泣きすぎて痩せた。家の前に一級河川が出来た。「お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課」
死んだら割と音速で成仏すると思う、僕。
「80年生きるぞ」みたいなことを常々書いてる癖にどうなの?って思うけど、長生きする理由がその一点のみなので。勿論、今までみたいな希死念慮がある訳ではなくって、本当にやむを得ない事情以外では死なんぞっていう心意気の話なんよね。
自分の意図してない事態が起こって、結果的に死んじゃったとしたらそれはもう仕方ないと思う。とりあえず80年無理やったごめんとか、お世話になった人に挨拶がとか、色々思うかもしれんけど、そういうのは折に触れてここに書いておけばいいと思う。「あと○年だったのに、、、」みたいな未練は後からどうにもならないので。死後の世界とかあるか分からんけど、あるなら前向きにマッハで昇天したい。
ただやっぱり、「あれがしたい!」とか「こうありたい!」とか、軸がしっかりある人への憧れはある。僕の人としての軸は麩菓子くらいの強度しか持ってないので。少し喋ったら中身がないのが丸わかりだと思う、食感が楽しいだけ。
前置き長すぎ。何の話がしたいのかって言えば最近読んだ本の話なんだけど。さっき書いたみたいな軸のある人たちが一杯出てきて凄く良かったのよね。キャラクターごとの思想というか、これっ!ていう決まった目的がはっきり描写されてて引き込まれた。生き方が真っ直ぐな人って本当にかっこいいと思うんです。悲しいことがあるとすれば、思いを果たせずに死んじゃった人ばっかり、沢山出てくるところですかね。
お迎えに上がりました。
国土交通省国土政策局幽冥推進課
表紙見て買いました。アラサーにもなって、とっつき易い表紙の本ばっかり買ってるの恥ずかしいけど、実際面白かったからセーフ。結局、微ラノベみたいな作品がいっちゃん好き。有川浩とか最高。
ざっくり掻い摘んで書くと、入社式当日に内定先が倒産して路頭に迷った主人公が、色々あって国土交通省の臨時職員になるって話。で、採用された課の業務内容が、「強い未練を持ったが故、成仏出来ないまま国土を不法占拠してしまっている元国民様=地縛霊との立ち退き交渉」。未練を聞き出して、晴らしてあげて、成仏していただきます!っていう。同僚は全員妖怪です。
この設定で面白いのって凄いことだなと思ってて。非日常的な世界観がリアルに溶け込んでる系の話って、リアル側に対する作者の知識や理解がないとメチャクチャ陳腐になる気がする。この本で言うところのリアルっていうのは、タイトルから分かる通り国政とか地方行政、国土開発に関わる部分になる。それらが異常な程詳しく描写されるんよね。
霊的な怪異が原因で工事が進まないとか家の買い手が付かないとかっていう怪談ド定番の話にも、災害復旧工事やら公共工事やら空き家バンクやらが上手に絡んでくる。で、どれも超詳細に描写してる。この本、間違いなく地歴公民の教材として機能する。
あれだ。シン・ゴジラ見た時と同じ感覚だ。あれも、ゴジラっていう非現実的な生き物と相対した時の日本政府がどう動くかっていうのをメチャクチャリアルに描写してて良かったんや。制作にあたって官邸や省庁を取材しまくったらしい。ハマりすぎて映画館で5回見て家で8回見た。
---閑話休題
地縛霊ごとの描写がマジで切ない。それさえ叶えば成仏できるっていう程の強い思いや願いを持ってるのにさ〜、、、みんな死んじゃってるんだよな〜、、、
逆に言うと死んじゃってるからこそ、思いしか無いんよ、元国民様達には。だからみんなメチャクチャ真っ直ぐ。良い霊も悪い霊もみんな真っ直ぐ。儚いし美しいし悲しい。
ただ、主人公の夕霞(ゆうか)はもっと真っ直ぐ。全員未練を晴らして、納得してから成仏してもらうんだっていう信念を持って取り組む。仕事とは関係ない、道端で出会った地縛霊とかの成仏にも全力で力を貸す。
上手くいかないことも一杯ある。未練を断ち切るお手伝いをする中で、今生きている人を一旦ハチャメチャに苦しめなければならない時もある。仕事として取り組む関係上、利害を考慮して嘘を交えながら成仏を促さないといけない時もある。その度に夕霞はどっぷり落ち込むけど、絶対諦めずに前を向く。自分の知識や経験不足だ。先輩達ならもっと上手くやれた。次は同じ思いをさせないって張り切る。どこまでも相手目線。推せる。
そうやって相手の思いや願いの実現に向けて全力で取り組むから、納得できないまま無理やり成仏させられるみたいな奴は出てこない(極々一部のイレギュラーは除く)。殆どはしっかりと思い残しを叶えた上で満足しながら旅立っていくし、そうでない場合もある程度気持ちに折り合いをつけて逝く。そうすると今生きている、所謂残された人たちの心も満たされる。思いと思いが正面からぶつかり合うからこそです。眩しすぎる。
発売済みの6巻まで読み終えました。読了までに誇張抜きで30回くらい泣いた。喫茶店で、一人で。危なすぎ。冒頭で死んだらマッハで成仏するって書いたけど、このシリーズが完結するまでに死んだら無理かもしれない。なんとしても生きなきゃいけない。色々聴いて、色々読んで、書いて残して、80年続けてたら流石に完結しますよね?
もし僕が先に死んじゃうことがあったら、最新刊が発売される度に墓前に備えてください。