"中難易度"作譜の魅力……という名の己譜面語り。
はじめに
こんにちは。のらいぬ茶です。
ほぼ活動してないのに改名しました。
UMIGURIの譜面を4ヶ月前に初めて投稿したのですが、何を考えていたのか初代レギュ譜面を作るという奇行に走ってしまい、それ以来全然譜面を作っていないため僕のチャンネルでは未だにNEW要素が登場していません。そろそろギネスとか貰っていい頃合いだと思ってる。
浮上率も下がり譜面も上げていないということで今やこの界隈に僕を知る人はほぼいなくなったことかと思いますが。実はSeaurchinの譜面エディタが登場したかしてないかぐらいの時から活動してるんですよ(古参アピール)。
自己紹介
……とまあめちゃくちゃ影が薄い僕ですので軽く自己紹介しておきます。
名前を"のらいぬ茶"といいます。
界隈の中でも数少ないであろう犬譜面ジャーです。オスです。
SUSPlayerに乗り換えたあたりから結構大人しい譜面を作るようになりましたが、昔も今もずっと某-100のお方が制作される譜面にあこがれ続けています。止められねえんだ。
前文:「あなたは│好きですか?」
最初にSeaurchinが生まれ、時を経てSUSPlayerが誕生し、遂にはUMIGURIがリリースされ。
気がつけば、スライダーとエアーセンサーを用いて遊ぶタイプの創作譜面ソフトの歴史はそこそこの変遷を重ねつつあります。その過程で、スライダーとエアーセンサーを用いて遊ぶタイプの創作譜面ソフトで実際に譜面を作り遊んでいる方々(以下、うみぐりゃー)は増え続けてきました。多分ね。
創作譜面の"イイ"ところは、「千差万別であり自由、自己表現ができる」ところだと思います。
創作物ですから、たとえ同じ曲であっても譜面を作る人が異なればその内容はまるっきし違います。もちろん感性が似ている方であれば同じような配置を繰り出すこともありますが、そこにも些細な違いが生まれるものです。
どんな曲でどんな譜面を作るのか、どれほどの難易度を目指して作るのか。これらを自由に・好きに決めて作ることが出来る。それが譜面創作という活動です。
今回の記事では、そんな中での「好き」をお話しつつ、自分の譜面をこれを機に振り返って紹介していこうかなと思います。
本文①:「あなたは"中難易度│"が好きですか?」
のらいぬ茶は、中難易度の作譜が大好きです。
ただ漠然と「中難易度」という言葉で説明すると認識に違いが生まれるので、もう少し詳しく話すと。
音ゲーにおける「難易度」という言葉には2つの軸があり、それは「(種別としての)難易度」と「レベル」です。
前者は要するにEXPERTとかMASTERみたいなやつ、後者は譜面ごとにつけられる細かい難しさの表記ですね。
んでもって。
のらいぬ茶が取り分け好きなのが、「EXPERTの中でもかなり難しい方の譜面」「MASTERの簡単〜ちょっとやりごたえがあるぐらいの譜面」です。この記事ではこれぐらいの難しさな譜面を"中難易度"と表現して話を進めます。
創作譜面には「高難易度」が多い?
