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無痛分娩を求めて三千里。35歳、はじめての出産レポート。

2024年11月7日に、第一子を無痛分娩で出産した。産前から「レポートを書こう」と決めていたので、入院時からこのnoteを下書きに残していたのだけれど、産後噂によく聞く「マミーズブレイン」に私もがっつり陥った事と、ミルクとオムツと授乳のトライアングルを一日中ひたすら繰り返していたらPCを触る暇な微塵もなかったこと、そしてボーッと流れる雲を見つめていたり、早朝に手ぶらで何故かコンビニを徘徊しながら「ところでなんで私ここにいるんだっけ…」とポンコツを大発揮していたらいつの間にか1ヶ月以上経ってしまった。

昔「風のように時が流れていた」というタイトルのケータイブログを付けていた事があるのだけれど、まさに子育てのはじまりはそんな感じで、おかげでそんな古の記憶を頭の引き出しから取り出せて、甘酸っぱい気持ちになったりしていた。

やっとこうして何とか時間をみつけて文章を綴ってみようと思えるようになった今、ありがたいことに子は五体満足ですこぶる元気に日々すくすく育っている。産前に「女の子かもですね〜」と産婦人科の先生に言われた時は「これで例えば生まれてみたら男の子で、見えないくらいの小さな◯んち◯が付いていたら、タイで大きくする手術をしてあげるのが親心だと思う?」と出産直前まで割と大真面目に仲の良い友人に相談したりしていたが、そんな心配をよそにぷりっぷりの、目元が完全に私そっくりのちいさな女の子が爆誕した。早く一緒に愛するチェンマイを歩いたり踊ったり何か作ったり、一緒にプリキュアグッズを買い漁ったりごっこ遊びをする日がくるのが楽しみだ。

ぷりぷりの娘。2400gと小さめに生まれました

さて、わたしは妊娠10週目頃にはいくらお金がかかろうとも絶対無痛分娩で生むことを決めていた。「無痛だし、痛くないなら大丈夫だろ〜」と表では余裕をかましていたけれど、やっぱり実際不安は大きくて、体験レポートのYoutubeやnote、ブログやコミックエッセイに勇気を分けてもらったり、心構えをさせてもらい、安心させてもらった。
とりわけ同じ病院で出産された方の体験レポートは、真夜中どんどん強くなる陣痛にひとり耐えながら、陣痛室で頭が不安に占領されていく中、なんとか冷静を保てたのは「これは、あのレポートに書いてあったあれだ…大丈夫だ」と本当に支えてもらった。なので「今度は私も、ささやかながら誰かの役に立てたら良いな」と思いこのnoteを残すことにした。

とはいえ、まだ絶賛マミーズブレイン中なので読みにくい点や、「え、なんでここでその話?」と謎に思うこともあるかもしれない(誤字脱字に気づいた方はそっと教えてやってください)
また、私の出産した病院の許可もいただいたので、今回は病院名や写真等を出してのレポートになる。もし同じ病院で出産を考えている方には、きっと何か参考になるのでは、と思う。

※ 産前、流石にきちんとしたカメラで撮る心の余裕はなかったのでテキトーにシャッターを切ったものが多め。写真家としてあるまじきクオリティの写真もあるが、お許しいただけると嬉しい。


岩手で無痛分娩を探すも全滅。里帰りし、神奈川県にある「海老名総合病院」へ

まず、わたしは里帰りで出産をした。

里帰りをした所で母が亡き今、そこまで頼れる人がいなかったので、本当は住んでいた地域で産みたかった。が、パートナーが出張中だった事と、初産で無痛分娩をしてくれる病院を上手に探すことができず、当時住んでいた岩手ではなく里帰り先の、神奈川県で病院を探すことにした。

多分出産の際、多くの人が「個人病院か総合病院か」で悩むのかなあと思いつつ、私の場合は岩手で片っ端から問い合わせるも全滅していたのでもはや「もはや無痛で産めるならどこでも良い!!!」ぐらいのテンションで「神奈川 無痛分娩」で調べた際、割と上の方に表示された海老名市にある、「海老名総合病院」という総合病院で出産することにした。

あまり下調べもせず選んだ訳だけれど、駅から送迎バスが出ていたり、最悪徒歩でもアクセスができたり、総合病院なので、体のあらゆるところに何かあった時にすぐに対応してもらえる安心感があることで、結果総合病院にして良かったなあという感想。私のように「もしなにかあった時どうしよう」という心配性な人には、もしかしたら個人の病院よりも合っているのかもしれない。

