【ソロジャーナル】Cemetery of Swordsプレイまとめ
⚫︎ 作品紹介
◾️ 剣の丘ではない……平和を約束するための”剣の墓”なのだ / ジャーナリングRPG
「Cemetery of Swords」でのあなたは、実行者。英雄たちが自分たちの剣を突き立て、戦争終結を約束させた戦場跡”剣の墓”。しかし、時が無情にもその意味を忘却させ、剣に宿し英雄の魂を呪いに変換する。ほとんどの剣は持ち去られたが、その先で災いを撒き散らした。ほとんどが”剣の墓”へ戻されたらしく、あなたの手にあるのが最後の1本と言われている。
『持ち去られた最後の1本を”剣の墓”へ返却する』という約束を果たすための旅を記録するソロジャーナルRPG。
「Powered by Sentinel」SRDのため、あなたは旅を記録した最後に3つの結末から1つを得ることになるだろう。また、このゲームは物語譚を意識して4行以上の詩で回答することが推奨されている。
ちなみに、9月はinktoberのような毎日提示されるプロンプトを元に「剣」について絵やテキスト、TRPGの設定などを自由に創作する『Swordtember』なるファンイベントがここ数年欠かさず開催されている。私もついでに、ソロジャーナルをプレイしている間だけ参加している。
⚫︎ Cemetery of Swords プレイログまとめ
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私は静淵の魔女の弟子にして、代筆業者または詩人。
名前をソソ・F・サリと申します。
この記録を付けた日、師匠から一振りの剣を預かりました。
時が刀身に宿った英雄の魂を、呪いへ変貌させた黒剣。
剣が鏡のように映す私は、何やら笑っていました。
師匠曰く、私の腕を染める藍色こそが……剣を遠くまで持ち運べる護りになるそうです。
私だけが出来ること。
なので、私は師匠と約束をしました。“剣の墓”まで、この剣を持っていくと……。
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私は最初、剣に話しかけられていることにも気づかなかった。
ずっと、泣きながら歩き続けていたのである。
この剣が、私の居場所も師匠の寿命も歪めたのだから、歩み寄ろう……なんて気持ちは芽生えてこなかった。
力強く、芯の通った声で叱責されて我に返った気がする。
私の悲しみと恨み言が、剣の呪いによって周囲の土地を悍ましいナニかへと歪めてしまっていた。剣もそれに呼応するかのように形を変え、私の身体が剣を勝手に振り回す。
歪みが斬り伏せられて元に戻ると、剣はひび割れて元の姿へと戻った。
剣は詩で詠われた通りの力を持っていると実感する。
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足が止まってしまった。そこを通らなければならなかったのに。
その集落は、国も魔女からの助けの手を払いのけてドラゴンという幻獣に保護を求めた人の集まりなのだ。
魔女がする「助け」とその人たちが求めていた「助け」には、とても大きな温度差がある。最後の最後まで、溝は埋まらなかった。彼らの想像力は、幻獣の保護を求める=人間であることを捨てる……と思い至らなかったのである。すべては後の祭り。
自分達以外を恨んで襲いかかるのは、お門違いなのだ。元は同じ人間のはずなのに、未だに分かり合えていない。
剣は、淡々と押し通る……と告げた。
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それは、集落を抜けた先にある森からやってきた。
“刃砕き”、それが国が与えた彼らの名前。1人の人間と1種の化け物による2人1組が集められた、文字通り剣を砕く任務を帯びた組織。
彼らに砕かれなかった剣は、“剣の墓場”へと戻っていった。彼らは、私が持たされた剣は砕かれるべき……と話す。そして砕かれた刃こそが、彼らの燃料なのだそうだ。
私は、剣を手にしない。師匠との約束のために逃げ出した。
彼らは逃げる私に「約束しよう、ソレは“剣の墓場”には戻れない」と投げかける。
化け物殺しの短剣を纏った剣からは、私に対するため息が漏れ出た気がした。
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花で埋もれた廃村を通り過ぎたとき、剣からの意思を聞き取った。一言二言の短い言葉ではなく、より鮮明に。「廃村の中央に行きたい」と、剣が願っている。何故か、無下にすることができなかった。ソコに咲き誇る花に見覚えがある。師匠の所にも咲いていた、名前の知らない白い……花。
剣は自ら灯りを灯し、かつての持ち手だった騎士の話をしてくれた。その騎士は、花雨の騎士と呼ばれていたらしい。祖国の救済を願い、剣を“剣の墓場”から持ち出し、最後は人で無くなった。剣が見せてくれた騎士のビジョンに、見覚えがあるような気がする。
白い花が、1つのお願いを伝えてきた気がした。
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剣が、何かに意識を向けたと感じた。それは幻獣に助けを求めた人たちと同じく人間であることを捨てた存在。
自分たちが生まれた土地が死に、次なる場所としてこの地を選んだ者達。
信仰する神と共に移り住むために、侵略をすることを選んだ。
花雨の騎士が戦った相手。生きることを渇望しても、この地では悪党だ。
なぜ、そうしたのか……。白い花の“お願い”かもしれない。
私は、剣の刃を握って彼らにその様を見せつけた。
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◾️ log.6
