暗闇
夫からカミングアウトされてから、暗闇の中をずっと歩いているような。
涙が止まらなくて、何も考えられなくて、私がこれから生きていく意味があるのかと、繰り返し、繰り返し考えていました。
外に出れば目に映る幸せそうな妊婦さんや赤ちゃんを連れた夫婦。
テレビをつければ、芸能人の妊娠報告。
ドラマでさえも妊娠というワードが出てくると、チャンネルを変えていました。
もう、私はこの人たちのような人生は歩めないんだ。
当時の私はそのことしか考えられずにいました。
同じ時期、高校の友人と集まることに。
集まった6人中、3人のバッグにはマタニティーマークが。
それを見た瞬間、足元が崩れ落ちるような絶望感が襲ってきました。
置いていかれる…
33歳なんだし。当たり前だ。みんなもそういう時期なんだ。
と自分に言い聞かせて、何とも言えない感情を抑えつけました。
「子供がいないnoonsan(私)のほうが、お母さんみたいだね!」
ひとりの友人の一言。
幹事だった私は、友人の子供も数名来る予定だったので、塗り絵や折り紙を用意していました。
そんな行動を見た友人からの言葉でした。
感謝されて嬉しいはずなのに、
ああ、もう私はお母さんになることはないんだ。
私は、まだまだ暗闇の中を歩いていました。
その後、たびたび開催される集まりは、なんとなく気が引けてしまい、行けなくなってしまいました。
幸せそうなみんなと会うのは、私には辛すぎました。
会わなくても、定期的に流れてくるグループLINEの出産報告。
「おめでとー!」
「また会おうね」
気持ちが入っていない、ありきたりのメッセージ。
自分の心がどんどん真っ黒になっていきました。