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【治験体験談④】初めての副作用で投薬日に家に帰りたくなる

これから治験に参加しようと思う人が一番心配なのがやはり「薬の副作用」ではないでしょうか。

確率的には薬の副作用が出ることはごく稀で、事前説明会でも「副作用が出ることはあまりないです。出ても大したことはありません」と説明されることが多いです。

僕自身これまでの10回以上の治験の中で薬の副作用が出たことはほとんどありませんが、たった一度だけ、投薬日に薬の副作用らしき症状に苦しんだことがあります。

これまで何回も治験に参加してきましたが、薬の副作用に見舞われたのはあの一回のみです。

今回の治験体験談ではその時のことをお話していこうと思います。

6泊×1回 負担軽減費13万円

その時の治験は6泊が1回のみというどちらかと言えばラクな治験でした。

負担軽減費も1日平均2万円を超えていてとてもよかったです。

入院する病院もこれまで何度か入院したことのある大きな病院で、看護師さんも顔も覚えていました。

入院当日の検査データも良好で、無事入院することが決まり、翌日の投薬日のデータも良く、そのまま被験者として投薬をされることになりました。

しかし、その投薬日に恐れていた事態が起きてしまいました。

点滴による投薬

普段の治験は錠剤か粉末状の薬を飲むのですが、その治験は点滴による投薬でした。

液体の薬が入ったバッグが点滴スタンドの上に吊るされ、少量ずつ薬が投与されるという珍しい投薬方法でした。

つまり、投薬日は1日中点滴スタンドと一緒に過ごさなくてはいけませんでした。

何をするのにもカテーテルとスタンドが邪魔になるのでとても煩わしかったですが、採血には点滴の管を利用していたので注射をする必要が無く、その点ではとても良かったです。

普通の治験だと15分おきに毎回注射で採血をするのですが、腕に点滴の針が刺さっているのでそこから簡単に血を抜き取ることが出来るのです。

副作用に襲われる

点滴が刺さっている間はあまり動くことが出来ないので取り敢えずベッドの上で本を読んでいました。

その時読んでいたのは村上春樹の「ノルウェイの森」で、最初の方は順調に読み進めていました。

ところが、途中から(ストーリーで言うと直子が治療施設に入ったところでしょうか)徐々に自分が読んでいる文章に意味が追い付いてこなくなりました。

文章は読めるし、それぞれの言葉の意味も分かるのですが、文章の意味が理解出来なくなってしまったのです。

それから数ページ読み進めましたが全く集中出来なくなってしまったので本を読むのをやめました。

その後に漫画を読んだりスマホをいじったりしていたのですが、どうにも気が滅入って何をしても集中出来ませんでした。

そこで初めて「もしかしたらこれ副作用かも」と疑うようになりました。

自分に副作用が出ているのかもしれないと考えるとさらに気持ちが落ち着かなくなりました。

なんとも言えない感覚でした。身体がだるく、気が滅入り、とにかく不安でした。

何に対して不安なのかは分かりませんがとにかく不安なんです。本当に泣きたいくらい不安でした。

例えが適切ではないかも知れませんが今思えばかなり鬱状態に近かったと思います。

それからしばらくは目をつむって何も考えないようにしていたのですが、結局居ても立っても居られなくなり、医師のところに行って事情を説明しました。

すると医者は

多分副作用ですね。でも時間が経って薬が薄まれば治るから心配ないです。

とだけ言いました。

正直もっと心配して欲しかったのですが、まあ予想していたことなのでトボトボと自分のベッドに戻りました。

この時の僕の気持ちは「とにかく帰りたい」でした。

しかし同時に「今帰っちゃうとお金がもらえない.....」とも思ってました。

治験は本人の意思次第でいつでも中止することが出来ます。しかし自分の都合で中止すると謝礼金がかなり減らされてしまうのです。

とにかく我慢する

この二つが拮抗した結果、「とにかく我慢しよう」という結論に達しました。お金の方が大事ですからね。

そしてベッドに戻った僕は片っ端から友達にラインを送り、自分がいかに辛い状況にあるかを伝え、近いうちに会えないかと懇願してました(とにかく一人でいるのが不安だったので)。

数時間後に副作用が無くなる

しばらくはこの苦しい状態が続いたのですが、医師が言った通りに数時間後には全く元通りの体調に戻っていました。

どうやら血液の中の薬の濃度が薄まったようでした。

嘘のように元気になり、ラインで話していた友達とも全然会いたくなくなり、彼らにどう言い訳しようかと困りました。

投薬日以降は天国

次の日の朝に点滴が外され、完全に自由になりました。

退院するまでの4日間はまるで天国のような入院生活でした。

採血は1日1回のみでそれ以外の時間は何をしてても良いのです。

その施設には娯楽用の設備が整っており、有名な漫画シリーズが全巻あったり、PS2があったりDVDプレイヤーがあったりと時間潰しには困りませんでした。

食事も毎回豪華でした。

その施設では毎回食事を外注するのですが、1000円はするであろう高級幕の内弁当だったり、ラーメンだったり、寿司だったりと入院している感じではありませんでした。

普段は割と質素な食事しか食べていないので、この時の方がよっぽど高級な物を食べることが出来ました。

まとめ

今回は初めて副作用が出た時の治験体験談をお話しました。

この話を聞くと「やっぱり治験はやめた方がいいかも」と考え直す人もいるかもしれません。

確かに副作用が出た時は結構辛かったです。

これまで何度も治験に参加していますが、あれくらい副作用を実感出来たのはこの時が初めてでした。

しかし、この治験は事前説明会で「副作用が出やすいです」とあらかじめ説明がありました。

というのも、この治験で試された新薬は精神病の治療に使われる薬だったのです。なので確率的にも副作用が出やすいことは前もって知っていました。

ただ、本当に副作用が出るとは全く予想していませんでした。

後で知ったのですが、僕以外にも数名同じような症状を訴えていた被験者がいたそうです。

これまでの治験人生の中で副作用が出たのはこれが初めてです。

10回以上の治験でたった1度ですから確率としては10%以下です。確率としてはかなり低いですし、副作用が出たのは今の所これが最初で最後です。

この治験以降も何度も治験に参加し続けていますが、副作用が出たことは一度もありません。

もし、今回の僕の体験談を聞いてちょっとでも不安に思ったら、事前説明会で「副作用が出る確率」についてしっかり話を聞いてきた方が良いでしょう。

「副作用が怖いから」という理由で治験参加を諦めるのはもったいないです。

新薬に限らず、健康な状態で薬を飲めば何かしらの副作用が出ることはあります。

今回僕はかなり辛い思いをしましたが、だからといって治験参加をやめることはありません。

副作用は出てしまうと辛いですが、出ないことの方が圧倒的に多いです。

10回以上参加して1回くらいの確率ですので、これから初めて治験に参加する人は余計な心配をする必要はありません。

ただし、治験にはそういうリスクもあるということを知っておくのは大切だと思ったので、今回は敢えてこういう話をしました。

何か不安があれば事前説明会で看護師や医師に必ず質問しましょう。

副作用が心配なら、副作用がほとんど出にくいジェネリック医薬品の治験(生物学的同等性試験)に参加するのもおすすめです。

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