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愛の香り~I Feel You Linger In The Airドラマと原作小説の気ままな感想 第5話の追記編

どうも、愛の香りのソフトパワーにまんまとハマり、タイの文化や歴史などを空き時間に調べて時間が溶けてしまうnopopoです。

第5話を観た時に私が分からなかったところをXやnoteで呟いてみました。
そうしたらなんと、FFさん方が教えてくださいました!
なんと、素敵なタイ沼✨
みなさんの知識が素晴らしくて、これは私だけが納得して喜んでいるのではなく、たくさんの方にもお知らせしたいと思い、追記編を書くことにしました。

※今回はドラマのシーンに出てきたタイの文化についてのお話で、主要ストーリーとはほぼ関係のない内容です。
 ドラマのシーンの考察なのでドラマの写真はありますが、ネタバレ表記はしていません。
 ここからは、ご自身のご判断でお読みください。

フォーンゲーウのドレスについて

第5話で私が大好きなのは、前回も書いたようにフォーンゲーウの変貌です。
変貌の始まりはこのドレス作り
無料動画でこのシーンが見つからないため、公式Xのが画像をお借りしてそこに書かれているタイ語を翻訳してみたのですが、真ん中の文だけが上手く翻訳できませんでした。

Dee Hup House 公式Xより

それをそのままXで呟いてみました。

それに対してXでいただいたコメントに
「調べていたら良い匂いにするために布を焼くみたいなのもネットで出てきて」
というものが?!
気になってそのサイトを教えていただきま、そこに出てきた「รํ่าผ้า」という単語をタイ語で検索してみると、この鍋で布を煮ていたのは生地を整えるためではなく、香りをつけるための作業だったという事が分かりました!

よくよくタイ日大辞典で「รํ่า」を調べるとこういう意味が書いてありました。

รํ่า
①くどくどと話す、同じことを何度も繰り返す
②強く叩く
③おしろいや衣服に花や香料で芳香をつける
④飲む
⑤泣く

タイ日大辞典より

しかも、よくよくこの写真のXポストを見たら、ちゃんと何やってるのか書いてありました。

Dee Hup House 公式Xより

タイ語じゃ分からないので、書いてあることを日本語で要約すると・・・

フォンケオは何を計画しているのか?
ロバートの心をつかむために衣装を作った?
フォンケオの赤いドレスは、自分で生地に香りをつけ仕立てた。
生地に良い香りをつけるのは古代のプロセスで、さまざまな方法で行うことができる。
密閉した瓶またはチェストに入れ、お香を焚いたり、生の花で香りをつける。
お香は、乳香、アロエ、白檀、焼きキャンドル、黒砂糖、イランイラン、白檀などのさまざまな種類の芳香植物を使う。
乾燥させると香りが生地に浸透し、服を着ている人が立ち上がってどこかに行っても、その香りが床に付いてしまうと言われるほど。

・・・という感じ。

これは生地の調整ではなく、香りづけをしていたんですね!
何て素敵な文化✨
着ている人が立ち上がってどこかへ行ってもその香りが残っているってすごい・・・

その後「รํ่าผ้า」という語を検索し、たどり着いたのが、王室の服の手入れの方法です。

タイの王室の人の服は洗濯技術がまだ未発達だったころから「清潔で、きちんとしていて、美しくて、香りが良い」のだそうです。

お手入れ方法は

①布の量に合わせて大小の容器にお湯を沸かす
②沸騰したら香りのよい植物を入れる
③糊付けの素を入れる
④茹でたい生地を1枚ずつ加え、スティックを使って前後に動かして汚れをほぐし、取り除く
⑤乾燥させる
⑥研磨して光沢を出す
⑦生地をチェストや瓶に入れ、火のついたお香(蝋燭)も入れて蓋を閉め、香りをつける
⑧瓶やチェストに服を入れ、本物の花びらを入れて蓋を閉める

このお手入れ方法、なんだか、フォーンゲーウのやっていたことに似ていませんか?
フォーンゲーウも鍋で生地をスティックを使ってほぐしながら浸していましたよね。
そして、チェストを開けるとドレスの上に花びらが散らしてありましたね。


このお手入れ方法についての動画を見つけました。

動画のタイトルは
การดูแลรักษาผ้าแบบชาววังสมัยโบราณ
Traditional Laundry in the Siamese Court

英語訳を見ると、タイの昔の読み方
「Siamese (シャム)」の「Court(宮廷)」
と書いてあるので、昔の宮廷の伝統的な洗濯の仕方という感じなのかな、と思います。
実際に見て見ると、単なる洗濯ではなく、衣服にする布の手入れの仕方でした。

文字よりも動画が分かりやすいので、お時間あれば是非観てみてください。
内容も良いですが、出てくる女性のしぐさが美しくてずっと観ていられます✨

この動画の内容を簡単に書きだすとこんな感じ。

香りの付いた水で布を洗う

鍋にパンダンやホワイトシナモンなどのハーブを入れて煮出します
布で濾します
香りの付いたお湯に布を浸します
軽く叩いて汚れを落とします
乾かします

香りの付いたお湯で布を洗うというのは初めて知りました。
鍋で煮るのは匂いのついていないお湯で煮沸消毒のイメージがあるので。
香りの付いたお湯で洗うと、洗いあがりがいい香りなんでしょうか?