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剣の意思ではなく、誰かの歌声が聞こえた。多くの人が花雨の騎士を讃える歌。 それは、騎士が人間であることを捨てる前に行った……星獣を鎮めるために雨乞いの舞を納めた物語譚。
国を救ったことではなく、人間であった頃の行いが記憶されていた。
剣から、悲しみを感じる。人間でなければ語り継がれないのか?と
私を、記憶してくれていたのは……師匠だけだ。
花の雨が……降った気がする。剣はそれに呼応するかのように、別の姿を纏った。
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◾️ log.7
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私は最初、剣の意思だと思っていた。でも、すぐに違うと気付く。
何というか、伝わってくる言葉が人の言葉ではないのだ。最初に剣から叱責されたときのように、周囲の土地を悍ましいナニかへと歪めてしまっている。
“刃砕き”によって砕かれ、喰われて燃料にされた成れの果て……。
私の声も、剣の意思すら届かなかった。奇声を上げ、隕鉄の刃がこぼしながら近づいてくる。剣は、喰らって連れ帰る……と告げた。
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◾️ log.8
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剣が唐突に語りかけてきた。珍しいと思ったけど、緑に包まれた墓を気にしているらしい。
その墓には、緑に呑まれない1本の木剣と、自然に還り始めている無数の小さな木剣たちが置かれていた。きっと、“剣の墓場”を模したのだろうか?
木剣に見覚えがあるらしく、この英雄のことを話し出していた。“剣の墓場”ではなく、自分が生まれた地の子供達の平和のために、剣を差し出したドルイダス。
鉄ではなく、刃のない木剣で敵を退けた優しい人なのだそうだ。剣から、何か淡い慕情を感じる。黙っておくことにしよう。
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◾️ log.9
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空気が淀んでいくのを感じた。
剣によって歪められたのではなく、この地を蝕んだ人としての姿を奪い取る病。最後は底なし沼のごとく、身体が影に沈んで消えてしまうのだ。
“剣の墓場”から、剣が強奪されたデマの1つ。
時が真実を忘却させたからなのか、嘘のような奇跡に縋りたい程にヒドい状況だったのか?
多分、両方。私は、師匠に救われたんだ。血を滴らせた腕で、師匠が掴み上げてくれたから……。
剣が、血を身に纏ってくれた。
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◾️ log.10
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この剣は、一体誰なんだろう?と思ってしまった。
私の居場所も、師匠の寿命も歪めた存在。涙が流れ切ったら、恨んでばかりはいられなくなった。私が薄情なだけ?
花雨の騎士?
違う、それは“剣の墓場”から剣を持ち出した騎士の名前だ。
この剣に魂を込めて、“剣の墓場”に突き刺した人は誰なんだろう?
どうして、この剣は他の剣の姿を纏えるのだろう?
厄災王の髪を調髪した王子と最初の剣の英雄譚のように、どうしてこの剣の英雄譚は残らなかったのだろう?
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◾️ log.11
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初めて“刃砕き”をみたとき、私は剣に手をかけず……逃げ出した。
今回は、逃げ出さない。一度剣について思ってしまったからなのか、“刃砕き”がどうして刃を喰らうのか知りたくなった。この剣に、似ているじゃないか。
「“剣の墓場”には戻れない」と約束を投げかけた彼らに、私たちも呪いを返すことにした。
別の形を纏った剣は、ただただ異様。
そんなことをしたからか、私の腕を染める藍色が虫食い状態になってしまった。なんだか、師匠との思い出がすり減っていく感じがする。
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◾️ log.12
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“刃砕き”を前にして、私は剣から手を離した。逃げるわけじゃない。呪いに従ってもらうためだ。案内されたのは、“刃砕き”達が故郷と呼んでいる砦。
玉座には、燭台を連想させる剣が突き刺さっていた。その剣が光を淡く灯し続けている。
“刃砕き”たちは、身体の中に同じ剣が埋め込まれているそうだ。それが、1人の人間と1種の化け物による2人1組になれる仕組み。 私と共にある剣は、その姿を纏えなかった。
何か、剣に心配されている気がする。
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◾️ log.13
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それは偶然耳にした、子供たちの遊び唄。剣から何か淡い慕情を感じた……あの感覚を思い出してしまった。何だろう、まだ剣に聞けない。でも、聞いてみたいことが沢山あると考えていても、いざ質問ができるようになったら?