(余談だけれど、偶然ここの延命科で約10年前フィリピン・セブ島の英語学校で同期だった女の子が働いてた。ミラクル)

他にも数個並行して色々病院は調べはしたけれど、「岩手全滅」の体験を持っていたため、正直「早く無痛の予約を取らねば」が最優先事項だったので割と即決だった。

無痛分娩出産費用として15万円を前支払い後、本予約が完了

最初にお金の話を置いておくと、海老名総合病院の場合、無痛分娩で初産婦は15万円を初診の時に支払いする。これで本予約が完了。
ここには無痛の麻酔等のお金が含まれていて、最終手出しは入院費が乗って約18万円だった。ここは病院によっても差が出そう。なお、妊婦健診代は含まれていない。

わたしは今回出産予定の2ヶ月前まで足を運べなかったので、電話で無痛分娩の仮予約をし、そのあと実際に病院へ最初の診察に訪れた際15万円の支払いをした。また私のように里帰りの人は、代理で家族が病院に出向き支払いと申し込みをしても可能とのこと。

ちなみに無痛分娩は多くの場合先着の予約制なので、できるだけ早めにリサーチしたり、パートナーと話しておくのをおすすめしたい。
というのも、今回無痛分娩の仮予約をしたのは出産予定の6ヶ月前。にも関わらず既に定員オーバーの病院も沢山見受けられたので、「こんなに早く色々決めなきゃいけないの・・!?妊娠分かったばかりで心も体調も整っていなのに!?」な状態で自然分娩やら無痛分娩やらを考え、早々に決断しなければいけないのは精神的になかなかハードだった。

出産予定の1週間前くらいから、計画入院の相談がスタート


無痛分娩は計画的に麻酔を入れて陣痛を促すため「計画入院」という形で予定日の数日前から入院になる。
胎児の様子と、麻酔科医の先生のスケジュールを照らし合わせながらいつ頃、を決めていく。

わたしは11月8日が予定日だったので、その4日目の11月4日から入院することになった。決まったときは「え、産むのに4日もかかるの?」と不思議に思ったけれど、結果本当にゆっくりと1日ずつ体に負担をかけないように、出産までステップを踏んでいったので、なるほどそのための必要期間だったのか、と後々納得した。
このあたりはリアルタイムで陣痛室や分娩室で書いたので、日記形式で載せておきます。


予定日の4日前 | 計画入院で「陣痛室」へ

出産予定の受付を簡単に済ませ「陣痛室」と、ネーミングに緊張感が走る部屋へ通される。
さすがに出産までは大部屋なのかな?と思い、耳栓やアイマスクなど色々用意してきたけれど、結果この時点から半個室のような場所だった。神経質で少しでも音や光があるとうまく寝れない人なのでホッと一息。
病院用のパジャマに着替え、書類を書く。
海老名総合病院はパジャマもタオルもパジャマも用意されているため、よほどのこだわりがない人はこのあたりは持っていかなくても良さそうだった。

陣痛室。広さは3畳くらい。窓はなし。

何枚か書類を書いた後はお腹の中の赤ちゃんの検診。機械をつけて約40分程横になるんだけど、この時点で何故かすごく気持ち悪くなってしまった。
病院の空気に当てられていたのか、緊張からくるものなのかは不明だったけれど、館内に流れるゆるめのオルゴール音が妙に頭にぐわんぐわん響いてしまって、後で絶対にイヤホンをしよう、とこの時誓ったのを覚えている。

15時半に早めのシャワーを浴びて、明日は麻酔が入るかもしれないのでシャワーは無理かも、との説明を受ける。その後部屋に戻るとすぐに栄養を入れる為の点滴が左腕に入る。産後までは基本ずっとこのままで過ごすらしい。

18時に夜ご飯が提供されその後は明日の昼までご飯が食べれない可能性があるとの事だったので、夕飯が足りなかった時用に下のファミリーマートでお菓子とスティックチキンを急いで買い足した。

割としっかりめの夕飯を食べてそこから寝るまでは自由時間。書籍用に進めていたエッセーを少しだけ書いて、22時に消灯。その後は大人しくベッドへ入った。

この日はエビチリだった。

しかし初めての点滴に違和感と、非日常感への高揚感と、上の換気扇から聴こえてくるゴーっという大きな音が気になり寝れず。何だか飛行機の中にいるみたいな音がして、個人的には嬉しかったけれど、そこから3時頃まで寝れずに朝まで狭いベッドの上で、ゴロゴロしていた。

