ノンプロフィットファイナンス支援実績報告#4 離島経済新聞社
こんにちは!広報担当のあやみです。
ノンプロフィットファイナンス(NPF)は、行政からの受託事業やクラファンなどで短期的な資金繰りに悩む非営利団体向けにゼロ金利でつなぎ融資を行なっています。
今回の支援実績報告にあたりインタビューをお願いしたのは、特定非営利活動法人離島経済新聞社の鯨本さんです。
離島経済新聞社の活動概要を教えてください。
私たち、離島経済新聞社(以下、リトケイ)は、島で生きる人や関わる人と共に「伝える、つなげる、育む」という3つの軸で活動を行っています。1つ目は「伝える」として、全国の有人離島に特化したメディア「ritokei」(ウェブ・フリーペーパー)の運営・発行を行っています。フリーペーパーである「季刊ritokei」は、約180島を含む全国1,300ヶ所で配布しており、島の興味関心層に島々の魅力や価値、課題に興味をもってもらうことで関係人口(※)を増やすことを目的としています。さらに島で生きる人に対しては、他島の好事例を共有することで、自分たちの活動に活かしてもらっています。実際に、島の自治会などで「季刊ritokei」の記事が話題になったり、参考にしている、という声を聴いています。商業的なメディアではない非営利メディアは、収支を安定させることも簡単ではありませんが、「ritokei」は島で生きる人の役に立ち、興味関心層を島につなぐことができる重要な役割を果たしていると考えています。
2つ目は「つなげる」として、地域課題の解決や持続的発展を志す民間企業・団体・非営利団体等と連携した事業の企画やコーディネートを行なっています。島特有の課題解決においては、離島地域に居住するメンバーだけでなく、関係人口となる個人や企業をつないで地域振興を推進しています。最近は地域振興やサステナブル事業を推進する企業からの引き合いも多くいただいています。島側も関係人口を増やしたいというニーズを持っていますが、誰でも良いわけではありません。信頼が重視される関係づくりでは、当団体が間にたって中間支援をすることで円滑な連携が進められています。
3つ目は「育む」として、有人離島を有する地方自治体や関係省庁と連携し、島々の持続的な振興につながる事業のサポートを行っています。例えば、鹿児島県奄美群島・沖永良部島の知名町とは包括連携協定を結び、東京・利島村では地域活性化企業人として教育振興をサポートしています。他にも、基幹産業となる農業・漁業・観光業をはじめ、全国的に深刻化している人材不足に貢献できるよう「ritokei」読者層と連携した人材獲得および育成を図っています。都市部でも地域振興を専門とするコンサルティング会社はありますが、リトケイは離島地域においてメディア事業を軸に長年培ってきた専門知識と独自のネットワークのあることが強みだと思っています。
今回、どのような事業にNPFを活用したのでしょうか。また利用に至った背景もあわせて教えてください。
今回は、行政との連携事業を動かすための運転資金として利用しました。
私たちは、行政との事業が多く、おおよそ累計15自治体と連携しながら事業を行ってきました。行政の事業特有ですが、契約から入金まで長期にわたることが多く、さらに様々な調整や手続きが必要なこともあり、入金が遅れることもあり、資金繰りが困難な状況が度々生じていました。また、新型コロナウイルス流行時に、島に行くことが難しいなど活動が停滞してしまった時期があり、財務基盤を安定させたいという思いもありました。
全国的な問題ですが、島の行政は特に人材不足が非常に深刻化していることから、連携事業の支払いにかかる事務処理など、都市部と比較してより時間がかかってしまうケースがあります。離島行政の運営状況が、私たちの資金繰りにも大きく影響を与えており、すぐには解決が難しいと感じていたところ、NPFを知り、安定的な財務基盤を構築して事業を支えていくために利用を決めました。
NPFを利用しての成果には、どのようなものがありましたか?
今回、直接的な活動への資金ではなくベースとなる運転資金で利用したので、活動における成果というよりは、財務基盤が一定程度安定したことで、新しいことにもチャレンジできる余裕が生まれていることが、組織運営にとって良いことだと考えています。11月14日に実施した「未来のシマ共創会議」では、全国の島のキーマンや有識者、企業や関係省庁、関係人口、リトケイ読者やスポンサーなどが一堂に集まり、カンファレンスやワークショップ、交流会などを行うことができました。リトケイならではのプラットフォームを活かし、なかなかつながりにくい島々に関わる多様なステークホルダーが新たな仲間と出会う場を創出できました。
最後に、NPFを利用しての感想を教えてください。
借り入れから、返済まで非常に柔軟に対応していただけて助かりました。NPOの運営に理解のある方にご相談ができ、中小規模のNPOからしても相談しやすかったです。
これまで、政策金融公庫や、信用金庫などから借り入れを行ってきましたが、医療や介護などのNPOに対する融資と比較し、私たちの事業では融資の枠も小さく、借り入れの難しさを感じていました。また、全国の離島で活動しているため、事業の特性上、地域振興の枠やエリア限定枠にも入りづらく、活動の意義が伝わりづらいという課題もありました。
引き続き様々な活動をしながら、財務の安定を目指したいと考えており、今後クラウドファンディングを活用する予定もあるので、またご相談させていただきたいと考えています。
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今回は、貴重なお話をいただき、ありがとうございました!
次回の実績報告もお楽しみに。