糊付けをする

小麦粉とタピオカ粉を混ぜたものをお湯に入れます
布を浸します

糊付けにタピオカ粉が入るのがタイらしい。
日本でも天然の洗濯糊は『でんぷんのり』なので、昔は小麦粉とかでんぷん質のもので糊付けしていたんでしょうね。

プレスして折り目をつける

板を使って布をたたみます
機械でプレスします

同じ大きさの板を挟んで折り目をつけていくのが丁寧です。

布を磨いて光沢を出す

貝や瑪瑙(メノウ)などで布を撫でて光沢を出します

貝や瑪瑙は磨くと光沢が出てピカピカになりますが、それで布を撫でて光沢を出すって初めて知りました。
一応日本でも検索してみましたが、日本の着物ではこういう事はしていませんでした。
日本の着物には貝殻の光沢部分を布に張り付ける『螺鈿(らでん)』という技法(繊細な作業がすごいです!)はあるようですが、直接磨くというものは見つけられませんでした。

プリーツを作る

細い板を使ってひだを作ります
2本の木の棒で挟んで一晩おき、折り目をつけます

さっきもありましたが、折り目のつけ方が丁寧です。
動画の中の女性が一つ一つゆっくり丁寧にひだをつけているのが美しい✨


衣服の香りを長持ちさせる方法

香水と香粉を混ぜます
混ぜたものを木製チェストの内側に塗ります
チェストの内側に蝋燭をつけて火をつけます
黒砂糖やナツメグなどを混ぜたものを香炉に入れ、ろうそくの灯を消すと良い香りになります
そのまま閉じて一晩おきます

たくさん良い香りの物を混ぜていれてどんな香りになるんでしょう?
蝋燭の煙の香りって、タイ独特だなあと思います。
タイのお菓子も蝋燭で香りづけしているものがあって、蝋燭の香りは良い香りだとされていると聞いたことがあります。
蝋燭の香りって日本のお香のような物かな?
日本でも匂い袋をタンスに一緒に入れて衣類に香りづけしたりしますよね。
チェストで香りを閉じ込めるというのは万国共通なんですね。
(衣類にもお菓子にも香りづけで使うってあんまり日本で聞かないなあ、と思って日本でお香で香りづけしたお菓子を探したら、お香を練りこんだ餡を包んだ『清浄歓喜団』という和菓子がありました。食べたことないですが、日本でもあるみたいです)

(5)本物の花で香りをつける

ジャスミンやバラなど香りのよい花をそのままチェストに入った布の上に置きます

ドラマの中ではフォーンゲーウがトランクからドレスを出して香りをかぐシーンがあります
とても良い香りがついているんだろうなあ、と思います。

個人的に、この時にトランクの中に散らしてある花びらが薔薇なのが萌えポイントです✨
オープニング映像でフォーンゲーウは一人だけ薔薇のイラストなんですよね。
もしかして、ドレスに薔薇の香りがついているからという伏線なのでしょうか・・・気づいて一人でソワソワしています✨(深読みしすぎ?)


チェストに花びらを散らして香りをつける方法はこの動画が分かりやすかったです

花びらを直接布の上にばらまいているのがフォーンゲーウと同じです

王室の衣服のお手入れ方法を知ると、その素晴らしさに感動するとともに、ドラマの中で庶民のフォーンゲーウがどうしてこの方法を知ってこの方法を試したのか、また新たな疑問が生まれました。
これは、この時代の女性たちの中では良く知られた文化なのでしょうか?
このドレスを仕立てて服に香りをつけるシーンは、普通の生活をしていたフォーンゲーウがロバートの夫人になることで地位が上がり、それにふさわしい服を身に着けることでこれまでの自分と決別するという、フォーンゲーウの決意なのかもしれないなあ、と思いました。