モヤモヤしていたら、長くその場にいるべきじゃない……と剣に小言を言われてしまった。
呪われた剣を止めておくことは良くないと言う。確かにそうだ。自分でも体験している。
何だろう、何か納得が出来ないことばかりだ。モヤモヤするっ!!
何か、剣に笑われた気がした。
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◾️ log.14
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誰かが、泣きながら歩いている。ボロボロの赤いマントを羽織り、三日月のような剣を両手で抱えていた。人よりも耳が長く、妖精よりは短い……。妖精人の子だ。人ではない者には、この世界の誰も手を差し伸べない。
その泣きながら歩く姿は、この旅の最初を思い出させた。
“涙が枯れるまで、泣きなさい。涙が残っているうちは何も考えられないから”
と私は気づけば、声をかけていた。師匠が歌っていた子守り歌を、小さな声で歌ってあげた。ふと、私以外の誰かが助けようとしてるのに気づく。きっと、違う世界から。
私は、信じられないことを思いついた。
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◾️ log.15
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剣が唐突に語りかけてきた。以前は緑に包まれた墓の前。無数の木剣が置かれていた。
今眼前に広がっている光景は、大樹に果実のごとく結び付けられた無数の革鞘。 剣は、革鞘に見覚えがあるようだ。その男は剣を妻に渡して以来、空の革鞘を吊って矢筒として使っていたらしい。剣の鞘なのだから、何本も入らないだろう?……って揶揄ったが、矢が切れたところは見たことがなかったそうだ。
男は「キノコみたいなもんさ。鞘の中で育つんだ」と笑って話していたらしい。 剣にとっては、大事な友人だったらしい。
ふと、この剣が“剣の墓場”ではない墓に祀られたら? と考えてしまった。
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◾️ log.16
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黒いケモノ。それがいるからこそ、“剣の墓場”が近づいている証拠だ。このケモノたちが、“剣の墓場”を生み出した戦争の相手。かつて人間で、自らの影を纏ってケモノになった地底の国の者たち。災害かナニかのために、深刻な物資不足が発生して地上へと打って出た。
これは、剣が教えてくれたこと。
“針を返せ、針を返せ。影を縫い直す針を返せ”
ケモノの声は、それだけが聞き取れた。剣が針を纏える? あの、“剣の墓場”には人間の英雄の剣だけが刺さっていたわけじゃなかった?
どちらも、平和と言って仕組んだ?
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◾️ log.17
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黒いケモノが、一定の距離を保って追ってくる。
剣が針を纏えるのか、それとも本当は“剣の墓場”に隠されているのか……測りかねているのだ。
剣を抱いているとき、不意に師匠の手を感じた気がする。
私は、師匠との約束のためだけに剣を“剣の墓場”へ戻すことを引き受けた。それが、師匠に命を助けられた恩返しになると。
でも、泣き切った後で剣のことも考えられた。時が悉く意味を忘却させるとしても、私はきっと覚えていられる。忘れてたまるか。
“剣の墓場”に近づくにつれて、剣が熱くなった。
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◾️ log.18-END
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火が“剣の墓場”のすべてを糧にして、焼き払った。
人の思惑も、人であることを捨てた者の思惑も。
消し炭と灰の中から水が湧き、その中央に玉座が現れた。
あれが、星の思惑……と剣が告げる。 あそこが、剣を最後に残すのにふさわしい場所のようだ。
剣は何かを言い淀んでいるが、ひとときの別れらしい。
私の腕を染める藍色は消えなかった。
「未来はまだ決まらないが、次の悪夢が……」
剣を内包した“剣の墓場”が水没し、私は水面に残される。
海だ……。
⚫︎ プレイを終えて
本来は、9月30日まで続く『Swordtember』だが、Jokerを引いたので今年はここまで。でも、物語としては割と定番な幕引きになったと思う。
この作品の良いところは英雄譚(物語譚)を意識して、詩で記録を残すところ。私は記憶しておくことが苦手なので、Swordtemberも利用してメモがわりに日記を残した(ww。
割と最初から「人と人を捨てた者とは」的な事をネタにしようかなと思っていた気がする。
そして「Powered by Sentinel」の好きなところは、結末が3パターン用意されているところ(そして、どの結末になったとしても主人公が1つの呪いを受けるところ)。でも、HaikuやThe Wandering Lakeのようにそれまでの旅路、前日の内容が影響を与えて欲しかった気もする。
自分で描いた絵としては、「8. Meterorite」と「19. Mask & 20.Ocean」が割と気に入っている。