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【見返しレポート】テレビノーク#16「インドネシアの住まいと復興」

カロクリサイクルの一環として、話をお聞きしたい人をお招きしておしゃべりする「テレビノーク」。
過去配信回は全てアーカイブでご覧いただけます。

カロクリサイクルは、カロク(=災禍の記録)を探し、記し、また別の誰かに手渡す試み。テレビノークも月一で配信し続けていくと、各回の時勢と対話が残った記録物となっていきます。数ヶ月の間だけでもさまざまなことが目まぐるしく起き続けていて、折に触れて振り返れる日記のような記録が大事だなあ、と思うこの頃です。

というわけで今回は、12月6日(水)配信の#16「インドネシアの住まいと復興」を見返していきます。
アーカイブのリンクはこちら👇

今は5月の末なので、実に半年近く前のトークですね。
2023年12月はまだ能登半島地震が発災していない頃と思うと、遠い時間のようにも感じてきます。

スマトラ島沖地震から20年が経過したインドネシア。現地に赴いたリサーチとそこで感じたあれこれをベースに、インドネシアと日本の被災 それぞれの住まいと、災禍からの復興過程のまつわるおしゃべりが盛りだくさんな回でした。
土地によって起きる災禍とその後の時間の流れ、暮らしぶりはあまりにもちがうし、比べて是非を問えるものでもないからこそ、それまでの土地の時間も含めて聞いて、お互いを知っていきたいですよね。

さまざまな視座から調べる  -住むの風景


ゲストの柴原聡子さん、小林恵吾さんご登場!

今回のスタジオゲストは、編集者の柴原聡子さん、建築家の小林恵吾さん、そしてそして小林さんの研究室のある早稲田大の学生のみなさんです。

ゲストのみなさんがリサーチャーとなって活動しているプロジェクトが「住むの風景」。
災禍を経験した地域で、住まいがそれまでどうやって形成してきたか、集落がどう変わったか。建築的な視点から、環境や地質、気候変動、歴史などの背景への視座も合わせもちつつ協働でリサーチしていくご活動です。

住むの風景👇


写真詩集『New Habitations: from North to East 11 years after 3.11』👇


プロジェクトとしてはインドネシアが初の海外調査とのことで、小林研究室のおふたりがこまやかにリポートしてくださっています。

2021年から活動が始まったFuture Habitat Project。
小林研究室のおふたりもご登場!

ジャカルタでの洪水と地盤沈下による浸水被害、アチェでの津波。2地域での調査の様子をさまざまな角度から伝えつつ、日本の復興と並べて眺めての考察。
テレビノークを2時間まるまる見切れないかも…という方は、40:30ごろからのプレゼンに飛んでのご視聴もありかと!
今回も気になるトピックを少し拾っていきたいと思います。

気になるトピック


・カンポン(=集落)調査  
 古くからあるカンポンと、大災害後に行政主導で垂直につくるカンポンとの比較
 ーにぎわい、住みやすさ、柔軟性、共同生活、プライベート

・ジャカルタ沿岸部の地盤沈下と埋立地開発、海面上昇
・歴史背景と治水 - オランダ統治時代
・住民主導の水害対策と、近代的な堤防

・ごみ問題、公害問題
・インフラの近くにできていくあたらしい営み
・堤防の先に見つけた、船を家とする生活

・2004年の津波によるアチェでの被害 / 記憶を聞く
 通称ジャッキーチェーン村の風景から

・アチェのメモリアル

・避難タワーのオープンスペースとしての利用 / 生活の一部
・復興住宅の自由度

・発災~復興の過程、どんな時代情勢で起きていたか? 
「内戦を津波が止める」転換点としての災害
 脱却したい内戦時のイメージ

・内戦の語り継ぎはどうなってる?
→20年という時間ではまだ生々しく、語れない状況にある
→個人単位で語ること、本にすることからはじめる
 小説を書く行為(フィクションを挟む)

・津波の伝承は?

・インドネシアと日本の、ちがう復興のあり方

・経済成長と人口増加の右肩あがりでの復興 
→日本の震災復興は過疎化と高齢化の問題では?
→記憶継承の傾向も年配の人が多いからかも?

・復興に自分が参加できる感覚

・カフェ文化は、道につねに人がいる!
 おしゃべり文化と記録の関係性
(話かけ苦手文化が記録を増やすのやも…?)



などなど、ざっくりですが話題に挙がりました。

インドネシアの現在の風景は被災当時の記録写真から結構ガラッと変わったように印象を受けて、前談のフリートークで大地くんと瀬尾さんが「記憶は風景の中や他者、外部にある(或いは残っている)トリガーにかなり依存してる」と話していたのを思い出しました。
風景がたくさん上書きされた後で語り継ぎたくなったら現地の人はどうするのかな?とも気になったのですが、誰かと話せるカフェ文化の環境も大事なトリガーなのかもしれませんね。

土地の風景をお写真交えてお伺いした流れで、後半はインドネシアと日本の様子を行ったり来たりしながら、みなさんでおしゃべり。

朝番組の出演者みたいな並びのみなさん

柴原さんからは、リサーチ旅で出会う若い世代の、歴史と自分との距離や立場の保ち方(取り方)のスマートさ、について話が及びました。
小林さんは、暮らす場所に植物を植えたり場自体を改良したりといった、自分たちが住まいに手を加えている/加えられる余白があることによる、精神的な回復について触れられていました。

応用したいポイント:友達を誘うコツ


異なる地域を重ねて眺めていった#16。捉え方もマインドも状況もちがっていてすぐ真似できるわけではないと踏まえつつも、応用したいポイントが各所に散りばめられていました。
ご視聴のみなさんは応用したいポイントはありましたでしょうか?
わたしは避難タワーでのテコンドーに憧れました!とはいえいきなりはトライ出来なさそうなので、まずは避難の丘でスケッチ大会、とかからやってみたいです。

テレビノーク配信一覧

テレビノークは#20までが配信済みです。
今回見返した#16の、続きまとめ👇

#17「リトアニア滞在記と2023年の振り返り」


#18「11年後の風景を歩く」

#19「資料から探る戦後芸術」


#20「出来事からの時間」

少しずつ見て追いかけてもらえたら嬉しいです!

次回のテレビノーク生配信


直近の生配信は5月25日(土)16時から。
今回のテーマは「『原爆の図』がある美術館」です。
原爆の図 丸木美術館の学芸員 岡村幸宣さんをお迎えし、『原爆の図』のお話や、丸木美術館で過ごされている日々のこと、被爆から80年経った今現在感じていることを伺っていきます。
テレビノーク#21 生配信リンクはこちら👉

生配信中のチャットでの質問&感想でのご参加、大歓迎です。
よろしくお願いします!


レポート:佐竹真紀子(美術作家/一般社団法人NOOK)

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