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the pillows "最強の3人"の別れ

これまでずっとファンクラブの有料ブログを読んできたファンの皆さんは、ピロウズの解散について大きな疑問を持っていないと思います。

解散まで何があったのかを知っているのは、メンバー3人と、3人のすぐそばにいた人たちだけです。

それでも、ここまでバンドに何があったのかを自分なりに振り返ってみたい。
その気持ちでこの記事を作成しました。
それだけ僕にとってピロウズの解散は衝撃的なものでした。

以下、ピロウズのこれまでの歴史を自分の言葉でまとめた内容になっています。

誰かを責める気は一切ありせんが、一部メンバーのスランプなどについても焦点を当ててしまうことをお詫びいたします。

結成35周年豊洲PIT公演にて手にした『Talking About A RockʼnʼRoll Band』。
木村祐介さん(ArtTheaterGuild)のインタビューを読み猛烈にうなずいてしまった。

祐介さんがさわおさんの前でピロウズのメンバーのことを庇うと、怒られてしまうらしい。
20周年までは「俺達は最強のメンバーだ」と2人のことをすごく褒めていたのに。

活動17年目からピロウズを追いかけている自分の中にも、祐介さんと同じように"最強の3人"のイメージが根付いていた。

だからさわおさんが2人のことをたまに悪く言うようになってしまってからは、辛かった。
「最強のメンバーなのに、何があったのだろう?間違いじゃないかな」という気持ちになった。
強い絆で結ばれた姿こそ、自分の中のピロウズ像だった。

さわおさんのソロバンドのギタリストとして活躍し、プライベートでも近くにいるだろう祐介さんでもさわおさんの気持ちはわからない。
それならいくら考えても自分にわかるわけがないな、と痛感した。

ピロウズ解散のニュースを受け、30周年のときに刊行されたヒストリーブック第2弾『ハイブリッド レインボウ 2』を改めて読んだ。

20周年のときの第1弾『ハイブリッド レインボウ』はよく読んだのに、この本はあまり読み返していなかった。
再読してみて、それがなぜかよくわかった。
21年目からのピロウズは辛い話ばかりだった。

20周年武道館までのバンドストーリーは、あの日あの時の決意、絶望からの栄光、とにかくキラキラしている。
でもその後は解散がすぐそこ、ずっと危なっかしい状態だった。

そもそもさわおさんがメンバーへバンドマンとしての不満を感じたことは、20周年より何年も前の頃からあった。

さわおさん曰く、あるメンバーがこれまでと同じ熱量でバンドに向かい合わなくなり、年々それが顕著になってしまっていた。

その不満を庇ってしまうもう一人へも絶望した。
2011年大晦日ライブの打ち上げで、メンバーへ「もうピロウズ辞めるわ」と言ったこともある。
この時点でバンドはギリギリの状態であった。

2012年7月、トライアルツアー終演の翌月に「バンドのメンテナンス&リハビリ」のためピロウズは活動休止を発表した。

美しいバンドソングを歌えるバンドに立て直したい、その思いで下した決断だった。
バスターズを心配させないよう、「少しお休みするだけ」とさわおさんが強調していたのを覚えている。

The last period
破れかけた飛行船で
絶望と戯れ合って行こうぜ

『Clean Slate Revolution』

2013年、第4期(末期)の活動が始まった。
2014年、19枚目のアルバム『ムーンダスト』が発売された。
ラストピリオド。
1曲目『Clean Slate Revolution』のイントロから、最後の段階の"末期"であることが強調されている。

自ら"末期"と呼びだしたのは、ピロウズが変わってしまったことをさわおさん自身が受け入れたから。
2013年の時点でバンドはすでに破れかけていた。

活動再開後は毎年のようにアルバムを出し全国を回った。
しかし少しずつ、さわおさんの考えるバンド像とは違うバンドになっていってしまった。
『ハイブリッド レインボウ 2』のインタビューを読むとそれがよくわかる。

2021年以降は毎日のようにファンクラブブログを更新してくれた。
少しずつ限界に近づいていくさわおさんの心情が痛いほど伝わってきた。
ずっと前からさわおさんは苦しんでいたけれど、ここ数年のあいだに少しずつ何かが悪化して、ついに限界が来てしまったのだと思う。
2025年1月31日。
苦しんだ末、バンドは解散してしまった。

『ハイブリッド レインボウ 2』を読む限りでは、30周年イヤーの約5年後にピロウズが解散するとは3人とも考えていなかったと思う。

バンド内のあれこれは人の家庭のそれと同じで、他の人にはわからない。
でも、年齢的なことでメンタルやフィジカルにいろいろな変化があったんだろうとか、やり切った気持ちだったのかなとか、考えても意味はないのにいろいろと考えてしまう。

個人的には悲しくても泣くことはないし、苦しみ続けてきたさわおさんが楽になっていければ、と思っている。

ただ、強い絆で結ばれていた3人が解散してしまったことは、本当にショックなことだった。
2012年からずっとその気配はあった。
でもどこかで「ピロウズは解散しない」と思い込んでいる自分がいた。

周囲の反対を押し切って発表した『ストレンジ カメレオン』。
3人の気持ちが一つになってからの快進撃はどんなバンドよりも輝いている。

本当にこんな日が来てしまったこと、まだどこか信じられない。

『Swanky Street』
『Please Mr. Lostman』
『ハイブリッド レインボウ』
『スケアクロウ』
『雨上がりに見た幻』
『ムーンダスト』

3人であること、この3人で掴んできたこと。
ピロウズにいくつもある美しいバンドソング。
僕にとって、それこそがピロウズの大きな魅力です。

長い間苦しんだ末の解散。
35年間の活動には感謝しかありません。
それでも"最強の3人"が別れを決意してしまったことは、自分の中の何かが一緒に終わったような衝撃的な出来事でした。

解散発表から2週間。
バスターズはみんなまだ深い喪失感の中にいると思います。
これから先長い時間をかけ、ピロウズと出会えた幸福感にみんなが少しずつ包まれていくことを祈ります。

悲しい言葉ばかりの記事になってしまい申し訳ありませんでした。

ピロウズは自分にとって生涯で最も大事なバンドです。
そう言い切れます。
ピロウズの音楽と共にこれからも生きていきます。

初めて見た虹は
僕らだけのモノさ

『ムーンダスト』

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