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足助のおばさん 田舎暮らし 130

先日、私の結婚式の様子を書かせていただきましたが、足助では冠婚葬祭すべてが派手です。普段の暮らしはつつましくして、そういうときにぱっとお金を使うのが常識です。
我が家には娘と息子が授かりまして、それぞれ誕生から1カ月でお七夜のお祝いを盛大にやり、初節句もまた盛大でした。盛大といっても、我が家自体が大きいので自宅でとり行いました。
おそらくお七夜というのはその名の通り、生まれて1週間に身内で執り行う儀式だと思うんですが、我が家の地域では1カ月ごろに近所や親せきを招いて行います。首もすわらない赤ちゃんを「うぶぎ」という小さなお着物でくるんで、手から手へと抱いてリレーしていきます。母親になりたての私には、ひどく乱暴な儀式だと思いました。
この「うぶぎ」も呉服の一種ですので結構値が張るのですが、大変だったのは初節句です。あの頃はバブルも絶頂期、雛段も7段どころか8段飾りを売り出す業者もあるほどで、実家の両親も軽自動車が1台買えるくらいの立派な雛段を買ってくれました。
息子のときには、五月人形と武者のぼりです。武者のぼりといってもイメージのわかない方もあるでしょう。普通なら鯉のぼりだと思うんですが、鯉のぼりはおばあさんの実家とか、血縁の濃い親せきからいただきますので、私の実家からはオーダーメイドの武者絵を描いた5メートルくらいののぼりを作ってもらいます。のぼりの上部には、嫁ぎ先と実家の家紋をそれぞれ黒と赤で染め抜きます。
余談ですが、この辺では「家を継ぐ」ということがいまだにとても大事なことなので、男の継ぎ手がいない場合には、娘に婿をとって家を継ぎます。なので、意外に旧姓のままの女性も多いんですよ。その場合には、赤い家紋が上で黒い家紋が下で、お婿さんの実家からのぼりがきます。
しかし、本当に大変なのはこれからです。段飾り雛は、スチールの折りたたみ式の段で組み立てればいいんですが、それ以外にも「藤娘」とか「潮汲み」とかのガラスケース入りの日本人形が親類縁者から贈られてくるんです。これを段飾り雛の横に積み重ねるんですが、その数13、まるっきり部屋が2つ費やされました。五月人形には鯉のぼりのお家もあるのでさほどではありませんでしたが、それでも5つありましたね。まん中になる段飾りが貧弱だったら本当にみじめなことになるところでした。
今足助の町並みは「中馬のおひなさん」で賑わっています。一つ一つのお雛様にそれぞれ歴史があることと思います。(2012年2月19日 記)

(元ブログ 初節句: Here Come the 足助のおばさん (asukenoobasann.com)

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