月

今日はゆっくり目が覚める。
何時だろう？


夢の続きを観ているように
部屋の中は まだ暗い。


微かな光が ここは海の上だと教えてくれている。


誰もいない暗い夜の海へ
僕は静かに舟を出す...。


波の無い鏡のような 暗く冷たい海だ...。


どこへ行ったらいいのか 分からないまま
僕は舟を漕ぐ...。


静かな海とは裏腹に 心の中は...
激しく波打っている。


僕は不安を打ち消すように…舟を漕ぐ。


しばらくすると…。


漆黒の海が 次第に熱を帯びて...ゆっくりとオレンジ色に染まってゆく…。

見上げると…！
「月だ！」




月は 暗い闇を払拭し
ずっと前からそうであったように
やさしく海を照らしている...。

そして、僕は静かに 目を醒ます。