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【見返しレポート】テレビノーク#21「文化的アクションの実践―ソウル、仙台、オアハカ」

カロクリサイクルの活動紹介や、ゲストを招いてテーマにまつわるトークをお届けする配信番組「テレビノーク」。
noteではこれまでのアーカイブ配信を見返してレポートをお届けしています。
レポート担当は仙台の佐竹です。

今回見返すのは、2024年4月30日(水)20:00~に配信した#21「文化的アクションの実践―ソウル、仙台、オアハカ」です。
アーカイブ配信のリンクはこちらから👇

#21のゲストはどよんさんです。
どよんさんは1981年、大阪生まれ。2001年から2006年までアート・コレクティヴ“MAKK”のメンバーとして活動していた他、個人でも国内外でレジデンスによる滞在制作や個展をおこなっています。一方で、労働運動や反基地闘争などの社会運動にコミットしながら、さまざまな文化的アクションを続けられています。
本人曰く大工さん。今回はメディアアクティビストとご紹介させていただきました。
展覧会のインストールや場所の空間づくりも行うし、言わずもがな料理もお上手で、とにかく多彩などよんさん。
今回はその中から、ソウル、仙台、オアハカでの文化的アクションの活動の一端をお伺いしました。

仙台で出会った3人。4年ぶり?くらいに再会!

トークの途中で「どよんさんはホスピタリティがすごく高いよね」と話していたように、配信は終始リラックスした温度感で一服しながら進行。場を和ませてくれるどよんさんの雰囲気をアーカイブで味わっていただけたらと思います。

どよんさんはどんな人?

どよんさんが東北に入ったのは2011年6月。韓国で東日本大震災の発災を知り、記録目的ではなく、とりあえず行こう、現地でボランティアをしよう!と思い立ったとのこと。
震災直後の東北には支援や記録の活動をしようと国内外から人の流れがありました。仙台のせんだいメディアテークには記録のプラットフォーム「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」が発足し、街中には「シェルター」という、集まっていた人たちが寝泊まりできる場所ができていました。
どよんさんもわすれン!の活動とシェルターの環境づくりに合流したおひとり。テレビノーク#19に出演した細谷さんとは一緒に活動されていた仲ですね。

「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」

近況も含めて、以前から聞いてみたかった質問に今回お答えいただきました。

現場で集った人たちとの、文化的なアクション

〈ソウル編〉
◆どよんさんが記録をしはじめたきっかけ
・こどもの頃から見ていた周囲の環境
 →韓国の民主主義の運動、大学生によるデモ、地域にいる貧しい暮らしの人びと
・高校生時代の先生からおすすめ「ドキュメンタリーをつくったらいいんじゃない?」
・技術系の高校での発明や実践 
 →遊びでありつつ、同時に社会の記録もしてる


◆人生が変わった出来事、「龍山惨事」
・1980年代頃からソウル市内で活発になったジェントリフィケーション
 →都市開発によって、貧しい暮らしをしていた住民たちが立ち退きに。反対運動が続く
・2009年、龍山(ヨンサン)区で立ち退き住民らと警察が衝突、火災が発生し死者が出る「龍山惨事」が起こる

・焼けた建物の隣にオルタナティブメディアセンターを発足
 →人が集まり、それぞれに企画をし手伝う
  反対運動の活動やその記録撮影
  インターネットやラジオでの発信

・現場に必要なホスピタリティ
  どよんさんはカフェをつくってコーヒーを淹れていた
  「辛い場所だけど、落ち着ける空間があるといい」
  悲しいことがあっても集まることが大事

 なくなった人のお葬式や、事件のあった日に今も集まり続けること
 →弔いでもあり、デモでもある
 韓国で定番として続くキャンドルデモ(ろうそくデモ)について

人が集うオルタナティブメディアセンター
急速に変わっていくソウルの風景の記録

 “MAKK”は、都市や社会のテーマも個人的なテーマも扱うコレクティヴで、開発現場で開催していたインスタレーションの展示を見て、どよんさんも途中から加入。アトリエやギャラリーをつくって活動されていました。
夜通しメンバーで真剣に話したあとに寝ないで朝から仕事に行く、ストイックなご活動だったようですが、ひたすら語らい合える関係性もなかなか得難いですよね。