体感としてその感覚があるだけで、具体的なデータがあるわけではないですが。しかしやはり、いわゆる創作譜面の界隈では比較的に高難易度な譜面が多いように感じます。ここでいう高難易度はしっかり「MASTERでレベルが高い譜面」です。
このような傾向を実際どうあれ僕が感じているのは、高難易度の作譜がそれこそ自由であり、且つ完成したときの達成感が半端ないからだとふわふわ考察しています。
高難易度譜面は、もちろん例外はありますが概して物量が多くなりがちです。その背景には、譜面を装飾して盛り上げる過程でロングノーツによる装飾を多く施すことや、単純にタップノーツの密度がエグくなることなどが挙げられます。
そうなれば当然、作譜中の操作はとてつもなく多くなります。数秒間の間に何ノーツ詰め込んでるんですか? って思うぐらいノーツを置きまくります。
最後、完成したときの達成感たるや。飛ぶぞ。
さらにいえば、選曲の時点で高難易度が確定してるパターンもあります。
高難易度になってそうな曲が持つカリスマ性に音ゲーマーは集まってくるものです。その曲を聴き込んでいるうちに「俺だったらこういう譜面を……」なんて妄想が始まって、妄想だけに飽き足らずエディタに手を出して、最終的に譜面を公開してしまう。もちろんこれは高難易度に限りはしないものの、特に創作譜面を始める入口としてはやはり「いかにもムズくてゴツい曲」がキッカケになることが多々あるでしょう。
……といった感じで、作りたくなる動機として強いし、作り終えたときの達成感は凄いし、見た目めちゃくちゃゴツいし、見る方も"甲斐"があるし。
譜面を中心とした盛り上がりが、やはり高難易度譜面では強いです。もちろん作ってる側はそこまで考えてないと思うけど、高難易度譜面が多い要因の1つとしてこれらは存在しているんじゃないかなーと勝手に考えてます。異論は多そう。
それでも僕は中難易度が好き
しかしそんな高難易度の快を差し置いても、僕は中難易度の譜面を作るのが大好きです。
高難易度の譜面よりも制約は増えるし、視聴者の甲斐も減るのに何故中難易度を作り続けるのか。僕自身が感じているその魅力を書きしたためてみます。
本文②:「あなたは"中難易度の作譜"が好きですか?」
この記事で推したい中難易度の魅力を3つ挙げてみます。
[1]程よく縛りがあり、"配慮"させられる
[2]緩急・間を表現しやすい
[3]ときたまいやらしい配置を混ぜるのが気持ちいい
多分探せば色々あるのですが、記事が長くなりすぎても良くないのでいくつかピックアップし、その特徴が如実に表れている譜面と共にこれらの魅力ポイントについて掘り下げます。
ここまで長いこと書いてたけど要するに自作のココスキポイントを言いたいだけだったりする。
[魅力1]程よく縛りがあり、"配慮"させられる
高難易度譜面の場合、譜面配置によって要求される難しさというものはある意味青天井で、WEに突っ込まない範囲で好き勝手出来ます。
ただし中難易度を目指す場合には少し話が変わってきて、やりがいがあるけれど難しすぎない配置というものを実現するためには節々で"配慮"が必要となるのです。
例えば音取り。創作譜面をつくる上では、鳴ってる音をどんなに取ってもいいし、逆に鳴ってない音を取る事だって面白くて良いです。
ですが、作りたい難易度を目指すためには時としてその取捨選択が必要になるタイミングがあります。
参考譜面:Presence I feat. KID FRESINO
この譜面でお話していきます。"Presence I"について、制作開始当初から「この譜面はLv.10~10+に収めるぞ」と決めて作り始めたのですが……。
イントロからAメロにかけての部分、素直に音を取りすぎてはあまりにリズムが難解だし、かといってバッキングの音だけを取っても単調すぎてつまらない。そのため「特徴的な音は拾いつつ、なるべく楽に押せるように」という意識を持って譜面を作っていました。
また細かいところで「あなたには知られてもいいんだけど、でも」の部分。途中に3連16分/24分のリズムが挟まっており、押しやすさで言えば全部16分で慣らしても良かったものの、実際に遊ぶことを考えるとこのリズムを押さないのは勿体ないと感じていました。そこで、敢えてリズムはそのまま残し、区別がつきやすいようこの4音だけ2マスノーツにすることで変化を表現しています。
Bメロから先はオケとボーカルを行き来する音取りに変わります。16分縦連が随所で挟まっていますが、このぐらいの難易度の譜面は「曲を好きな人がチャレンジで触ることが多いだろう」という架空のプレイヤーを思い浮かべ、シンセリードやボーカルなどの1番前にある音を重点的に取ることでわかりやすさを実現しているつもりです。
ちなみにこの曲は、僕が愛して止まないドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』のエンディングテーマです。この記事を読んだあと是非創作譜面やる前にドラマを観てください。
参考譜面:NANAIRO
また、中難易度を作る上では密度の面でも配慮が多いです。
