罪から生まれる神(三題噺)
宗教、女優、犬
目が覚めると、真っ暗で、何も見えなかったけれど、肌で感じる温度が暑くて、直射日光を浴びているはずなのは間違いないし、手触りで草むらにいることは察しがついた。
「どういうことなんだ、全く......」と頭を抱えようとするけれど、頭があるべき場所に手をやっても、なにもない。お湯がたくさん入っていると思って持ち上げたやかんが空っぽだったときみたいな肩透かし感を100倍で食らったような気持ちになってびっくりしてしまう。
慌てて周囲の地面を弄ると、何か柔らかい毛皮のような、重いものがあった。試しに首に乗せてみると、なぜかうまくつながって、目も見えるようになった。
寝る前に何が起こったのか、よく覚えていない。好きな女優の映画を見に行って、家に帰ったはずだが、なぜここにいるのかわからない。訳もわからないまま少し歩いてみると、湖があった。覗き込んでみると自分の顔が犬の頭になっていた。
「まるで神のようではないか......」そう思ったのは私だけではなかったようで、私は怪しげな人々に宗教指導者に仕立て上げられた。最初はどことなく気持ちが悪かったものの、慣れてくればむしろ面白みを感じるようになった。
神として経験を積み、人々の懺悔を聞くようになった。罪悪感を持つ人を見るのはなんだか愛おしく、それぞれのエピソードはとても貴重なもので、私が独り占めしてしまうことが勿体無く、誰かに教えたい気持ちを抑え込むことは大変だったけれども、秘密は守った。
ある日、50代くらいの女性が懺悔にやってきた。
「こんにちは。私の罪を聞いていただけますか。数年前のことですが、私は娘の首を切り落として、草むらに体だけ捨てたのです。それから怖くなって、いつも神に罰されるか許されたいと思っております......」
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