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青くて痛くて脆い

こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。


基本的に、日々の天気についてまとめたり、気象に関わるあれこれを書いていきたいと考えています。
・・・と言いつつ、雑食にいろいろ書いていくのかもしれません。

初めの自己紹介でこんなふうに書きつつ、結局いまのいままでお天気ごと以外はぜんぜん書いてなかったんですが(ほんとびっくり)、やっとほかのことを書きます。


昨日観てきた、『青くて痛くて脆い』という映画のことです。

https://aokuteitakutemoroi-movie.jp/


住野さん作品と私

青くて痛くて脆い』、愛称(?)『くてくて』は、2018年にKADOKAWAから刊行された、住野よるさんの作品です。

住野さんの作品で初めて読んだのは、1作目である『君の膵臓を食べたい』です・・・というのはわりと普通だと思うんですが、実は作品が刊行されてからだいぶ経ったあとに読みました。しかも、刊行されていて、話題になっているということも知っていたのに・・・なんとなく敬遠していました。

というのも、タイトルといい、そこかしこで目に・耳にする作品のあらすじといい、なんとなーく軽い読みものな感じがして、もともと本を読むのが好きだった自分は「実際はあんま面白くないんじゃないの?」とか思ってしまってたのです。人気だったことにやっかんでいたのかも知れません(このあたりに自分の青さを感じます)。

そうは言っても本好きは本好き、満を持して読んでみたところ・・・ドはまりしました。ほんとに好きです。映画も好き

けれど、その後の『また、同じ夢を見ていた』・『よるのばけもの』はいまいち響かず、『か「」く「」し「」ご「」と「』は独特で面白いんだけど、なんだか普通・・・という感じで、はまり込みませんでした。

そのあとに刊行されたのが、『くてくて』でした。


『くてくて』(原作)の感想

青春が終わる。傷つきながら。傷つけながら。

人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学1年の春、僕は秋好寿乃に出会った。
空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりもまっすぐだった彼女。
秋好の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。

それから3年。
あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。
僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。
「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」
それは僕にとって、世間への叛逆を意味していた――。

(公式サイトから:https://promo.kadokawa.co.jp/kutekute/

あらすじを読んだ時から覚悟してたんですが、なんか学生時代を思い出して、すーーーんごく心をえぐられる作品でした。ヒロインである秋好が掲げる理想、青くて痛すぎる理想。学生時代を思い返すと、自分もそれなりに青い理想を持っていた(後述)ので、余計にぐさぐさときました。

そしてそれ以外にも、「意見や思想は人それぞれ違うよね?」とか、「自分が見ている・思い描いている誰かの人柄は、その人の一面でしかないんじゃないの?」とか(言葉にしがたい)、いまの世の中にあふれているよろしくない部分を描いた良い作品・・・だと思ったんですが、ぐさぐさ刺さりすぎて、一読してやめちゃいました。なんか辛くなったので。

(ちなみに、『くてくて』のあとに刊行された『麦本三歩の好きなもの』はドはまりしました。三歩があざと可愛すぎるし、職場が大学図書館(=自分の学生時代のバイト先)だったし。サイン本もげっと。)


そんななか、今年3月に実写映画化が発表されました。この作品もだいぶ人気らしいということは知ってたものの、てっきりほかの作品が先に映画化されると思っていたので。キャストが発表されてくうちに、オリジナルキャラが出るとかの情報も入って、楽しみな反面で不安さも高まりました。あとアオリがなんか・・・「青春サスペンス」とは・・・。

そんなこんなで公開初日の昨日、さっそく観てきました。


『くてくて』(実写映画)の感想

良かったです。

良かったです。

いや、ほんとに良かった。ほんと、実写映画化してくれてありがとうございます、という感じでした。『君膵』の実写も良かったけど、『くてくて』はもっと良かったというか・・・どちらも原作にアレンジが加えられてるけど、ぜんぜん違和感がなくて、原作をちゃんと残しながら「ひとつの新たな物語」が生まれている感じがして、面白かったです。

キャストのみなさんの演技も、すごい良かった。作品が、文章がそのまま映像になった感じがしました。

音楽もよき・・・ブルエンの曲をちゃんと聞いたのは初めてだけど、違和感なかったです。

https://youtu.be/OEHsPD5-dNo

(それでも私は『エイプリル』推しです・・・。)


※ここから少しネタバレ※

あと、個人的に良いなと感じたのが、主人公以外、秋好の目線での物語が少しだけ描かれていたことです。原作は完全に主人公目線で物語が進んでいったけど、この映画では、秋好がどんな風に考えながら行動していたのか、もっと言えば、モアイが変化する・大きくなっていくなかで秋好は本当に理想を追い求め続けていたのかどうかが、ほんのりと分かるようになっていると感じました。

「小説は必ずしも細部まで描かれるべきものではなくで、足らずは読者が想像して補ってくもの」という考え方もあるんだと思いますが、私はそれでも、少しでも登場人物が思ってることを知りたいと思うタイプなので、映画でそこが補完されていた(ように感じる)のが嬉しかったです。

ダ・ヴィンチに掲載された短編も併せて読むと、より良い。

https://twitter.com/suminoyoruyori/status/1290612041804259330

※ネタバレここまで※ 


「世界は変えられる」

この言葉は、映画で秋好が口にする言葉です。(原作では・・・あったかな?)

自分は学生時代、というか就活を前にして?こんな理想を思い描いていました。

気象で人を救う。

秋好の言葉に似たような、世界を変えようというような、青くて痛い理想でした。そして、脆かった。

理想を思い描きながら、明確な行動に移せていたのか、疑問です。そして、結果的に気象に・防災に関わるお仕事に就くことはできたのですが・・・スタート地点に立ったが最後、日々の喧騒や目の前の職務に気を取られ、月日が経つにつれて、その理想はだんだんと忘れ去っていました。「気象で人を救うことができる」と、そういう思いを掲げつつも、心の底では「ほんとは自分なんかじゃ出来ないんじゃないか・無駄なんじゃないか」と感じながら、思いをすり減らしてきた気がします。

ただ、この映画で「世界は変えられる」という言葉を聞いたとき、そんな理想が蘇ってきました。自分が今している仕事も、ほんの少しでも理想を現実に近づけられているんじゃないかと、そう思い返す機会をもらいました。ありがとう。


さいごに・・・

思いっきりネタバレですが、『くてくて』のなかで一番好きというか、心に残っているのが、ラストシーンなんですよね。特に最後の一言が好き

映画でもしっかりと描かれてました。むしろ、映画の方が分かりやすく描かれてたような気がします。

その時もう一度、ちゃんと傷つけ。

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ほんと、観れて良かったと、余韻にひたってます。



そんな、今日このごろ。