予定日の3日前 | 子宮口にバルーン投入と、背中に麻酔の針を入れる

朝。7時に助産師さんが部屋まで迎えに来た。顔を洗いメガネをかけ、指定された服に着替える。寝不足の頭で向かった処置室で、お腹にまた機械を付け赤ちゃんの検診をしてもらった。
その傍で、左腕の点滴の中に栄養を流し込んでもらう。血管の中がスーっと冷たくなっていく不思議な感覚だった。
横になったままKindleで本の続きを読みながら、先生の到着を待つ。

処置室。このさらに隣が分娩室だった。

9時頃に先生が到着。「体調はどうですか?」と聞かれたので、全く眠れなかったことを告げる。
先生はですよね、と笑いながら、今日この後する子宮口を広げるためのバルーンを投入する処置の説明をしてくれた。
これは水風船のような医療器具で、細い棒状のものを膣に入れた後、水を注入して袋を膨らませていく。これで子宮口が開くと自然とバルーンが外れる流れだ。

説明を聞いているだけで何だか痛そうだったので、「これってノー麻酔でやるんですかね…?」と念のため尋ねると、そもそも痛みはほとんどないとのこと。
ドキドキしながら入れてもらうと、確かにちょっと股に違和感があるのと、生理痛の軽めのやつみたいな鈍痛が少しある程度で安心した。

まだまだ出産までは時間がかかりそうだったので、ご飯も問題なく食べられた。処置室で、梅のおにぎりとお茶をいただく。この後お昼が食べられるかわからなかったので、あらかじめ家から持ってきていたカロリーメイトのチョコも念の為半分食べた。

そこからもう一度陣痛室に戻ったのでどう考えても寝た方が良かったのだけれど、何故か全然ねむくなくて眠れず。

お昼を過ぎた頃からお腹の鈍痛が1段階レベルアップ。立っているとずーんとお腹が鉛のように重い感じ。お腹の張りは不定期だけれど、「これが多分陣痛だな〜」とわかるレベル。
小学6年生だった頃、初潮が来た日のことを思い出した。あの日もずんくずんくってお腹が鈍いリズムを刻みながら、慣れない痛みにこの世の終わりかな?と思うほど目の前がくらくらしていたっけ。

その後先生がやってきてくれて子宮口の開きを確認。1.5cmほどしか開いていないらしく(結構痛かったのにこれしか開いてないんだと絶望)一旦バルーンの処置はここで終了。
この後もう一度処置室に移動し、背中に麻酔を注入するための管をいれてもらった。
これがすごい不快だった。歯の神経注射とちょっと似ている不快さかも。あまりの気持ち悪さに手汗がじっとりと濡れ、お風呂入ったばかりだったのに全身も汗だく。

先生から明日はいよいよ陣痛促進剤を入れる話を受ける。「それもまさかのノー麻酔ですか…?」との質問に「完全に痛みをとってしまうとお産が進まなくなってしまう」とのこと。
なるほど、無痛分娩って最初から最後までは無痛じゃないんだな、とここにきてやっと理解。怖いけど、仕方ない。

この日は一旦ここまで。万が一夜に陣痛がきたり破水してしまったら教えてくださいと説明をもらい再び部屋に戻った。
夜は背中の針が気になりなかなか寝付けず、結局うとうと2時間ほど微睡んだ。

予定日2日前 | 子宮口に再びバルーン投入と、真夜中の陣痛。

6時。目が覚めると体が熱っぽく、だるい。病院が異様に乾燥しているからか、咳が出る。熱を計ってもらうと案の定微熱が出ていて、長引くようは、嫌な予感を胸に分娩室へ移動する。

この日はいつもの先生がお休みのため、初めましての医師が担当してくれた。説明をあまり細かくしないタイプの先生らしく、気がつくと子宮に再度バルーンが投入されていた。そのままついでに陣痛促進剤が入れられる。
これも特にあまり説明がないまま始まったため、「え?ここからいきなり陣痛強くなるの…!?」と恐怖を感じた。
促進剤を流し始めた途端、お尻をぐいぐいと押される感覚が強くなってくる。思いの外痛みはなくて(この時点で麻酔はまだされていない)ただ違和感がお腹に広がっている感覚だった。
ただこれが、どんな状態になっていくのか不安が走る。横になりながら「無痛分娩 陣痛促進剤 初めて」とgoogleで検索する手が止まらなかった。

