたであろう、パラレルワールドの自分との対決なのです。
お金の目標が見えてくると、さっきの両極端なタワーマンションの話に、一本の目安を立てる事ができます。タワーマンションは要らないけれど、貧乏も困る。大体、間のこの辺りだなって。
この目安が何に役立つかと言えば、自分の意図しない売れ方をどこまで許容できるかという話に繋がります。これくらい稼いでいれば満足なので、ここは踏ん張って受け入れないでおこう、とか。逆に、もう少し稼ぎたいから、ここはアリとしましょう、とか。
それを守りつつ、自分の中に法律を作って、その上で自己実現としてのモノ作りをしていきたいと思っています。で、先に挙げた「何をモチベーションにするか」ですが、ぼくはやっぱりコミュニケーションとして漫画を描いているので、意図した事が伝わって欲しいなって思います。
これは難しい話で「もっと良いんだぞ」って事と同じくらい「そこまで良くないぞ」もあるんです。これは、本当に難しいです。ぼくも好きな漫画や映画が、個人的な事に結びついて価値が爆上がりする事があります。例えば、初恋の時期に聴いたラブソングは、もう価値が100倍くらいになっている。もちろん、創作物はそういうものです。大事な事は作品の中では起こらずに、受け手の心の中で起こるはずです。その時に、感動するんだと思います。
でも、それはラッキーな事であって、実力では無い。ぼくは、まぐれ当たりのホームランをかっ飛ばした時に「有難い、僥倖!」とは思っても「生まれてきて良かった!」とは思わない。生まれてきて良かった!と思える、ぼくのためのドラマは「言いたい事が正しく伝わった」時にしか起きません。
その点で、ぼくはラッキーさでは自信があります。ここ2年くらいのぼくは、本当にラッキーでした。仕事に関してはラッキーが界王拳20倍くらいになっていたと思います。何か、人生の中で特別な期間に居るんだと信じられるくらいにラッキーでした。でも、それよりも、たまに起きる「伝わった」という実感の方が、何万倍も生きてる実感がしたんです。
これは、もしかするとぼくがデザイナー出身だからかも知れません。デザイナーは意図した情報を、意図した速度で、意図した重さで伝えないといけません。それがキッチリとハマった時に、良いモノを作ったなと思える。
つまり、ぼくは自力を高めないといけないなと思っています。そういう足腰が出来上がった上で無いと、ラッキーも喜べない。今は、やっぱりまだまだ漫画を描き始めて2年のボンクラです。もっとネームを上手く作りたいし、伝わる様にしたいと思っています。
最近は、WEB漫画というよりは、コツコツ毎日ネームなどを作って準備している所です。アントレースとか。それを、早く皆さんに読んでもらえる様に、頑張らなきゃなと思っています。
あと、原作版の左ききのエレン関連も、コツコツやってます。もうすぐ見て頂けると思います。
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