隠岐での「線状降水帯」
こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。
昨日は、台風第9号(から変わった温帯低気圧)の影響により、各地で大雨となりました。特に、島根県では「顕著な大雨に関する情報」が発表され、隠岐では線状降水帯による非常に激しい雨が降り続き、土砂災害等の危険度が非常に高まっていることが呼びかけられました。
『雨雲の動き』を見てみると、強い降水域が継続的に形成されているようには見受けられます。
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ただ、なんというか・・・個人的には、この降水域が『線状降水帯』なのかと訊かれると、なんとも言えない感じがしています。
『線状降水帯』は、気象庁の予報用語としては以下のように定められています。
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。
※ 「線状降水帯」というキーワードを使って解説する「顕著な大雨に関する情報」は次の基準により発表する。
1.解析雨量(5kmメッシュ)において前3時間積算降水量が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
2.1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
3.1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
4.1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過
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基本的に、気象庁が発表する「顕著な大雨に関する情報」では、線状降水帯が発生しているか否かは(後段で説明されている)基準4つを満たしているか否かで判断されています。
ただし、この基準はあくまで「顕著な大雨に関する情報」を発表するにあたって定められたもので、『線状降水帯』という現象自体については、専門家の間でも定義が分かれていたりします。今回の事例での線状降水帯に違和感を感じているのも、この点に起因するものです。
このように、「純粋な(?)線状降水帯とは言われないかも知れない現象も、線状降水帯として扱われるかもしれない」ということは、実は「顕著な情報に関する情報」の運用開始前から想定されていたことです。
下掲リンクの説明資料(スライド5枚目)で触れられていて、今回の事例は「台風本体の雨雲(壁雲)の例」にあたるのではないかと思います(すでに温帯低気圧化していたので、正しくは「温帯低気圧の中心近辺の雨雲」ですね)。ほかにも、台風による地形性降水などが例示されています。
いずれにせよ、「顕著な大雨に関する情報」が発表されたということは、前述の4基準が満たされる状況となっている、すなわち災害の危険度が急激に高まっているということを表しているので、身の安全を確保するための行動をとる必要があります・・・ただ、既に切羽詰まったマズい状況になっていると思われるので、「この情報が発表されてないから、まだ大丈夫だろう」などとは思わないようにしないといけません。
そんな、今日このごろ
※画像は気象庁HPから
1→https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/#zoom:7/colordepth:normal/elements:hrpns&slmcs
2→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html#H18-1