その後、1時間ほど経ったところで子宮口が3cmになりバルーンが自然と抜けた。無事進行したことにホッとする。そのまま更に2時間ほど、一旦陣痛促進剤が体からすべて抜けるのを待つことになった。お腹の痛みは生理痛のような鈍痛が続いていたけれど、それよりも何よりも発熱の気持ち悪さと背中の針が痛い。
仰向けになるたび背中に嫌な痛みが走るので常に横向きで待機する。
翌朝から無痛分娩の準備をしていくとのことで、この日の処置は15時頃にすべて終了した。

針が背中に入っているためシャワーは浴びられないため、代わりに体を拭く用のタオルと着替えのパジャマを持ってきてもらい着替えをする。

夜は洋食風の夕飯が運ばれてきた。けれど熱と寝不足のせいか、食欲が全く沸かない。半分ほどどうにか食べ、ナースコールでアイスノンをもらう。早めに明かりを落として欲しい旨を伝えて、21時頃には早々にベッドで横になった。

そのまま眠れずに夜中まで本を読んだり、ゲームをしたり過ごしていると、突然10分間隔でお腹が痛くなった。
じわーっとした痛みが足の付け根から広がってくる。徐々に痛みが足から腰へと移動し、針と陣痛ダブルの痛みで思わず「痛い…」と独り言が漏れた。
突然の出来事に軽くパニックと心細くなりながら、ナースコールをする。
「全然まだまだ。準備運動としては良さそう」と駆けつけてくれた看護師さんが感想をいただき去っていく。
そうじゃない。こんな不安な時は寄り添って「辛いですよね。でも、赤ちゃんに会える時間が近づいている証拠なので一緒に頑張りましょう!」と励ましてほしいだけなのだ。事実を並べて去っていく看護師さんを見送りながら、昔職場が一緒だった男上司を思い出していた。

ここ数日ずっと感じていたけれど、日勤と夜勤の看護師さんで比べると、夜勤の方の方がさっぱりしている人が多いように思う。
そのまま朝までひたすら10分間隔の陣痛がやってきては1分くらいで去る。耐えられないほどの痛みではないものの、不安と痛みで全く寝れなった。

予定日1日前 | まさかの3人同時に出産!予定日より1日早くついに出産へ。

朝6時。痛みと不安で一睡もできぬまま処置室へ行くと、昨日と同じ先生が顔を出す。「うーん。バルーンはいらないなあ…」と一言いって去っていく。そのまま部屋に返されたので「このずっと続いている夜中の陣痛は無意味ってことかい…」と思っていたら、いつもの先生が部屋にやってきて、「バルーン必要ないくらい子宮口広がってるよ。心配しないでね」と言葉を添えてくれた。ここでやっと安心できた。
やはり言葉は大切だ。わたしも、しつこいくらいに報連相や感謝の気持ちは伝えていこうと決意した。

9時過ぎ。そこから更に子宮口を広げるための陣痛促進剤を投与してもらう。昨日の生理痛のような痛みに、腰をグイグイ押されるような痛みがプラスアルファ。耐えられなくなり速攻でナースコールをして「なんかめちゃくちゃお腹痛いです!!!!」と伝えると、急いで分娩室に運んでくれた。

「子宮口、十分に開いてるから破水させますね」と声をかけられ、指を突っ込まれる。同時にお尻からじわっと、あったかい液体が流れてきた。そのまま更に、陣痛促進剤を投入するとのこと。
「また痛くなるんですか…」と半泣きでいたら、ついにここで!背中から無痛の麻酔が入ることに!
ついに、ついに無痛の恩恵が受けられるのだ。しかしこの状態までは耐えなければいかなかった事実に軽くショックを受ける。

熱もあったからか、流された麻酔はひやっとしてとても気持ちよかった。

先生からは「10段階の痛みで、大体4くらいをキープしないと、お産が長引くから。その状態を維持するくらいの麻酔を追加していくので、聞いた時に痛みのレベルを教えてね」とのこと。
無痛分娩って、名前は「無痛」だけれど「和痛」なんだなとぼんやりした頭で改めて思う。
麻酔が効くまでには15分程かかるらしく、その間はとりあえず、深呼吸をしながら陣痛をやり過ごすなした。
その後、麻酔が効く前に促進剤が効いてきたのか、お尻の周りが痺れてきた。なにこれ。

一度部屋に戻るとのことで、車椅子で部屋へ戻る。子供の心音を取る機械をお腹周りにつけ始めたタイミングで、お尻に猛烈な違和感が走った。痛み、というよりは違和感。今すぐトイレに駆け込みたい衝動。大量の下剤を飲まされたら、多分こうなると思う。

