ジャズとクラシックは対極なの?
「固定」対「自由」、「不変」対「即興」などなど「ジャズ」と「クラシック」はいつも敵対する何かのように扱いがちです。
でも本当にそうでしょうか?
「クラシック」はコンサバティブで「ジャズ」は創造的?
確かに「ジャズ」には「クラシック」より自由が許されています。細部のフレーズまで楽譜に書かれていることはほとんどありません。でも、それを持って「直感的」「創造的」と捉えるのは少し気が早いのでは?と思います。
何故なら、ジャズのインプロビゼーション(即興演奏)はフリージャズでも無い限り、それほど好き勝手自由に演ってよいわけではないからです。
ジャズに於ける創造性は知識や経験のプールの中からしか生まれて来ません。自分の知らないスケールやフレーズは弾けないんです。(たまにデタラメ弾いたら、まぐれで素敵なフレーズが弾ける事もありますが…)
ジャズを学ぶスクールに行くと分かりますが、そこでは多くの生徒達が今までのジャズの巨匠達の曲や演奏を、ほとんど丸コピーで演奏、学習、練習しています。クラシックのスクールと何が違うのでしょうか?。僕にはクラシックと対極にある音楽とは思えません。本質的な違いなどないのではと思います。
ギター奏者のアーサー・ラムズの言葉がそれを示唆しています。
「今でこそ、即興演奏は私にとって直感的な行動になっていますが、それを直感的にするために長年の演奏で得てきたすべてのリソースをかき集めているのです。学校で習った音楽の知識、私なりの音楽の歴史的理解、そして、演奏する楽器の技術的な理解の全てをです。」
名言です。
「ジャズ」と「クラシック」の差は、それが楽譜に書かれているか、あたまの中で書かれているか、の違いでしかないのではないでしょうか。