コードをクールに弾く方法(ピアニスト向け)

メジャーコード編

CのコードをいつもC-E-Gと弾いてしまうあなた、少し残念なポピュラーピアニストかもしれません。

ピアノのコードはボイシングによって響きが大きく変わります。あなたが人気ピアニストになりたいなら、スムーズなジャズ、R&B、Neo Soul、ゴスペルなどで聴かれるジャジーで美味しいボイシングを知っておいた方がいいと思います。
これらのコードボイシングは今や”Official髭男dism”などをはじめとしたJ-Popでも当たり前のように聴かれるようになっています。

なぜメジャーコード編なのかというと、メジャーコードとマイナーコードでは使えるエクステンション(後述)が違うからです。ドミナントセブンスコードもエクステンションが変化します。

コードとボイシング

カラフルでクールなコードサウンドを出すには少しだけ数字に慣れる必要があります。
(例:9th、11th、13th)
これを見るとたいていのピアニストは、
「あ、出た!めんどくさいやつ」
と思うかも知れません。でもこれを学ばずして他に良いサウンドを出す方法はありません。

逆に言えば良いサウンドを得る最も速い方法です。
新しいボイシングを学べばほんの数分であなたの演奏が変わります。
速弾きを練習したり、インプロヴィゼーションを学ぶより全然楽です。

ボイシングって何よ?

ピアノのコードボイシングとは、コードの構成音をどのようにピアノの鍵盤状に配置するか?ということです。
9th、11th、13thはルートとのインターバルを表しています。それらから欲しいコードトーンを選び自分の好きな響きの良いサウンドを作り出します。この手法がポピュラーピアノの定石です。コードボイシングにはオープンとかクローズに分類されますが、セオリー無視でも自分が気に入ればOKです!

鍵は2-6-7

メジャーコードをクールなサウンドにする鍵は 2nd、6th、7thです。

この番号のノートを必要に応じて元の3和音に足します。(もしくは全部使う)とプロみたいなサウンドが簡単に出ます。

下の楽譜はCメジャースケールです。そのキーのトニックコードC のトライアド(3和音)を四角、2nd、6th、7th のトーンを赤い丸で示しています。

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2ndは9th、6thは13thとも呼ばれます。こちらの方がポピュラーですが、インターバルが1オクターブ以上になるので数えるのが面倒くさいですよね。コード演奏は即興的にプレイする事が多いですから、なるべく楽に探せる方がいいと思います。

9th、11th、13th はコードエクステンションとも呼ばれます。
コードの装飾音って感じでしょうか。7thはコードエクステンションではなく4和音の中に分類されます(7thはメジャー7thとマイナー7thの二種類あります)。11thはメジャーコードでは取り扱いが面倒で、簡単にいうと「癖がスゴイ!」ので本格的なジャズ以外あまり重用されません。逆にマイナーコードでは大活躍します。

では実践編

下の鍵盤は、Cメジャートライアドを左手で、2nd、6th、7th を右手で弾いたものです。

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んー、そこそこお洒落な音がします。でも、もっとクールなサウンドに出来そうです。

そこでボイシングを変えてみます。(クローズボイシング)

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このボイシングには、2nd、6th、7th を含んだCのコードトーンをクラスターという手法でお互いのノートが近づくようにボイシングしたものです。スムースなジャズ、R&B、モダンなゴスペルなどのポピュラースタイルピアニストがよく使うボイシングです。
もちろんこのボイシングが正解で他が間違いということではありません。曲によってはこのクローズボイシングは濃密すぎて、やりすぎ感が出る場合もあります。

他のジャズっぽいボイシング例

下のボイシングはジャズっぽいオープンボイシング例です。
なかなかオサレなサウンドでしょ。
ボイシングの仕方で同じコードトーンでも雰囲気結構変わります。適材適所で使い分けましょう。

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クラスターって何よ?

クラスターとはコードトーンを全音あるいは半音のクローズなボイシングにする事です、それぞれに2つのクラスターがあります(GとAとB、およびDとE)。
とても豊かな響きがします。(クローズなボイシングはローインターバルリミットに気を付ける必要があります)

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オープン ボイシング

これに対してオープンなボイシングはすっきり爽やかな響きがします。クラスターは生まれていません。

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メジャーコードのコード進行とボイスリーディング

ではクローズボイシングを使ってメジャーコードのコード進行をボイスリーディングをしてみます。
2nd、6th、7th を含んだメジャーコードのボイシングは、トニック(I)とサブドミナント(IV)でよく使われます。 ドミナントコード(V)もメジャーコードですが、2nd、6th、7th 以外にもすごくクールなボイシングがあるので別にします。コード進行にはボイスリーディングを適用するのが一般的です。
CーF というコード進行のボイシングの例を見てください。

         まず、例の濃密なクローズボイシング

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                からの〜。

      2nd、6th、7th を加えたFメジャーコードのボイシング。

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ここではピアノソロ、あるいはボーカリストのバッキングピアノなどを想定しているので、コードの一番下のノートはルートにします。
もし、ベーシストが一緒にプレイしているならルートレスコードのボイシングでも構いません。

実際に弾いて、CーF のクラシカルなコード進行(C-E-G →F-A-C)との違いを感じてみてください。もちろん、どちらをチョイスするかはあなたの自由です。でも知識として知っておくのはとても大事です。

ボイスリーディングって何よ?

ここでボイスリーディングについて説明します。ポピュラーピアノの場合は明確なルールがある訳ではありませんが、
1)コードの鍵盤状の配置を大きく移動させない。(和音の鳴る音域を揃える)
2)同じノートを二つのコードが共有しているなら動かさない。
3)コードのトップノートが動かないとクールに響くので可能ならなるべく残す。

ちなみにCーF のクラシカルなコード進行をボイスリーディングすると(C-E-G →C-F-A)です。

さて、お役に立ちましたでしょうか?

「なんか、いつも同じ演奏になってしまうなあ」という方是非お試しを!


中村


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