花を一輪、わたす習慣
ひさびさにお会いしたひとに、お花を一輪、持っていくことがある。
約束の前にふらりと花屋に足をはこんで、そのひとのカラーイメージを頭の中にうかべてワクワクしながら、一輪だけ花をえらぶ。
かんたんな包装をしてもらって、まちあわせ場所や、お店でそれを渡す。
いきなりに差し出すと「え?なんのお祝い?」とびっくりされてしまうから
「可愛かったから」「なんか似てたから」
なんて補足しながら、そっと手渡す。
そうすると、一瞬おどろいた顔からふわりと、たいてい、やさしい笑顔に変わる。それを見ると、こちらもたまらなく嬉しくなる。
そんな、お花が持ってきてくれるコミュニケーションが、だいすきだ。
この優しさをわたしに教えてくれたのは、タビナカの今野 珠優ちゃん。
ある日彼女から「のんちゃんに似てたから」とお花をもらったときに、ふわっと訪れたしあわせな感情に、とてもとても衝撃を受けた。
「今日いいことあった?」なんて聞かれると、うーんと迷ってしまうことが多い。それは多分、よくも悪くもマンネリ化してしまった平和な日常から、あえて特別を探すことが、むずかしいからなのかもしれない(それはつまりとても幸せなことなのだけれど)
だけれど、この日もし、同じ質問をだれかにされていたら、まちがいなく
「珠優ちゃんがわたしを想ってお花を選んでくれたこと!」と即答していただろう。
待ち合わせの10分前に花屋にいって、そのひとを想ってお花を一輪だけえらぶ。たった10分で、1コインでできる、心に残るコミュニケーション。
お花をプレゼントすることが、お菓子やジュースをあげるくらいに、もっともっと一般的になればと思う。
きっと日々のしあわせが、増えるはずだ。
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