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【SRD】斧とルーンのRPG.Songs and Sagasとは?

作品的な紹介

「Songs and Sagas」は、史実と異なるヴァイキング時代が舞台。ラグナロクにより、1つの時代が終わりを迎えようとした際に大地が血で汚されるよりも早く、異世界へ導くゲートが現れた。斧とルーンと歌を愛するヴァイキングは、神々と精霊に導かれて輝くゲートを潜り抜けた。異世界への航海によって多くの人たちが命を落としたが、少数は生き残って繁栄していく。

あなたはその子孫であり、冒険者。あなた達の世代になっても、この異世界は探索され尽くさることはない。そうして、今日もあなた達は冒険へ繰り出す。これは、そんなソロでも遊べるTRPG。
ユニークな作品やSRDを生み出し続けているFari RPGsの作品だ(最新作はフォールアウトみたいなポストアポカリプスもの)。ジャーナリングRPG向けで言えばFirelights SRDをリリースしているデベロッパー。日本のインディーTRPG通の人向けに言えば、BreathlessSRDのデベロッパーだ。

斧、ルーン、精霊、伝説をテーマにした、容赦ない異世界の荒野の中で新たな生活を築こうと奮闘する猛者たちの物語を遊ぶTRPGはOSRにインスパイアされている。他にもMork Borg、Mausritter、Into the Odd、Knave、Charge、Firelights、Breathlessなどのゲームからインスピレーションを得て、戦いと栄光に満ちた、新しくユニークなシステムになっているとか。そんなゲームを元にしたSRDがリリースされた。
Firelightsを制作した制作集団なので、Jamは終了してしまったがルールについて解説してみようと思う。

※なお、この文章は筆者が解釈しやすいようにかなり文章や用語に手を加えている。そのまま引用せず、しっかりと自分の目でSRDの内容を確認して欲しい。


◆ Songs and Sagasを遊ぶのに必要なもの

  • 標準的なトランプ:1組(多分ジョーカーなし)
    山札からカードを引いて表向きにするたびに、捨札になる。シーンが変わったり山札が尽きたら捨札をリシャッフル多面体ダイス1組(D4、D6、D8、D10、D12)

  • プレイヤーはGMを含めて2〜5人

◆◆ GMのガイドライン

  • ストーリーを皆に導く役目

  • プレイ内外で安全に遊べるよう、危険は必ず伝えること

  • 世界観とあなたが描きたい世界のありのままを伝える

  • 必要に応じて、セッションの一時停止または巻き戻しをする

  • キャラクターのファンになること

◆◆ プレイヤーのガイドライン

  • 物語に耳を傾け、注意を払い、自分の行動はちゃんと説明する

  • 物語を共作することに参加し、見せ場は共有すること

  • リスクを受け入れて、試してみること。失敗しても立ち上がること

  • 創造的な解決策を見つける

  • 手持ちのカードをため込まないこと

◆◆ ゲームの雰囲気

TRPGなので、プレイヤー達が考えた物語に不確実性がある場合、試練と運命を乗り越えるための行動判定ロールを行うことになる。
判定に成功すると、カードを手札に加えることになる。このカードを消費することで物語に勢いを与えられる。
しかし、最も重要なことは物語を興味深い方向へ進めるために全員で協力することだ。

◆ キャラクター

Songs and Sagasのキャラクターには、『4つの能力値』と『生まれ』と4枚のトランプカードによって能力値と特別なスキル(後述する手札を消費することで発動する)を1つ授かる。後は武器と防具を1つずつと、その2つを含めて6つまでアイテムを所持できるインベントリを持っている。

この作品のユニークなところの1つは、デバフがインベントリを圧迫するのだ。なるほど!?

あと、行動判定に失敗するしか経験値を稼ぐ方法がない。冒険を成功させても経験値は得られないのだ。


◆ シーンの進め方

◆◆ 舞台を設定する

各シーンの冒頭で、GMは視覚的な要素や雰囲気を描写して舞台を設定する。
その後で山札からカードを1枚めくり、スートを参照して現在のリスク評価を決定すること。このリスク評価は、そのシーンにおける未知の要素や危険性のレベルを表している。通常は1〜3の範囲だが、キャラクターの行動に応じて、GM判断で上下しても良い。

● リスク評価

  • ♥ :リスク表は「1」スタート。一瞬の平穏がある。

  • ♦ :リスク表は「2」スタート。予期せぬ展開がある。

  • ♣ :リスク表は「2」スタート。差し迫った脅威がある。

  • ♠ :リスク表は「3」スタート。差し迫った障害がある。

◆◆ 行動判定ロール

物語に不確実性があったり、リスクのある行動を取る場合は、試練と運命を乗り越えるための行動判定ロールを行う

  1. 自分の行動に最も適した《能力値》を選ぶ。

  2. GMはプレイヤーグループと話し合い、物語を参考に難易度(DR)を決定する。通常は「12」とする
    難易度(DR)|説明
    9|簡単
    12|普通
    15|難しい

  3. GMは、現在のシーンのリスク評価と同じ枚数を山札の上から引いて場に置き、全員に公開する。黒いスート1枚につき、DR+2。

  4. 行動判定ロールを行うプレイヤーは1D20ロールの値に《能力値》修正を加えて判定値を決める。
    *手札を消費する?

◆◆ 行動判定ロール:成功(判定値が難易度を上回る)

行動判定を成功させたシーンを瞬間的に支配し、次に何が起こるかの物語を語ります。行動判定時に手札のカードを消費しなかった場合、場に公開されているカード1枚を手札へ必ず加える(黒いスートより、赤いスートを選ぶこと)

◆◆ 行動判定ロール:失敗(判定値が難易度を下回る)

行動判定を行ったキャラはXPを獲得するが、物語の支配権はGMへ譲ることになる。GMは何が起こるかを描写し、新たな結果(物語上の災難、回復力の損失、鎧や武器の損傷、新たな状態など)を導入することで、その場面の緊張感をさらに高めることができる。

◆◆ 運命ロール

キャラが物語に不確実性があるが重大なリスクを伴わない行動を取る場合、運命ロールの方を行う。これは、カードの処理を行わない行動判定になる。
また、ロール成功時にカードを手札に加えることはせず、ロール失敗時にXPを記録できない。


◆ 手札を消費する

この判定より前に手札として取得済みのカードを1枚消費すると、以下のうち1つの効果を得る。

  • [押し通る] 判定値に+2。

  • [仲間の支援] 仲間の判定値に+2。

  • [形勢逆転] ロールの失敗を成功に変えるが、物語の主導権をGMに譲る。GMは新たな結果を導入できる。

  • [準備万端] アイテムを、それが常に常備されていたかのようにインベントリから取り出す。アイテムがDRを減少させることが可能かの最終決定権はGMが持つ。


◆ 読み終えて

このSRDを利用したJam(ゲーム制作コンテストみたいなもの)は、終わってしまったけど物語のシーンを作るのにガッツリとカードメカニクスが組み込まれているのが興味深い。
きっと、この天から得られる力(リスク評価として提示され、キャラクターの力になる可能性があるモノ)がルーンであり、この作品の世界における魔法そのものなんじゃないかと邪推する。

個人的には、太陽の恩恵ぐらいな印象だった。
もう少し、斧部分(戦闘パート・ダメージ処理)でもユニークなギミックがあればーと思ったものの、軽量システムに斬新さを求めすぎても……と反省した。


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ノマチ・イネムリ
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