見出し画像

大好きなあの子のカッターナイフを借りてリストカットをした

急に自分の過去のNOTEを読んでいたら思い出したのが、借りたカッターナイフの色とあの時の鮮血と夏の生暖かい匂い
喉に詰まってるようで飲み込むことも吐き出すこともできない天津炒飯の米粒の違和感を掻き消す勢いで記憶が蘇ってきた

13歳の夏、もう戻らない尊いあの頃の時間は私の被虐的な思考で全て、殲滅されてしまった。ワクワクしながら通ったダンス部の夏練が始まって間もない頃、いつも通りに9:00からのレッスンに出て12:00までノンストップに踊り狂って、大好きなあの子たちとお昼を食べて、13:00から20:00までラボで勉強をする。
当たり前の毎日のように思わされてた
それを急に、本当にある日突然ね、どこか奥ゆかしくあるべきなんじゃないかと思ってしまって、ラボに狂ってた君を誘って脱獄した
乗り気じゃなかったはずのに、参考書を持って一緒に脱獄してくれたから、Twitterで日に日に火力増してく悪口を書かれてるのを知っていても嫌いになんてなれなかった。


13歳にもなれなかった冬に起きた私の中の大事件!目まぐるしいスピードで日々を過ごしていく中で、突然4組の2人が泣き出して。2組から毎日逃げ出してた私にとってはすごく身近に感じてしまって、関わらなきゃよかったのに気軽に首を突っ込んだ。

「あのね、Twitterであたしなりすましされてて、勝手に悪口書かれてるんだ。」

廊下でしゃがんで泣き出す2人を見るとワクワクした!嬉しかった。宝探しが始まったみたいだった。同情するフリして、脱出ゲームにタダで参加したみたいな優越感だった。まだ操作に慣れないiPhone5を片手に帰り道。私1人だけまだ4Sでも私が1番いんたーねっとを分かっていたからみんなのSNS、監視してた。
勝手な責任感を振り翳してる格好して本当は自分の欲望のために2人の涙を舐め掬った。心にまとわりついて、自分の居場所みたいにしたかったから。

依存

自分の好きを無料で提供したフリをする。10歳の時に悪ふざけで撮った全裸の写真を思い出したりして、わたしの愛って何なんだろうとかを思ったり。彼女たちには日に日に被害が出ていって、いつの間にかそれは物理的なものに変わっていった。巻き込まれた私たちを含めた10人全員が危機に侵されたような、それもまた名探偵コナンの世界に来たみたいな優越感で、なぜかテストの成績は全員上がった。朝早く登校して校内の見回りを110円のプリンを食べながらする時間は特別のように感じつつも、冬の寒さに肩を震わせて第二美術室の廊下をガンダで抜ける。職員室の連絡網が壁にかかった廊下をゆっくり歩いて、階段をまた一段飛ばしで駆け下りながらところどころにある鏡で自分の見た目をチェックしてしまう。思春期だった。自分の教室の壁に、2人の電話番号が書かれた紙が貼ってある。アトリウムにも、電話番号の紙が散らばっていて。SNSでのなりすましから、個人情報の拡散までレベルが上がったいじめにゾクゾクとした。#9110、かけても何も相談になんて乗ってくれなかったから警察って嫌い。ほんと、バカみたい。

なんかいつの間にか美味しかったはずのプリンの味にも飽きてきて、私は13歳になった。

誕生日当日は、黒板アートとかしてくれて、初めて中学生になった気分になったけど、なんか、Twitterはざわついてたみたい。私のなりすましもされちゃったー‼️嬉しいっ⭐️有名人みたいっ⭐️
心のニヤつきに戸惑いながらも、誕生日にインストールしたTwitterから当時やってたVtuberのアカウントとか作って文房具から取った簡単なIDで遊んだりした。忘れたふりって大切だなって思って、忘れられなかったけど。そういえばその頃、大好きなあの子はスマホを持っていなくて、ガラケーでTwitterやってたなあって思い出して、相互になった。あたしいんたーねっと大好きだったから、アカウントに登録された電話番号の下2桁がなりすましアカウントと同じって気がついちゃったりして、みんなに大声で言い出せなかった。全ての元凶はこの子なんだってどこかで気がつきつつも楽しいから見て見ぬ振りをして、電話番号とTwitterでの悪口を拾い集める。登校中に見つけた性液付きのコンドームを持ってきてぶん回したりしてたアイツの住所とかも拾い集めたりした。痴漢された時に相談したらそれくらい普通じゃない?笑 って簡単に蹴散らしたあの子と、心の中でワクワクしながらテストの答案用紙を拾ったりしたのが青春だったなー。

2年生、また夏に戻るけど、初夏にラボに本入学した私は、大好きなあの子と2人きりになったりした。あの子は一年生の一番初めからずっとラボにいて、明るくて、先生みんなと仲良くて、その話ずっと聞いてたから私がラボに入る頃にはみんな知ってる先生だった。

生物部のポップ制作をするという理由をつけて、部室からカッターを持ち出した日、切れ味が悪くてどうもダンボールが歪んじゃって何だか気分も悪くなったあの日。私は突然Twitterに登録された電話番号下二桁が彼女たちで同じだったことを思い出したから、元アイドルのあの子のスマホを盗んでロックを外して、新しいアカウントを作った。大好きなあの子のなりすましアカウントを、元アイドルのスマホに登録する。

大好きなあの子の歪んだ笑顔と私に向ける侮辱の目線と2人きりの時の甘い声、ぜんぶ愛おしくてミルクチョコレートみたいな味がしてた。たまにくれるキットカットとか生物部のブラックサンダーとか、すごく似た味だった。狂った笑い方をするTwitterの犯人のツイート、私は仲間だよって合図。

大好きなあの子の物の持ち合わせの良さといえば、学年でも有名!どうしても気分が落ち込む中で、ポップ作りと好きな先生の授業だけは成し遂げたくて、私の身の何かを犠牲にしないといけないなと意気込んだから。

「プリント切るのに使うからミニカッターセット貸してくれない?」

はちゃめちゃな気分で冷や汗をかきながら53番の席に借りにいって、先生にバレないように息を殺してトイレまで逃げ込んでトイレットペーパーをぐるぐる取り出して自分の席に戻った。5センチ弱くらい刃を出して、プリントを折りたたんで、刺して綺麗に切る。段ボールを切る前に、自分の真っ白な左腕に刃を押し当ててみる、垂直に。じんわりと生暖かい刃物の感覚がマッサージみたいだった。鼻につんとくる先輩のシーブリーズの匂いとこもったラボの重たい空気に、私の愛が混ざった気がした。

5本ぐらい赤い線を塗って、刃物を綺麗に拭く感覚で段ボールを切り落として、ミニカッターセットを返しに53番まで行く。トイレットペーパーで巻いた左腕は隠してそのまま好きな先生の授業に行く。

お前メンヘラなの?って先生に聞かれてそんなところが大好きで、付き合ってーって冗談でせがんだり。

チョコレートが大嫌いな、私の夏の恋の思い出♡

いいなと思ったら応援しよう!