1年ごとに土地に行って、30年間撮り続けよう

配信中盤では、東日本大震災で被災した仙台・蒲生でのアクションについてお伺いしました。

〈仙台・蒲生編〉

・各地を回って蒲生を撮ることにした理由:
 あまり記録されない場所、人が見逃しがちなところを撮る

・1年ごとに行き、30年間その土地の写真を撮りたい
 →1,2年じゃ変化を捉えられない、震災後10年撮っただけではわからない

・土地に行く方法と見方の特徴
「見つけた足跡で、その人がどういう年齢かわかる」
 徹底的に歩き、動物的な見方で記録されるもの

仙台・蒲生の風景の記録

スライドのこの写真はおそらく防潮堤付近から撮影されたのかな?と。私もたまに蒲生に行くのですが、今ではすっかり工業地帯化しているので、ちょっと懐かしいですね。10年30年と蓄積されていく記録を、土地で活動されている方たちも活用したいと言いそうだなあと想像しながら聞いていました。


記録を現地で活動している人に渡す

ラストはオアハカの話題です。
インディペンデントキュレーターの清水チナツさんがオアハカに1年半滞在したことをきっかけに、2021年にどよんさんもオアハカへ。
風景のお写真と共に土地の暮らしや滞在についてお聞きし、最後はどよんさんが撮影した女性版画のコレクティヴ「ARMARTE」の活動の記録映像を見せていただきました。

オアハカのパノラマ
ごみをめぐるストライキ

・どことなく韓国と似ているオアハカ(性格がはっきりしている?)

・オアハカの生活事情 
 水問題 三週間に1回水が出る
 ごみ問題 分別が広がるも追いつかず

・エッセンシャルワーカーたちが抱える問題、労働者のストライキ
 →その様子を記録
 社会や政治に問題があるけど、その分、住民たちの自治が強い

・女性版画のコレクティヴ「ARMARTE(アルマルテ)」による運動の記録映像
→版画のコレクティヴが多いオアハカで、国際女性デーに行なわれた、女性の権利向上を訴える街中でのアクション
オアハカに行ってからARMARTEの知り合いになり、誰も記録してないからとどよんさんが記録する

・どよんさんにとっての記録
 つくった後の表現や展示する作品は自分のものではなく、切り離される
 記録は人に渡し、活動に使ってもらう

「記録は撮影対象にあげる。本人たちの活動に使ってもらいたい」。記録の在り方についてどよんさんから出た言葉は、今回のオープニングで瀬尾さんと大地くんが話していた「聞いた語りを形にして返していきたい。返した先で使われて何かが始まるかもしれないし、そうでなくてもいい、相手に任せていい」という内容とも重なって、ちょうど回帰しましたね。

4年ぶりの再会で「何も変わってないな」と言われたNOOK(笑)

どよんさんはその後もStudio04でパーティでご飯を振舞ってくださったり、棚や床の空間を整えてくださったりと、ホスピタリティを発揮してくださっています。
みなさんもばったりお会いすることがあれば、ぜひおしゃべりしていってくださいね!


スタジオでは、能登の文化伝承を高校生たちが聞き書きした「ノトアリテ」も取り扱いさせていただいております。こちらもよろしくお願いします。
(現在欠品中で入荷未定となっています。公式ウェブサイトをご確認ください。)


次回のテレビノーク

次回のテレビノーク生配信は10月3日(火)20:00~生配信。
テーマは「せんそうに出会いなおす」。写真家の八木咲さんと進めている「せんそうって」プロジェクトを中心に、対話を通してわたしなりに「せんそう」を捉えていく試みや、記憶を受け止め、渡していくことなど、お話を伺います。後半は、NOOKの実践についても聞いてもらいながら、一緒におしゃべりしたいと思います。


これまでの過去回のアーカイブ視聴もおすすめです。
テレビノーク、今後もよろしくお願いします!

レポート:佐竹真紀子(美術作家/一般社団法人NOOK)

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