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卒業してから感じた、法学部で学ぶ意義

※以下の文章は法学部を卒業した私の個人的見解であり、内容の正確性を保証するものではありません。また、大学ごとに教育は変わるので、一概にすべての法学部での学習に当てはまるわけではないことをご了承ください。

皆さんこんにちは。突然ですが、私、大学は法学部でした。別に弁護士や裁判官を目指していたわけではなく、法学部も第一志望ではありませんでした。また、卒業後の進路で法律の知識を生かそうとも思っていませんでした(今もそうですが、笑)。
今回は、そんな私が大学卒業後の留学中に感じた、法学部で学ぶ意義についてお話しさせていただきます。


法学部では、何を学ぶのか?

そもそも入学前から、法学部って何を学ぶところなんだろう。法律ってもう文章化されているし、裁判では裁判官が判決を下し、正義と悪を決めているわけで、システムとして出来上がっているものであり、どこに研究の余地があるんだろう、と思っていました。オープンキャンパスに行ってもリーガルマインドがどうちゃらとか、紛争解決の方法について学ぶなどといったお話ばかりで、「リーガルマインド」って結局何なのか、「紛争解決の方法論について学ぶ」なんて、そんなのわざわざ説明されなくても想像つくんだけどなぁ…なんて、ちょっと失礼なことを思ったりもしていました笑

そして実際に入学し、4年間みっちり、法律について勉強したわけですが、今こうして法律全く関係ないことをして生活しているわけで、法学部での学習内容以外で一体何が生かされるのだろうか…?と思っていました。
そして、そのタイミングは思ったより早く来たわけです。

法学部での学習が思わぬところで役に立った瞬間

現在、バンクーバーにあるカレッジでデジタルマーケティングとマネジメントについて学んでいるわけですが、日本で大学生していたときよりもプレゼンテーションをする回数が圧倒的に多いです。もともと法学部の学習とプレゼンテーションの親和性はだいぶ低いとは思いますが、それでもやはり海外はプレゼンテーションが多いです。

では、もともと大学時代はプレゼンテーションなんてしてこなかったのに、一体どこで法学部での学習が生かされているのか。

それは、いわゆる「論理的思考力」だと思います。

もちろん、プレゼンテーションの経験があまりないので、社会人経験がある方たちの見栄えのいい、スライドを一目見ただけで何を伝えたいのかが一瞬でわかるプレゼンテーションと比べると見劣りします。
しかし、プレゼンテーション以前に、今回のプレゼンテーションの目的と、プレゼンテーションを通して身につけてほしいと意図されていること、プレゼンテーションの内容やそれをどの順で説明するか、どんな質問が想定されて、それについてどう返すかなどが、なんとなくすっと、無理なく理解できるし、出てくる気がするのです。(私の性格の問題や、学校に慣れてきたのもあるのかもしれませんが)

特に、「想定される質問に対する答えをあらかじめ考える力、見据える力」、そして、「なぜ自分がそのように考えたのか説明する力」は、ゼミのおかげといえると思います。

私は憲法のゼミに所属していて、ゼミでは毎回発表がありました。発表者は自分で選んだトピックについて、基本的には異なる立場の論文や主張を最低二つは準備し、どちらの主張がより適しているか、なぜそう考えたかを説明します。そして、発表者以外と先生は、発表に対して質問をします。
憲法にかかわらず、法律上の紛争は多くの場合、考え方が複数あります。
そして、どの考えや主張を取るにしても、必ずメリットとデメリットがあります。
そして、絶対的な正解はありません。(模範解答といえるものは、ある、といえるかもしれませんが)
そのため、自分がなぜその主張に賛同したのか、なぜ他のものを取らなかったのか、論理的に説明する(相手を説得する)必要があります。

絶対的な正解が無く、またデメリットが必ずあり、そして数字で示すといったことができない以上、これが、本当に、大変なのです。

理由を説明しても、さらにその先を突っ込まれたり、突っ込まれたことによって自分で調べたこと以外のデメリットが出てきたりして、何も言い返せなくなることもありました。
逆に言えば、だからこそ答えが何通りもあって、討論するのが楽しいといえるかもしれません。
ただ、毎回ゼミが終わると頭がパンクして、凄い疲労感があったことだけは覚えています笑

さて、現在はデジタルマーケティングの大まかな全体像を学び、どうやってそれを仕事として使っていくかを学んでいるため、先生からの質問のほとんどは正解が一つしかありません。そのため、プレゼンテーションで「なぜそのように考えたの?」と質問されても「先生が授業中におっしゃったように…」や「前回の授業で学んだことから…」ですみます。先生も当然納得してくれます。私からすれば、あぁ、なんて楽なんだ…と思います笑

私が思う、法学部で学んだことによって変わったこと

今まで私がお話しさせていただいたことは、あくまでも私の経験であり、すべての法学部で身につけられる思考力だと断言できる自信はありませんが、少なくとも、私が法学部で学んだこととして、「この世に絶対的な正義や悪って存在しないんだな」ということだけは、確かにいえると思います(当然すぎることですみません)
それまでは誰がなんと言おうと先生や両親の言葉は絶対に正しいため、その言葉から外れることは悪であり、許されないことであり、絶対にやってはいけないことだと思って生きてきました。しかし、見方が変われば正しいことも違う。また、正解は一つじゃないということを学びました。

重要なのは、「自分がなぜその選択をしたのか、なぜその選択肢が最善であると考えたのか、説明できること」だと思います。

もちろん、生きている中でする無数の選択の中には「もう考えても考えてもらちがあかないし、わからない。とりあえず、こっち!」みたいな、「えいやっ!」って決める瞬間もあると思います(政治学の先生の言葉を借りました笑)(ちなみに自分は大学時代、政治学が一番好きでした。学部選びの時点でも、法律より政治学の方がなんとなく興味があったので、結果的に言えば、自分の直感は間違っていなかったし、政治学を選んでいたら今頃はもっと違うことを学べていたのかなと思うこともあります笑)
そのときはそのときですが、基本的にはどんな選択を選んだとしても他者に説明できる、あるいは説得できる、そして何より、自分自身を納得させられることが大事なのかなと思いました。

おわりに

話がだいぶ逸れてしまいました。
大学の学部選びでお困りの皆様。法学部は「六法全書を丸暗記」するところではありませんし、法学部生全員が弁護士を目指しているわけではありません!笑(大学にもよりますが、私の学年は90%以上の人が卒業後、公務員または民間企業に就職しています)
今まで話してきたように、法学部での勉強とは、正解のない問題に対する解決策、方法論が複数ある中で、自分なりの答えを導き、自分がなぜその主張を取るのか、言葉で明確に説明することです。「説得の学問」なのです。

そしてもう一つ。現在大学で学んでいることが将来絶対生かされないとお悩みの皆様。大丈夫です。一生懸命取り組んでいれば、きっと、思いがけない部分で役に立つ日が来ます。

私も、これからさらにどんなときに大学時代の学びが生かされるか、楽しみにしていこうと思います笑


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