「I told sunset about you~僕の愛を君の心で訳して~」が素晴らしい
あけましておめでとうございます。
新年最初の投稿はタイBLレビューです。
なぜかというと、年明け最初に観たドラマが私の好みにドンピシャすぎて、今年はこれでいけということだな、と思ったので。
ということで「I told sunset about you~僕の愛を君の心で訳して~」の素晴らしいところを紹介したいと思います。
※少しネタバレあります。未視聴の方はお気を付けください。
1 丁寧な心理描写
このストーリー、BLの中でも珍しく心理描写が丁寧で繊細です。
ストーリー重視の人におすすめです。
BL初心者でも観られるくらいのライトなBLです。
ストーリー
中学時代にささいなことから喧嘩別れした幼馴染みのテーとオーエウ。
数年後、語学学校で再会した2人は再び秘密を共有できる親友となる。
彼らはそれぞれ気になる相手がいたが、受験勉強をしながら共に時間を過ごすなかで、互いに意識しあい…。
(U-NEXTより)
親友→喧嘩別れ→友達→親友→愛へ
この最後の親友から愛に変わるところの描写が他のBLと一線を画しています。
観ている方はもどかしいんですが、妙にグイグイいかず、展開を急がず、抒情的なのが良い。
純文学のようです。
無言のやりとりが多く、その中に登場人物の気持ちがあらわされています。
台詞だけでなく、動きにもストーリーがあり、画面から目が離せません。
ト書きはどうなっているのか、台本を読んでみたくなります。
タイトルからして素敵。
タイのオリジナルタイトル「 แปลรักฉันด้วยใจเธอ」を日本語訳にした「僕の愛を君の心で訳して」、英題の「I told sunset about you」。
タイトルだけでも登場人物の心の動きがメインなんだろうな、と想像できます。
2 画が美しい
これが1番のおすすめポイントです!!
舞台はプーケット。
さすがリゾート地、ともいえるロケーションの素晴らしさ。
そして、予告編を観たら分かると思いますが、とにかく画が美しく、どのシーンを切り取っても絵になります。
計算されたアングルとシチュエーション、少し褪せた色合い、色彩の華やかさ。
これはナルベート・グーノー監督の味なのか、制作会社Nadao Bangkokの意向なのか。
私は画の美しさに惚れてしまいました。
台詞なく二人の動きだけのシーンが多いのですが、絵を見ているようにずーっと見続けていられます。
3 中華系の華やかさ
タイのドラマにはよく中華系の家が出てきます。
タイドラマを観るとタイでは「華人」(中国系タイ人)がよく出てきます。
同じタイ人なんですが、家の装飾が中華系で、とても華やかです。
このドラマはとにかく画が美しいので、中華系の装飾はより華やかさが増します。
その上、主人公は中国劇に憧れて芸能を目指すので、何度も中国劇が出てきます。
その劇の登場人物の立ち振る舞いが素敵で、タイのドラマなのに、中国劇にも興味をもってしまいます。
4 タイ語と中国語(と日本語)
タイのドラマなのでタイ語ですが、主人公たちは中国劇に影響を受けているのと受験のために中国語を習っているのとで、劇中に中国語がたくさん出てきます。
タイ語の柔らかい響きと中国語の硬い響きが合わさって、何とも言えない心地よさです。
テーとオーエウが海辺でお互いの気持ちを打ち明けるときも中国語の歌で。
タイドラマの中で歌で告白するのはよくあるパターンですが、タイ人が中国語で・・・
このシーン、引き込まれてしまうこと間違いなしです。
タイ語と中国語、そこに日本語字幕がついて、中国語と日本語の表記の違いがまた興味深い。
中国語も勉強したくなります。
5 心に響く主題歌
良いドラマは音楽もいい、というのが私の説です。
このドラマも主題歌が良い!
初めて聴いたときは中国系の演歌なのか?という感じで敬遠したんですが、何度も聞くうちに心に響いてきて、最後はこの曲を聴くだけで涙が出るようになってしまいました。
これぞ、音楽の力!
そして、この主題歌、バージョンがたくさんあって、どれも素晴らしい。
3パターンそれぞれの魅力があり、今回も私はこの3曲をローテーションで聴いています。
まずは、オリジナル。
すごく中国っぽい。
劇中劇の主題歌なのですが、このMVも中国劇のシーンが主に使われています。
このバージョンが回が進むにつれて重く心に響くようになるんです・・・
次に、テー役のBillkin(ビルキン)が歌うバージョン。
これはタイ語なので、他の2曲よりやわらかい感じ。
MVはテー目線の映像です。
この方、歌上手い!
タイドラマの俳優さんは劇中で結構歌を歌いますが、この人は本当に上手です。
オーエウ役のPP Kritが歌うバージョン。
こちらは中国語ですが、PPの声が優しくてオリジナルとは全く違う感じになっています。
MVはレコーディングスタジオで歌ってみた系。
PPはこのドラマのために中国語を勉強したそう。
ドラマの中に、オーエウがこの歌をアカペラで歌うシーンがあり、そこと重なって、グッとくる一曲です。
6 キーワードとしての食べ物
このドラマで頻繁に出てくる食べ物は2つ。
それぞれがテーとオーエウを表していて、興味深い。
そして、おいしそう。
1つ目はテーのお母さんが作る福建麺(ホッケンミー)。
焼きそばのようです。
テーの家は食堂なので、いつも誰かが福建麺を食べています。
2つ目はかき氷。
プーケット名物のかき氷で、オーエウの名前の由来です。
ゼリーのようなものが載っていて、すごくおいしそう。
これがオーエウなのだそう、日本では手に入らないので、食べるにはプーケットに行くしかない。
かき氷がチューレン(ニックネーム)って、タイの呼び名のつけ方はすごいなあ。
7 BKPP
主役の二人BillkinとPP Krit(BKPP)。
この2人がいなければこのドラマは存在しません。
この2人が共演した「My Ambulance」の終了後、この2人の続編を期待する声が大きく、そこで動き始めたプロジェクトがこの作品。
そのドラマの中では片方が死んでしまったので、そのまま続編を作るのが難しく、まったく違うドラマにしたようです。
「My Ambulance」は日本語字幕がなく未視聴なのですが、レビューを見る限りでは面白いようですね。
この2人はその中のサブカプ。
良いドラマは間違いなくサブカプもいいんですよね~。
このドラマはどうやったらこの2人のカップルの魅力が出せるのか考えて作られたようです。
共演者もこの2人との相性を見て決める徹底ぶり。
なので、素敵なストーリーも音楽もすべて後付け。
それで、こんなに素晴らしい作品が出来上がるとは驚きです!!
ドラマのメイキング特別編が配信されていて、それを観ると監督がとことん二人を中心にドラマの見せ方にこだわったのが分かります。
8 監督のセンス
最後まで書いてみて、私はこのドラマを撮ったナルベート・グーノー監督の作品が好きなのかもしれません。
続編も観たのですが、監督が違い、テイストも違ってここまでの感動が無かったので。
ドラマの好きな監督と言えば、アヌチャ―・ブンヤワッタナ監督の「Not Me」や酒井麻衣監督「美しい彼」も独特の画の美しさです。
アヌチャー監督は暗いシチュエーションの中にある人間の芯の美しさ。
酒井監督は光を使ったファンタジーのような演出。
どちらも初めて見た時に衝撃が走ったのを覚えています。
ドラマを観ているとたまに自分の好みにドンピシャの物を見つけます。
その時の監督の他の作品を観てみると、どれも好きなことが多いです。
なので、この監督の他の作品も探してみたのですが、見つからず。
是非、他の作品も観てみたいです。