建築計画②建物配置
建物を配置するにあたり
隣地境界線からいくつ離して
配置すればよいのか?
①北側斜線 日影規制 高度地区規制
まず隣地境界ぎりぎり配置を攻める前に
北側斜線 日影規制 高度地区規制を
クリアしていないと意味がありません。
他にも道路斜線や隣地斜線もありますが
この2つは、天空率という手法があり
それでクリアできる場合があります。
しかし北側斜線 日影規制 高度地区規制は
天空率が使えませんので
この3つの規制で
隣地境界線からの建物配置は
概ね決定します。
②民法
民法234条1項に
建物を築造するには境界線から
50センチメートル以上の距離を
保たなければならない。
しかし建築基準法65条には
防火地域又は準防火地域内にある
建築物で外壁が耐火構造のものについては
その外壁を隣地境界線に接して設けること
ができる。
となっています。
民法では隣地境界線から50cm以上離す
建築基準法では隣地境界線にぴったりに
設計できる。になります。
また民法第235条には
境界線から1m未満の距離において
他人の宅地を観望することができる窓
または縁側を設ける場合は
隣が見えないよう
目かくしをつけなければなりません。
といういわゆる観望権もあります。
50cm以上離せは建ててもよいが
1m以内に窓やバルコニーなどを計画する
場合、目隠し対策をする必要があるという
ことになります。
③施工に必要な寸法を考える
建物をつくるには足場が必要です。
一般的には作業床がある足場を使いますが
50cm程度のスペースであれば
作業する床が丸パイプという
単管足場しか使えません。
3階程度の低層建物ならまだしも
高層建物であれば作業の効率や
品質、精度がかなり落ちると思います。
それを犠牲にしたくない場合は
しっかりと作業床が確保できる
足場が組めるスペースを隣地境界線から
確保したいものです。
足場の事を、考えるなら
最低でも50cm
作業性を考慮するなら100cm以上は
確保したいです。
また、地下やピットがある建物では
地盤を掘るのですが
その際 隣地の地盤が崩れない様に
山留め工事をします。
工法にもよりますが、その施工には隣地から
60cmは離して建物を計画しないと施工が
できないと言われます。
④窓先空地
隣地境界線から(正確には隣地境界線に立つ
フェンスや塀から)建物の外壁ラインまでに
東京都建築安全条例等の
都道府県の条例などにある
窓先空地を確保する必要があります。
建物の規模によって変わりますが
最大4m必要になります。
また、窓先空地から道路まで避難する
通路は最大2m確保する必要があります。
⑤外壁後退
区や市の地区計画などに隣地境界から
建物外壁までの後退距離が定められている
場合があります。
こちらは役所に確認しましょう。
⑥採光
居室には採光を確保する必要があります。
あまりにも隣地境界線いっぱいに建物を
計画すると、隣地が公園等でない限り
お隣りの建物と距離が近く、特に中高層
物件では低層階は採光が確保できません。
目安として
商業系の用途地域で4m
工業系の用途地域で5m
住居系の用途地域で7m
隣地境界から建物の窓(外壁)まで
距離を確保したいですが
確保できない場合は、採光チェックしながら
最上階の庇を中止したりガラス庇にしたり
居室をあきらめたりする必要があります。
以上の点を踏まえて建物配置を考えます。
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