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曇り。『寒冷渦』のゆくえ。
こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。
昨日までも寒かったですが、今日はまたいちだんと寒くなりました。日最高気温の平年差をみてみると、10℃低かったところも・・・!
※1
ただ、昨日の予報どおり、明日以降は少し暖かくなりそう(それでも平年よりは低いけど・・・)。よかった。
気温のことはさておき・・・気象衛星の画像を見ていると、気になるものが。
※2
・・・分かりますかね?朝鮮半島付近にくるくるまわる渦があるんです。
※3
この渦は『寒冷渦』と呼ばれるもので、その名のとおり、中心ほど気温が低い低気圧性の循環です。
(ほかにも『寒冷低気圧』・『切離低気圧』などとも呼ばれていて、着目点によって呼び分けられるようです。今回の場合は、地上に低気圧を伴っていないので、『上層寒冷低気圧(UCL:Upper Cold Low)』と呼ぶべきか・・・と思いましたが、熱帯域や亜熱帯域のものを指す言葉とする文献もあります。いずれにせよ、個人的に、いちばんポピュラーな呼び方は『寒冷渦』なんじゃないかと感じてます)。
テレビの天気予報などでよく「上空の寒気の影響で大気の状態が不安定になり、雷が~~~」というフレーズを聞くことがあると思いますが、寒冷渦も冷たい空気を伴っているので、不安定な天気をもたらすことがあります。
実際、※2の動画では、寒冷渦の近く(朝鮮半島)に濃い白色をしたものがだんだんと現れてくるのが見て取れると思いますが、これは発達していく積乱雲が捉えられたもので、寒冷渦の影響もあって発達したものではないかと思います。
・・・ここまで書きましたが、「短期予報解説資料」を読んでみると、こんな文章が。
1.実況上の着目点
① 九州付近の500hPa5820m 付近に-6℃以下の寒気を伴ったトラフがあって東進。
~~(中略)~~
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
① 1項①のトラフは18 日にかけて次第に寒冷渦となって、18 日夜には日本海中部まで東進。
(※4)
朝鮮半島のものは寒冷渦と表現されていないようです。ん~・・・高層天気図みても、それなりにしっかり渦(紫線)があって、寒気(「C」マーク)もあるようなんですけど・・・。
※5
ちなみに、ここでもうひとつ、衛星画像を見てみます。
※6
これは、『赤外画像』と呼ばれる、雲・地表面・大気から放射される赤外線を捉えるものなのですが・・・寒冷渦らしい渦は見つかりません。
先に示していた衛星画像は『水蒸気画像』と呼ばれるもので、(対流圏の上層や中層といった)上空の水蒸気の量が表されるものです(水蒸気の多い領域は白く、少ない領域は黒く表現されます)。雲がなくても、少ない水蒸気量も捉えられます。ということで、上空にしか現れていない状態の寒冷渦だと、水蒸気画像でしか捉えられていないこともあったりします。
衛星画像とひとくちに言っても、いろいろな画像があって、それぞれ特徴があります。見比べてみるのも面白いものです。
そんな、今日このごろ
※画像は気象庁HPから
2・3:一部加筆→http://www.jma.go.jp/jp/gms/large.html?area=0&element=2
4:2020年7月17日15時40分発表のものから抜粋→https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/jishin/kaisetsu_tanki_latest.pdf
5:一部加筆→https://www.jma.go.jp/jp/metcht/pdf/kosou/aupq35_00.pdf
(2020.7.21、脚注を修正(300hPa→500hPa))