短いシーンですがとても深い意味のあるシーンだなあ、と、よりこのシーンに思い入れができてしまいました。

ここで顔つきが純粋な顔から何かを決意した美しい顔にガラッと変わるんです!
ほんと、美しい・・・

【参考サイト】
・ดูวิธีชาววังทำความสะอาด ‘เครื่องนุ่งห่ม’ สมัยไม่มีอุปกรณ์ทันสมัยไว้ซักรีดเสื้อผ้า... อ่านข่าวต้นฉบับได้ที่
(王室の人々がどのように掃除したかを見てください現代的な洗濯設備がなかった時代の「衣類」)

https://www.silpa-mag.com/history/article_16299

・เปิดขั้นตอนการ “อบร่ำ” ทำให้เสื้อผ้าหอม ตาม “ตำรับชาววัง” สมัยก่อน
(往年の“王道レシピ”に基づき、衣類を良い香りにする「乾燥」の工程をオープン)

https://www.silpa-mag.com/culture/article_16301


クンレックとジョムが遊んでいた鉄砲について

この遊びも気になってました!
前回noteの記事で疑問をそのまま書いたら、こちらもXで教えていただきました。

教えていただいたのはこちら。

バナナの葉柄はたくさんのタイの遊びに使われていて、この「タイの伝統あそび」の絵本でも、バナナの葉柄の馬、バナナで編む魚のモビールとともにこのバナナのてっぽうも紹介されています。

FFさんより

絵本の画像付きで教えていただきました。

この本のタイトルを検索してみると・・・

バナナ鉄砲の動画も見つけました!
わーい!!!!!

タイトルが
ของเล่นพื้นบ้าน "ปืนก้านกล้วย"
郷土玩具『バナナスタンガン』

動画の中で、このバナナ鉄砲の実物を使って説明されています。

ジョムの使っていたバナナ鉄砲
動画の鉄砲、形が同じです!

これです、こういうのが知りたかったんです!!!
切り込みを倒したときの気持ち良いパタパタという音もはっきり分かりますよ。

ちょっと形は違いますが、作り方はこの動画が分かりやすかったです。

動画では実際にバナナ鉄砲を作る様子も見られます。

バナナの木がその辺に生えている風景
葉っぱ、大きい!
葉の部分を切り取り、柄の部分を使います
切り込みはこうやって入れるみたいです

ちゃんとバナナの葉からどうやって鉄砲にするのかが動画で分かります。
ナイフを使ってサクサク作っていくこの加工の仕方を見ていると、日本で竹を使って色々なおもちゃを作るのと似ているなあと思いました。
タイも日本も近くにある植物を使って生活を豊かにしてきたんですね。


日本ではあまり見かけませんが、タイではバナナの葉柄を使った遊びが昔からあるんだそうです。

教えてくださったFFさんが書かれた、バナナの葉柄を使った遊びについて書かれたブログです。
こちらも興味深いです。

子どもの草花遊びも、地域が違うと使う草花が違って面白いです!


鞭について

ミンがむち打ちされるシーンの感想に対し、鞭の素材についても教えていただきました。

タイのむち打ちは学校や子ども達にも昔行われていたそうで、マヨムというとげのついた木が使われて痛そうです。『庭の木』という絵本でもマヨムのページは「枝はぴしぴしおばあさんのムチ」と書かれています。

FFさんより

タイには使用人だけでなく家族でも鞭打ちの文化があったんですね。

マヨムมะยมはスターグースベリーともいうそうで、タイでは縁起の良い植物なんだそうです。
タイ国政府観光庁のサイトには『家の前に植えることで、多くの人から賞賛され、親しまれ、敵を作らないと信じられています』とあります。

日本だとグースベリーより『セイヨウスグリ』という名前の方がなじみがあるかと思います。
実は小さく丸くてかわいいんですが、茎に棘があるので触るときに要注意です。

グーズベリーはジャムやゼリーなどの加工に最適な果樹です。高さ1m前後の株になり、収まりはよいですが、とげがあるのが難点です。

みんなの趣味の園芸HPより
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-573

教えていただいた絵本の読み聞かせ動画を見つけました!

2分25秒のところからがマヨムの話です。
おばあちゃんに子どもがマヨムの鞭で打たれています。
打たれている子ども、泣いてますね・・・

この本は文章のリズムが良くて、このお兄さんの話し方も楽しそうで読み聞かせ聴いているだけで楽しくなってきます。
(もはや動画視聴が本来の目的と違ってきています💦)



私の小さな疑問に答えてくださった二人のFFさんのおかげで、タイの文化をより知ることができました。
本当にお二人には感謝です✨

そして、BLドラマの中にさりげなくタイの伝統文化がちりばめられている『愛の香り』は本当にすごいドラマだな・・・と改めて実感しました。
さらっとドラマを観て楽しむつもりがこんなに深堀りすることになるなんて、観始めた当初は考えもしませんでした。
ドラマを観ることでタイをより深く知りたくなって、そこにハマってしまっている人、他にもいるのでは?
タイドラマのソフトパワー恐るべし・・・

今回は追記なので、短く終わりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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