お尻が痛過ぎてベッドから腰が浮いてしまうほど。無痛の麻酔は一体どこに効いたのか。
「なんか、言葉に出来ませんがやばいです」と助産師さんに伝え子宮口を確認してもらうと、9cmまで進行していた。「順調に進んでますね。パートナーさん呼んでもらって良いかもです」と声をかけられるも、余りにもお尻が痛すぎてまともに喋れなかった。人間お尻が痛いと話せなくなるのだ、という初体験だった。

このタイミングで部屋から分娩室へ車椅子で再度移動。その間も増していく、我慢できないお尻の違和感。急いで追加の麻酔を投与してもらう。
あとで聞いたのだが、予想よりもお産の進行が早く、どうやら麻酔が効く前にどんどんと陣痛が強くなってしまったらしい。軽くパニックになるも、動画で勉強した通り、ひたすら目を開けて深呼吸を繰り返す。

急いで降りてきた娘のおかげで、先に出産予定だった経産婦の他2人と出産のタイミングがかぶってしまうというまさかの事態に、なんと産むのを待つ事になった。
この待っている時間が本当に、死ぬほど辛かった。もう今すぐ出たい娘VS先生が手を放せないので、ほぼ無人な状態で耐えるわたし。

この我慢できなさがどんな状態かというと、やば「下剤をたらふく飲まされてトイレに座らされてるのに、このまま待機しないと殺す」と脅されてる感じだ。もう、もう、100万円払ったらトイレをしても良いと言われたら渋りながら差し出してしまうかもしれないほどの苦しさだった。
この時点で、陣痛は1分間隔に。
ようやく先生が到着し、無痛の麻酔を更に足してもらう。この麻酔が効くまでの15分間が、もはや永遠に感じた。内側の娘からの圧がすごすぎて、肛門はもう決壊寸前。

その20分後、先生から「麻酔が効いたので、産みましょうか!」の合図。
多分この瞬間が、2024年で一番嬉しかったと思う。

足を広げて、思いっきりいきむ。メリメリと音がするものの、しっかり麻酔が効いていたのでこの時の痛みはほぼゼロだった。
自然分娩はこの感覚に更に痛みが伴うのかと思うとゾッとする。すごい。すごすぎる。何か賞かお祝い金を配り歩きたいくらいに尊敬する。

何回かいきむ、深呼吸、を繰り返したところで「会陰切開しますね」の合図が聞こえた。
麻酔が切れた後で相当痛い…と聞いていたので、産前はできればしたくなかったけれど、もはやこの時は早く産みたくて「帝王切開にならなければなんでもいいや!!!」の心持ちだった。
途端、下の方からバチン!バチン!と会陰切開のすごい音が鳴る。この時点でも痛みは無かったが、一体どこを切ったらあんな音がするのかと混乱した。

何度か思いっきりいきむと「頭が出ましたよ!もう少し!」の声。ここまでで20分程。こちらはもう、体力的に喋る余裕がないのでされるがままだった。その後「どゅりゅん」と何かが出た感覚があった。その後ものすごいちっちゃい泣き声が聞こえてきた。

13時少し前、陣痛がきてから12時間後。
ふにゃふにゃの、2460gの小柄な女の子が誕生した。

助産師さんに体を綺麗にしてもらい、お腹の上にやってきた。あったかくて柔らかくて、このままなくなってしまいそうに儚かった。

その後すぐに赤ちゃんは検診のために回収された。足には「古性のちベビー」の薄黄色のタグが付けられた。出生届が受理されるまではこの名前らしい。お腹からは切り離れていったけど、私から分裂した生命なんだな、と実感した。

その後お腹をぎゅうぎゅう押され、残りの胎盤を出してもらう。
そしてそのまま会陰切開の接合をしてもらう。これも麻酔が効いているため全然痛くなかった。出血は250mlで、少なめに収まったそうだ。

そのまま娘は運ばれていき、1時間ほど分娩室で休憩し、私も個室へと移動した。ベッドに横になったものの、完全にうわさに効く産後ハイというやつで、全く眠れぬまま夜になった。

