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大阪一年記

Prologue

大阪にきてちょうど1年となる。
もうだいぶ住んでる気がするがまだ一年なんだなと思い巡らし向かうバス停。
世界でも日本でも自分にもいろいろなことが起こった。全ては語れないけど、なくてもいいことも、あってよかったこともたくさん通り過ぎた。

1. 混沌を歩く仕事

大阪には、相談支援員として働くために引っ越したわけだが、今思えばこの仕事が何なのか全くわからずに始めたんだと思う。あのときは多少なりとも知った気になっていた。

相談支援員とは、障がい福祉の一つで、児童から大人まで、障がい福祉を必要としてる人に福祉サービスをつなぎ、ともに考えともに歩む仕事だ。
その人の人生に関わってるのだから、当然いろいろな過去から繋げられるしいろいろなことも起こってくる。混沌を相手にするなんて珍しくはない。
ときに怒り、ときに喜び、ときに命が離れる。そんな肉体と魂と関係性の間に立って働く。

福祉の仕事としての線引き、個としての思い、個の枠を超えた突破口、この相容れないツールを入れ替わり立ち代わり使いこなし、常に答えがない。
めちゃくちゃしんどい月は一気に予想外が舞い込み、逆に恐ろしく穏やかな月もある。

最近になって、ようやくコツが氷山の一角程度つかめた気がする。
何も知らずに大阪に来た日に戻ることになったとしても、きっと同じ選択をするだろう。

2. 応援を耕す

大阪に来ても、shouTpuTのアプリの開発運営は続けた。
最初の頃は不安と混乱だった。常識が違いすぎて、どこから営業かけたらいいかわからない。ほとんど知り合いもいない。本当に途方に暮れていた。

大阪に行くと、山のような交流会と勉強会がある。ピンからキリまで積極的に参加して、とにかく常識と非常識の肌感を養うことを優先した。
変なものを売ってくる人、変なビジネスの仲間を求める人、魂を開放するセミナーに誘ってくる人、なんといろんな人がいるのだろう。

その中でも、素敵な人たちにも会った。営業のやり方、shouTpuTに合いそうな人への紹介、法律や歴史を教えてくれる人、志について語れる人、この人なんで出会えたんだっけとときたま思う。そんな血も地も繋がりがない人たちと、いつも付き合ってくれる仲間、この謎のうごめきによって前に進めてこれた。

一人ではなんの湧き上がる力も出せないへなちょこリーダーは、大阪でも恵まれている。

3. やはり島が脈打つ

郷にいればなんとやら。大阪に染まりきるつもりで生きてたものの、やはり要所要所で隠岐の魂とやらが脈打つらしい。

仕事にしても趣味にしても交友関係にしても、そこかしこで隠岐のことが口から滑り落ちる。
コントロールが効かないので、「脈打つ」レベルというのがしっくりくる。

帰りたいが帰りたくない。カントリーロードの気持ちとはこのことを言うようだ。カントリーロードと違う点といえば、寂しくもないし、思い出消すために走り出したりもしない。

ただなんとなしに、この道をゆけばあの町の未来に続いてる気がする。でもすぐには行かないし、行くこともできはしない。
島から離れるとき、みんなで歌ったふるさとを思い出す。
「志を果たしにいつの日にか帰らん」

Epilogue

寒いのか暑いのかよくわからない日々だ。今は少し寒いのかもしれない。
夜のなんばのバス停についた。売店もチケット売り場も半透明のシートに隔てられ、静かに朝を待機している。

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