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元インター職員のつぶやき⑧ー他者への敬意

高校生ともなると、一端の大人のような言動が多いから、どこの国でも共通だろう。特に英語は、日本語と比較すると直接的な表現が多いのでギョッとすることもある。

アメリカで強く影響を受けた経験のひとつに「どんな職業であれ、みんな人間だから敬意を持って接することが大切」というものだった。清掃員、スーパー、ファーストフード、ファミレスの店員、スクールバスの運転手、郵便配達員。みんなそれぞれの事情があって、今の仕事に就いている。職業だけで他者を判断しない。挨拶の仕方ひとつだけでも、相手への敬意がわかるということを、ホストファミリーの言動やアメリカでの生活で学んだ。

そういう経験があったから、年が離れた生徒たちにも1人の人間として敬意を持ちながら接してきた。

インターで働いていた頃、わたしは教員でも部活顧問でもなく、一職員だった。9割以上の生徒は「学校の為に仕事をしてくれている」という認識があるから、彼らなりに言葉遣いや態度に敬意を示してくれた。

残念ながら少数の生徒は、「成績を評価するわけでも、部活で評価するわけじゃない、一職員だから」という理由で、言葉遣いや態度に敬意を感じない生徒もいた。思春期真っ只中の10代だし、かっこつけたいところもあったのだろう。

敬意を感じた生徒と、そうでなかった生徒の違いをわたしなりに考えてみると、アイデンティティの確立が大きな要因ではないかなと思う。

アイデンティティが確立出来ていた生徒は、職員だったわたしに対しての言動がきちんとしていたように感じる。自分の長所と短所を受け入れ、ありのままの自分を認めている生徒は、他者に対しても寛容だった。だからこそ「職員の人たちは、学校生活がスムーズに行くよう裏方仕事をやっているんだ。」という感じで、言動に敬意を感じた。

アイデンティティが確立出来ていない生徒は、成績が優秀であっても言動が刺々しい。彼らの承認欲求が強かったんだろうと思う。職員だけでなく、教員に対しても言動に問題がある生徒が目についた。

インターに通っていると、「他人に敬意を示すことの意味」を自らで考え行動する機会が、日本の学校より多いように感じる。時には「他人への敬意とは」ということを、家族で話し合うことが宿題となったりする。子供だけでなく親も「他人に敬意を示すことの意味」を考えさせられる機会もある。日本の学校では、なかなか親子で話し合う機会を与えられることは、インターでの長所だと思う。

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