外からは入院当日と変わらないオルゴールのBGMと、向かいのベビールームから聞こえる赤ちゃん達の大合唱に耳を傾けながら、いつの間にか浅い眠りへと落ちた。

4日間、私も子も、助産師さんもみんなみんな、大変お疲れ様でした。

無痛分娩で感じたメリット

  • 産後の回復が早い。

  • 産後すぐに仕事に復帰できる。

  • マミーズブレインが少しマシな気がする。

  • 精神的負担が少ない。

  • 計画的に分娩に臨める。

無痛分娩で感じたデメリット

デメリットは特にこれといって感じなかったけれど、強いて言うのであれば、やはり手出しの金額が高いこと。そして病院を探すのが地域によっては困難なことだと思う。早めに動いたり、そのために貯金をすることをお勧めしたい。


個人的に入院時、持って行って役に立ったもの

最後に、持って行ってよかったものをまとめてみる。私は普通分娩の妊婦さんの持ち物を参考に持って行ったけれど、必要なかったものも多かった。

・夜マスク サボリーノ
→ 化粧水からパックまでが1枚のシートになっているもの。産後とにかく少しでも睡眠を確保したかったので大変役立った。

・ポケットWifi
→ 産前にいた部屋の電波が悪く、これがなかったら多分netflixとか観れなかった。気を紛らわすには必須。事前レンタルで持っていった。

・歯磨き粉のいらない歯ブラシ「MISOKA トラベル」
→ 世界一周中も使っていた歯ブラシ。こちらも少しでも睡眠に時間を回したかったので持って行ってよかった。産後頭もぼーっとしているのでちょっとでも手間が省けるのがありがたかった。

・乳頭ケアクリーム
→ 産後も使っているけれど、三日目あたりから入院中からこまめに塗ることに。乳を吸うのが上手じゃない子だと初回から痛いので、持っていて良いかも。退院後も使える。

・本
→ 無痛分娩だと待機の時間も多いので暇つぶしに最適。お腹に機械をつけたままでも読めるのでおすすめ。もちろんkindleでも◯

・S字フック
→ ベッドサイドに荷物がかけられる。ゴミ袋とかもかけてた。すごく重宝した。

・モイスクル じんわりホットアイマスク(無香料)
→ 産前産後のリラックス用。いっぱい持ってったけど2枚くらいで良かったかも。

・半袖と半ズボンのパジャマ
→ 陣痛室の温度管理が全部屋一括で、自分で調整できなかったので暑くて寝れなかった日に重宝した。

・着る毛布ともこもこ靴下
→上記同様で寒かったり暑かったりなのでかなり活用した。

・ニベアクリーム
→ 部屋がとっても乾燥していたからこまめに塗ってた。

・吊り下げ型のトラベルポーチ
→ ベッドの脇やシャワールームにかけられるので良かった。海老名総合病院は部屋にも棚がたくさんあってそんなに困らなかったけれど、収納が少ない病院だとさらに役立ちそう。

・延長コード
→ 私はPCやらカメラも持ってたから差し口がいっぱい欲しかったので必要だった。海老名総合病院の場合はベッド周りにコンセントがしっかりあったのでスマホとWifiくらいで間に合う人は必要ないかも。

・お水やスポーツドリンクのストック
→ 事前に5~6本購入してカバンにいれていた。下にコンビニがあったけれど、産前産後体がしんどくてなかなか行く気になれなかったから事前に買っていて良かった。ただ麻酔後はお水しか飲めなかったからスポーツドリンクは少なめで、お水をもう少し増やしても良かったかも。

・カロリーメイトやお菓子
→ 基本ご飯がはやかったので小腹が減った時に。4箱くらい持っていって入院中にほぼ食べちゃった。


もし次回、もう一度出産を経験するなら

手出しの金額は+18万円とお財布には痛手だったけれど、多分わたしはちょっと無理をしてでも、無痛分娩を選ぶと思う。
というのもやはり、産後の回復が早かったように思うし、精神的な負担も少なかった。
入院中に、自然分娩や帝王切開で産んだ方とお話もしたけれど、みんなやはり次は無痛分娩で産みたいと、無痛で産んだ人たちの様子を見て話していたので、もし選択できる余裕があるのであればお勧めしたい。
とは言え、やはり高い。
この先もっと無痛分娩が手軽に受けられ、金額が安くなれば選択できる人も増えると思う。その辺に期待している。

娘が泣きはじめたのでこのあたりで。

気ままに書いていたら、10,000字を超えてしまった。
ここまで読んでくださった皆さんありがとうございます。

そして、これから出産を控えている方、望んでいる方の何かお役に立てたら嬉しいです。


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古性のち | Noci Kosho
ありがとうございます。いただいたサポートは娘のミルク代とわたしのおやつ代、保護猫の支援に使わせていただきます!