【メキシコ事情】メキシコから女性が”消える”日 -un dia sin nosotras-
3月9日(月)のメキシコは街から女性の姿がなくなる1日となりそうです。
3月8日はおそらく日本でも認知度の高くなっている国際女性デー(International Women's Day, スペイン語だとDía internacional de mujeres)で、メキシコでも多くの人が性暴力と性差別の廃絶、男女平等を訴えてデモ活動に参加します。
国際女性デーの翌日3月9日にメキシコでは、「女性が家から出ず、働かず、消費活動もしない」というストライキが予定されています。
要するに女性がどれだけ社会、経済、消費活動に影響を与えているのか実感させようという活動です。
メキシコでの反応
この運動は、2/18(火)にメキシコのベラクルス州の"Brujas de mar (海の魔女)"という団体が、メキシコでの性暴力を非難するためにこの運動を呼び掛けるツイートをしたのが始まりでした。
このツイート後、多くの女性がこのストライキを話題にし、賛同を示しました。
また多くの企業や教育機関がこのストライキを支持すると表明し、この日女性が職場や学校に来なくても、その女性の人事評価や成績に悪影響がないという姿勢を示しました。
例えば、ラテンアメリカで2番目に歴史の長いメキシコ国立自治大学(UNAM)も下記ツイートの通り、ストライキへの支持と授業への欠席が成績に影響を与えないことをSNSで発表しています。
また、企業では、Googleや大手銀行(Banco de Mexico, Santander, Scotia Bank) やデパート、メキシコ最大のパンメーカー(Bimbo)など、メキシコ内で大きな影響力をもつ多くの企業が支持を示しています。(2/27時点)
また、地元のネイルサロン、レストランなども、ストライキを支持したり、またはストライキによって3/9に営業をしないという対応をとっています。
筆者の働いている企業でも、公に発表はされていないものの、社内メールで「ストライキに参加しても人事評価に影響はない」という通達がありました。
そもそも、企業が従業員にストライキの「許可を与える」というのが、矛盾かつ皮肉でもあるものの、多くの企業がこのストライキを支持しています。
"何もしない”のがこのストライキの最大の目標
このストライキは"Un día sin nosotras"(日本語にすると「私たち女性のいない1日」)と呼ばれています。
その名前通り、このストライキが目指すのは、会社から、学校からスーパーから、レストランから、要するに街から女性が姿を消すこと。
そして、女性が経済、労働、社会に与えるインパクトを実感させることが目的です。
言い換えれば、このストライキに本当に真剣に参加するのであれば、この日は、家から出ない、買い物に行かない、仕事にいかない、人のための家事や育児もしない(家事も育児も立派な仕事ですよね)、「何もしない」をしなくてはいけません。
トリッキーなのは、SNSを開いたり、ストリーミングサービス(NetflixやSpotify)を使ったりするのもいけないということ。
SNSを見れば、広告を見ることになるし、その広告をクリックしなかったとしても、SNSは広告費を得るので、消費活動や経済活動に参加していることになるのです。
ストライキまであと10日
"Bruja de Mar"がストライキの呼びかけを始めてから1週間ちょっとでここまで大きな話題となっていることを考えると、当日までまだいろんな動きがありそうです。
企業がストライキを支持する一方で、実際にセクハラを厳しく処罰しようとしないことを「偽善だ」批判する人もいたり、
「男性に対する暴力」に反対するため「男性のいない1日」をしようといっている一部の男性もいます。
ストライキ当日、実際何人がストライキに参加し、どのようなインパクトがあったのか、また後日報告したいと思います。
脳みそのごはんの足しにします!(日本の本屋さんに行けないのでKindleで本を買うために使わせていただきます)