気温の変化と前線
こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。
※ほんとは21日に書ききるつもりが、日をまたいでしまったので、記事内の昨日・今日は1日ズレてます・・・遅筆・・・・・・。
1.記録的な暖かさ
昨日はこの時期としては記録的な暖かさとなり、今朝も平年よりはだいぶ暖かくなりました。
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特に、北陸では日最高気温について、11月の1位の値を更新した地点が多く見られました。
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2.気温の急激な変化
ここで、推計気象分布を見てみると・・・10時から11時の間に、気温が大きく変化していたことが分かります。
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富山県のアメダス南砺高宮では、10時に27.0℃だったのが、11時には19.1℃に。何があったのでしょうか。
3.気温変化の理由
天気図を見てみると、12時ごろに、北陸地方付近を寒冷前線が通過していたように描かれています。
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ここで、寒冷前線とは何かを確認してみます。そもそも前線というものは何なのか、気象庁HPでは次のように説明されています。
寒気団と暖気団との境界線で、風向、風速の変化や降水を伴っていることが多い。前線はその動きと構造によって温暖、寒冷、閉塞、停滞の4種類に分けられる。
(※5)
気団というのは、同じような気温・水蒸気量のまとまった空気の塊です(寒気団は冷たい気団、暖気団はその逆)。つまり、前線は暖かい空気と冷たい空気との境目にあたります。
次に、寒冷前線は次のように説明されています。
暖気団側へ移動する前線。通常、前線の通過後に気温が下がる。
(※6)
こちらの松江地方気象台のHPでは、図を用いて解説されています。
今回の気温の変化は、まさに寒冷前線の通過を示していたように思います。ちなみに、風向を見てみると、こちらも明瞭に変化していました。
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4.さいごに
なお、ここで※4の天気図をもう一度見てみると、「12時には、まだ富山県を通過していないんじゃないの?」と思われるかもしれません。ただし、今回示したような一般的な天気図は、大きなスケール(総観スケール)の気象現象は現わしているものの、細かな現象は反映していないことがあります。
全国予報中枢で作成している地上天気図上のじょう乱や前線は総観スケールの現象を対象としているため、局地的な地形の影響を強く受けている観測データは反映せず解析することもある。
このよう様に、総観場の把握では地形の影響やメソβスケール以下の現象の影響を受けた観測データに必ずしも左右されないことが重要である。
総観スケールの解析結果に対して不連続・不整合がみられる観測データは、より小さいスケールの現象の影響を受けた可能性が高く、局地気象解析を行う時には、これらのデータに特に注目して解析する必要がある。
(※8)
今回も、小さな規模のスケールで見ると、寒冷前線は複雑な形状を呈していたんじゃないかと思います。
また、10分間毎のアメダスの観測データを見てみると・・・風向変化・気温変化の始まりは、少し時間帯がずれていたりもします。ここはもう少し調べどころなように思います。
いずれにせよ、単純に暖かかったというだけでなく、前線通過についての面白い事例だなぁと感じたりしました。
そんな、今日このごろ
※画像は気象庁HPから
3→http://www.data.jma.go.jp/obd/bunpu/index.html?305&temp
5→http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi3.html#C41
6→http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi3.html#C43
7→http://www.jma.go.jp/jp/amedas/209.html?elementCode=1
8:黒良 龍太、牧野 眞一,2015:現業作業における総観場の把握と
局地気象解析について,平成26年度予報技術研修テキスト,気象庁予報部,41 →http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/yohkens/20/chapter2.pdf(ファイルサイズ、4M程度あります)