𓂃𓈒𓏸 𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑 𓂃𓈒𓏸 2024年12月号

定期購読マガジン 『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』 2024年12月号をお届けします

NOOKの活動をもっといろんな方に知ってもらう機会になればと、月に一度、𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑を配信しています。
ご購読いただいた売上は、NOOKの活動を継続するための資金として使わせていただきます。またNOOKのWebサイトより、直接ご寄付いただくことも可能です。わたしたちの活動はちいさなものですが、この記録組織を変わらずに続けていくために、どうかご支援いただけますと幸いです。

𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑限定のコンテンツは現時点で大きく３つになります。

✦ 語らいの記録 ✎𓂃
『語らいの記録』では、多くの旅を通じて出会った語りを絵画や文章で記録し続けている画家・作家の瀬尾夏美が、毎月ひとつの語りを取り上げ、その語りが生まれた空間をやわらかな文章で編み直します。

✦ 今月の絵手紙 𓍯
『今月の絵手紙』では、画家・作家の瀬尾夏美と、美術作家の佐竹真紀子が毎月担当を交代しながら、ドローイングを交えたみなさまへの絵手紙をお届けします。

✦ 今月のエッセイ 𓅯 ⸒⸒
『今月のエッセイ』では、主に劇作家・演出家である中村大地、映像作家の小森はるか、美術家の磯崎未菜、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平が、交代でエッセイを執筆します。自身の活動についてや、最近ハマっていること、海外での驚きの出来事など、それぞれの視点から紡ぐ季節のエッセイをお楽しみください。

他にも、 NOOKメンバーにやってみてほしいこと、聞きたいこと、お願いしたいことなど、新コーナーのアイディアをいつでも大募集しております。各SNSでのリプライや、ハッシュタグ #NOOKLETTER にて教えてください。❀´-

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今月のラインナップ

語らいの記録：
「原爆資料館には行きましたか？（長崎のまちで）」（瀬尾夏美）

今月の絵手紙：
「2024.5.22 輪島市門前道下」（瀬尾夏美）

今月のエッセイ：
「鮭と白鳥、今年も阿賀に帰ってきた」（小森はるか）

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それではさっそく、瀬尾さん書き下ろしの語らいの記録からどうぞ。

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語らいの記録 ✎𓂃

18.原爆資料館には行きましたか？ （長崎のまちで）

今年、友人とふたりで初めて長崎を訪れた。6日間泊めてくれた民宿のおじいさんは、わたしたちを空港行きのバス停に送る軽バンを運転しながら、ちらりとこちらを見て問いかけた。

原爆資料館には行きましたか？

不意の問いかけに驚きながら、でもここが長崎だと思えば自然なことなのかもしれないとも感じながら、初日に行ってきましたと答えると、おじいさんが少し間をおいてつぶやく。わしもあのう、被爆者なんよ。

突然の告白に相槌が見つけらずにいると、おじいさんは話を続ける。
わしはあのとき4歳やった。父親は足引きずってる人でね、おかげで徴兵を逃れたために、まちの軍需工場で働かされよった。そしてあれが11時だから、一服いう気持ちで高窓をのぞいた瞬間、ピカッと来たんだと。それで上半身が大火傷になってね、もう内臓が見えてるような状態で、３キロ離れた家まで歩いてきた。だけど、布団に寝かせるだけで、何にもできないでしょう。薬も何もないんだもの。そのうちウジが湧いてね。一週間くらいは生きたかなあ。