こちらの譜面は先ほどのPresence I よりもレベルは高めで実際のプレイ感も忙しいですが、むやみに難しくすることは嫌だったので
サビは思いっきり派手に行くが、ロングノーツ主体で「理解できればできる」のラインを超えない
誘導は入念に行い、指示に従えば取れる設計にする
中盤はロングノーツのみ、サビ以外での失点の要因を減らす
といったことを意識して、それなりの密度+遊びやすい難易度感の実現を目指しました。
このように、「譜面として楽しいライン」「レベル適正のプレイヤーが歯ごたえを感じつつ遊べるライン」を見極めて作る楽しさがあります。
創作譜面だからそんなイマジナリープレイヤーへの配慮はぶっちゃけ必要ないのかもしれないけど……ね。
[魅力2]緩急・間を表現しやすい
参考譜面:ナミダと流星
創作譜面に限らずあらゆる創作にいえることですが、作品をよりよいものにするため必要なものは緩急と間だと考えています。
緩急をつけることはそのまま作品をまとめて綺麗に仕上げるし、間をつくることは盛り上げたいところとの落差になり受け手への印象を強いものにします。普通に何らかの創作をする人間の方々は常に意識していてほしいこと。
中難易度ぐらいの譜面だと、ちょっと難しめの配置と休憩のユルい配置を同居させやすく、表現としての緩急がつけやすいな~という印象があります。上と下にそれぞれ難易度が控えているので単純に難しさ制御の自由度が高いんですよね。そこの自由度を活用して、譜面の中で手ごたえを感じるパート・易しく曲に耳を傾けられるパートを流れとして用意するのが好きです。
ナミダと流星は、そんな緩急を他よりもやたらとつけてみた譜面です。
Aメロはちょっと優しめ、Bメロはサビに向かっての休息、サビに入るとちょっと忙しい……みたいな曲と連動した盛り上がりを意識してます。
もともと曲の構成が完全なる繰り返しのため、後半で新鮮な体験をしてもらう方法を考える必要がありました。そこで、Aメロ~Bメロでは1番の譜面をベースに振り下ろしAIRやAIR-HOLDを増やしたり、1番でFLICKノーツだったところをEX-TAPに変えてみたりして違いを味わってもらう配置にしています。決して配置を1から考えるのが面倒だったとかではありません
同じような配置に装飾ノーツを付与して繰り返す配置……まあこれをすると楽だな~という側面も正直ありはするのですが。
中難易度でこの選択をするのは難易度調整の面でとても有意義であると考えています。配置をまるっきり変えてしまうと運指を再構築しなければならず、特に初見の状態だとプレイヤーへの負担が大きくなってしまうからです。
そこで装飾を変えて同じような運指でプレイできる配置を置くと、プレイヤーは「初見のはずなのになんとなくできる」という楽しさを味わえるし、誘導の導線としても前半のアンサー的な機能を持つので、全体的に美しい仕上がりにすることができるのです。決して配置を1から考えるのが面倒だったとかではありません
対してサビはあからさまなぐらい違う譜面になっています。
まあ正直言うとこの譜面の場合1番サビの音取りは本家のアンサー音をパk……リスペクトして置いたものなので、2番のボーカル合わせと差異が生まれるのは当然ではあるのですが。さっき語った「繰り返しの魅力」全否定ですね。まあでもこんな感じでおなじメロディーに全く違う音取りをすることができるのもまた楽しいポイントです。ですよね。
[魅力3]ときたまいやらしい配置を混ぜるのが気持ちいい
参考譜面:Streak
愉悦ですよね。
この譜面は元13(現行14)なのでまあ高難易度に片足突っ込んではいるものの今回は中難易度として扱わせてください。
上の動画の0:52~から始まる怒涛のホールド縦連。
縦連判定が全部働くので実際はほぼほぼ何も考えずに取れる配置ではあるんですけど、これを初見でプレイさせられたらブチギレる自信がある。
こういう唐突にトチ狂った配置が出てくる流れ、高難易度の譜面でカマすと「斬新な配置だコレ……」で終わっちゃうんですけど。
中難易度ぐらいの譜面で厄介過ぎないくらいのいやらしい配置を置くと「なんだコイツぅ~~~~~~~~!?」という印象を持たせることが出来ます。めちゃくちゃ気持ちいいです。
参考譜面:Nine point eight
これの2:00~ぐらいから始まる縦連も好き。ブチギレです。
シメ:要するに
……とまあこんな感じで。
僕は中難易度に作譜に対してこういった魅力を感じ、それを譜面に落とし込んで遊んできました。
一通り書き出してみて思ったのは、高難易度と中難易度のそれぞれで決定的に違うのは「プレイヤーの扱い」だなということです。まあそりゃそうか。
高難易度を作るときには如何に易々と好スコアを取らせないかということを考えて作りますが、中難易度のときはちょうどよくプレイできてしかし簡単すぎないという考え方で譜面を作るわけです。パワー調整みたいな視点で創作譜面を作るのがたまらなく好きなんです。
この記事を読んで何となく「このぐらいなレベルの譜面もいろいろ作ってみたいな~」という気持ちが心のどこかに芽生えて、実際作ってくれるとぼくが嬉しくなります。
是非皆さまも中難易度の魅力にハマってみてください。のらいぬ茶でした。