大切な場所を手放し向かう先
先日、チェンマイの部屋のものがめいっぱいに詰まった大きな段ボールが3つ部屋に届いた。そこに顔を突っ込んで深呼吸をしてみる。
特段特別な香りなんぞはなく、ただただ自分の着慣れた服だとか、ちょっと埃っぽさが残る段ボールの匂いだとか、そんなものしかなくて、ほんのり寂しさが滲んだ。
「最近何処にいるの?」
と聞かれる機会が増えてきた今年の4月頃、近況報告をまとめて書いてみた。
これを見て岩手に遊びにきてくれた友人がいたり、宣言通り6月のはじめにはチェンマイに帰ったりして、でも大気汚染期間が終わった今も変わらず私は日本にいます。
チェンマイで過ごした部屋は引き上げて、今は実質拠点がなくなった。
岡山の家も、前に取締役を務めていた会社に引き継いで、今はもう私のものはほぼなくなってしまっている。
改めて大々的に報告することでもないのかなとも思いながら、こうして多くの人に見守ってもらえる人生になったのだからきちんと言っても良いのかな、とゆらゆら揺れていたらいつの間にか時が経ってしまっていて、こっそりこのnoteに書き記しておこうかな。
今お腹の中に新しい生命体がおります。
自分以上に周りが自分のことのように喜んでくれて、私はそれを見て引っ張られるように嬉しいことなのだなあと実感している日々。
ただ正直不安の方が数倍大きくて、なんだか落ち着かない毎日を過ごしてます。
自分の生活バランスが崩れてしまうんじゃないかとか、クリエイティブに何か影響が残ってしまうんじゃないかとか、こんな風に「わたしわたし」となってしまうのも、幾つになっても未熟で情けない。
「そんなスタンスで母親になれるのか!」と、お腹の中から怒られそうです。ごめんよ。
でも、本音なので誰にも気を使わず、飾らず書き記しておきたかった。
こんなこと書くと「嬉しくないの?」と聞かれてしまいそうだけど、自分の中に生命がある感覚は、嬉しいというより不思議でたまらない。
誤解を恐れず言えば、好奇心が勝っている、という表現が正しいかもしれない。
私の食べたものがそのまま違う命の糧になるだなんて生まれて初めての経験だし、私の体にそんな機能が付いていたなんて?と改めて感心してしまう。
ところで「妊娠期間は母親になる準備なのだ」と何かの書籍で読んだことがあってなるほど。だから十月十日もお腹の中で待機しているのね、とふむふむしていたけれど、いざ自分がその立場になると「いやいや。35年も主語がわたしだったのに1年未満でそんなすぐマインド切り替わらないよ!」と慌てている。
できるならば後3年くらい、時間をください。
もし居心地がさほど悪くないのであれば、お腹の中でもう少しだけゆっくりしていってほしい。
みんなどのタイミングで「私」から「この子のお母さんである私」になるんだろう。生まれたらそうなるのか、生まれる前から少しずつ実感が湧くのか。
産後、このnoteを読んでアンサーを書きたいと思う。
ということで戸惑いながらも妊婦ライフを送っています。
当面は岩手県で過ごして、出産は神奈川で。
その後は金沢でしばらく過ごすことになりそうな予定。
なんとまあ。人生わからないものだ。だから多分楽しいのだけれど。
離れた今も、心の真ん中にはずっとチェンマイにある。
どうしても繋がりを感じていたくて、どうにか産前に形にしたくて、一生懸命に作ったブランドは先日、形になってみんなにお届けすることができた。すごく、ホッとした。
恋焦がれて恋焦がれて夢にまで見てしまうこの場所を、我が子も好きになってくれたら嬉しい。「ほらここがお母さんのパラダイスですよ!」と胸を張って紹介するので、いいねって言ってくれたら嬉しいな。
またこれは主軸がわたしになってしまうので申し訳ないけれど。やっぱりどうしてもタイで暮らしたい。あの場所で深呼吸する人生でありたいんだ今世は。娘か息子くん。君はどうかね。(ダメな時はその時、また関わり方を考えよう)
こうして離れている間も、ブランド「Paasky」を通じて繋がっていられることを本当に、心から幸せに思う。一緒に作ってくれたメンバーにも、着てくださる方にも、感謝が絶えない。
(実際にワンピースを現地で着てくれている友人もたくさんいて、それが縁で友人同士が繋がったりと、楽しい報告も耳にしながら)
ということで、1年過ごしたチェンマイを本格的に離れました。一旦。
書きながら泣きそうだけれど、この先向かう未来は、きっともっと輝いていると思う。
だって1人より2人、2人より3人の方ができる事も幸せも、増えるってよく聞くじゃない。新ステージ、楽しんでいこうじゃないか。
ということでひっそりと(?)したご報告でした。
まずは健康で過ごしつつ。子供もちゃんと生まれてくることを祈りつつ。
あれもこれも広げているものを畳んで形にして…をとりあえず、出産まで頑張ります!(お仕事もできる限りはストップせず走る予定です)
Paaskyのワンピース第二弾も、着々とチェンマイで縫ってもらってます。
また現地の香りと共に届くことを楽しみに。
明日も、頑張って生きようね。
いつもありがとうございます。いただいたサポートの一部は書く力の原動力のおやつ代、一部は日本自然保護協会に寄付させていただいています。