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【レポート】テレビノーク#11「記録すること、伝えること」

月に一度、カロクリサイクルの活動進捗をシェアしたり、聞きたい人をお招きしておしゃべりしたりする配信「テレビノーク」。
#11は6月28日(水)にお届けしました。
アーカイブはこちらからご覧いただけます👇


#10に続き今回も出張配信。瀬尾さんと小森さんは仙台の「book cafe 火星の庭」に会場をお借りして、大地くんは東京のスタジオ04から、それぞれ参加です。

各地でご視聴の方も、仙台にお越しの際はぜひチェックしてほしいスポット、「book cafe火星の庭」。店主の前野さん、いつも快くご協力くださり、本当にありがとうございます!


東京のスタジオ04も、火星の庭のようにさまざまな地域の記録の集合場所にどんどんしていきたいですね。

小森さんはいつも映らない!

さて、今回ゲストの佐藤正実さんですが、NOOKが仙台を拠点としていた頃にご一緒にリサーチセンターを運営し、企画を協働開催してきました。
実は一年半前も、「まちの記録を残す、活かす」というお題でトークが白熱👇


NOOKが「カロクリサイクル」で東京というまちに触れはじめるにあたって、記録を利活用する大先輩・正実さんと東京でもコラボできたらな、と当初から妄想を膨らませ続けています。

そんなわけで今回は、カロクリサイクルや東京の拠点の様子を正実さんにご紹介し、正実さん流の「記録を見せあう場」づくりについてじっくりお聞きすることに。

正実さんご登場!

フリートークでは、6月時点で募集をしていたふたつのワークショップを話題にあげています。
(※いずれも8月現在は既に募集終了。ワークショップも実施済み、進行中です)

カロクリサイクル 「記録から表現をつくる」👇

カロクリサイクル 「とある窓」👇

ふたつのワークショップで大事にしたい要素は、さまざまな分野や世代、異なる背景をもつ人たちと交差する場になること。記録の活動をしてきている先人たちはこれから生まれる試みをオープンに応援してくれるから、まずはトライしてみること。
とはいえ、昔の記録にどう触れていいか迷うことももちろんあるよなあと想像しながら、正実さんへバトンタッチ!

誰かに伝えるためのメディア

正実さんが記録を集め、読み解きに没頭していく転機には、さらに大先輩の存在が大きく関わっています。
地域の文化を残し伝える雑誌『仙臺文化』を仲間たちと発刊していた、メディア研究家(地域文化・出版文化研究家)の渡邉慎也さん。

埋もれつつある文化を掘り起こし、どんな人にもわかるように作られていた『仙臺文化』。
「はがきとか、週刊誌とか、本として認められないものを集めることが大事なんだ」という言葉と共に、写真や地図の見方、先人が残した資料に対するリスペクトを慎也さんから何度も聞かせてもらった、と語る正実さん。

打ち合わせてないのに即座に資料を出してくださる店主さん
火星の庭に『仙臺文化』特装版があります!

冒頭では手彩色の絵葉書を取り上げてさっそく読み解きがはじまっていましたが、ポイントを知って見え方が変わっていって、どんどん惹き込まれます。
「記録はそれ自体のためにあるんじゃなくて、誰かに伝えるためにあるんだよね」と正実さんが話していたように、人に伝えるためのメディアとして記録を考える、という部分は、利活用の仕方が今後増えていっても、ずっと根底にあるのだろうと感じました。

見方、愉しみ方をシェアする

◆今回おもに話題に出ていた、記録を誰かと見あう、利活用の手法

・“勝手に”仙台七夕まつり ガイド
・どこコレ?-おしえてください昭和のセンダイ
・3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー

いずれの手法にも共通するのは、記録を収集して終わりにするのではなく、使い倒していくこと。世代のちがう他者と見ること。特殊な材料ではなく、身近にあるアイテムを用いること。

“勝手に”仙台七夕まつり ガイド

どこコレ?-おしえてください昭和のセンダイ

地元に住んでいても意外と知らない祭りのルーツも含め、まちあるきで祭りの愉しみ方をシェアする“勝手に”仙台七夕まつり ガイド。撮影場所不明になっていた古い写真の、場所を特定していく「どこコレ?」。
どちらも仙台豆知識をたくさん散りばめていただきながらプロセスをお話しいただきましたが、これはのめりこむと抜けられなくなる沼ですね!
このレポートを書くため、宮城の自宅でアーカイブ配信を見返していたのですが、たまたま隣で聞いていた母(仙台生まれ)に、「これいつの七夕?」「え?石橋屋?ちょっと戻して」「四ツ谷用水?止めて止めて」とことごとくPC画面を奪われ、普段とはちがう話ができて楽しい反面、レポートは全然進みませんでした……(笑)
身近な地域を深掘りするムーブメントは嬉しい実感があるし、他の地域への触れ方にも繋がっている。
「小さく伝えていく。見えにくいけど、長くやってくと宝になる」という言葉の主語は、資料を囲んだ当人たちでもあるし、広く、地域、でもあるんだなと実感しました。

ちがう体験を持つ人とフラットになれる方法


「3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー」では、出来事の当事者性を一度はずして語る手法と、学校と協働した実践についてお話しいただきました。
どこコレ?と同じく、ひとつの写真に対して付箋にコメントを書いて貼っていく仕組みでも、こちらは積極的に声がけはせず、人それぞれのタイミングに合わせてじっと待つようにしている、という使い分けが、災禍の経験に対して長い時間をもったアプローチとして印象に残ります。

時間が経つにつれて利活用の様相が変化していく、そのディテールもあわせて、人に伝えられ、また記録になっていくようにも、聞いていて思いました。

東京でやってみたいことも、この一夜でまた増えましたね!

いつでも試したいこと尽きないメンツ


次回のテレビノークとマガジンのお知らせ


テレビノーク#12は、7月28日(金)に配信済みです。
町田市立国際版画美術館学芸員の町村悠香さんをゲストに「出来事との距離を考える」をテーマにお届けしました。
アーカイブはこちらからご覧いただけます👇


直近の生配信は、8月18日(金)の20時から。
今回は東京国立近代美術館研究員 横山由季子さんをお迎えして、現在開催中の「所蔵作品展 MOMATコレクション」にてご担当の「関東大震災から100年」のお話などを伺っていきます。
生配信中、ぜひチャット欄に質問や感想などをお寄せください!


先月からはじめた定期購読マガジン『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』も引き続きお届け中です。

《8月号のラインナップ》

語らいの記録:「もう誰にも死んでほしくないなって思います。」(瀬尾夏美)
今月の絵手紙:「荒浜の灯籠流し」(佐竹真紀子)
今月のエッセイ:『 ”さよなら”はしません  - 「ラジオ下神白」の編集を振りかえって - 』(小森はるか)

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レポート:佐竹真紀子(美術作家)

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