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【開催報告】かみいけ・ゆる読書会vol.8 「推し」と読書ー本を介して「推し」とは何かを考えてみようー

本日7/2に、上池袋くすのき荘にて、「かみいけ・ゆる読書会vol.8 「推し」と読書ー本を介して「推し」とは何かを考えてみようー」を開催しました。

今回は、「推し」をテーマに、参加者ご自身の「推したい本」を持ってきてもOK、手ぶらで参加して当日用意された本を読んでみてもOK、という形で開催しました。

今回、参加者から持ち寄られた本の一部を参加者からのコメントとともにご紹介します。

「上野公園へ行こうー歴史&アート探検」
浦井正明・著 岩波ジュニア新書

上野にある東京都美術館でボランティアをして上野に通っており、上野のことをもっと知りたくなって借りて読んでみた本。

上野の寛永寺の住職が書かれた本で、寛永寺の成り立ちや、明治維新の頃に上野で起きた彰義隊の事件などの歴史の話だけでなく、上野の美術館や動物園などの文化的な話も盛り込まれた「上野愛」に溢れる本。

これを読めば、「上野推し」になれるかも。

「深夜特急」 沢木耕太郎・著 新潮文庫

昔から推している本で、著者の沢木耕太郎さんの旅行先でのコミュニケーション能力がすごいと思う。これを読むとお金がなくても海外ではなんとかやっていけるのだと思わされてしまう。
海外の多様な町や人が出てくるので、これを読むと他人と自分を比較したり、自分だけの物差しで考えたりするのはなく、広い視座を持つことが大事なのだと気付かされる。

「坊っちゃん」 夏目漱石・著 角川文庫

こちらも昔から推している本で、主人公の無鉄砲な性格を自身と重ねてしまうところがある。主人公の坊っちゃんは、正義感にかられてついおせっかいな行動をした結果、松山での教員の職を追われてしまい損をしてしまうが、その痛快な行動を読むと心はスッキリとする本。

「こうやひじり 高野聖」 泉鏡花・著 川北亮司・現代語訳
理論社

この本に収められている「黒壁」という丑の刻参りに関する怪談話が面白いが、泉鏡花という人は尾崎紅葉という作家の本を読んで衝撃を受けて、会いたくて住所も知らずに東京に来て、なんとか本人に辿り着いて、弟子入りを許されたという「推し活」を極めた人で、それも面白い。

・ルパン3世アニメ全史 
・銀魂 空知英秋 集英社
・十二国記 小野不由美・著 新潮社

昔から好きで推している「ルパン3世」のアニメのムック本と、漫画「銀魂」の単行本を持ってきた。

銀魂の主人公の坂田銀時は、普段はふざけているのに、いざという時は仲間のため本気を出すところがかっこよいキャラクターである。

また、最近読んでハマった「推し本」は「十二国記」である。主人公の女子高生が、異国のファンタジー世界に行った後で、元の高校生の同級生達が自分に対して悪口を言っていることを知ってしまいショックを受けるシーンがある。しかし、考えるに、現実が辛い人にとって必要なのが、こういったファンタジーであり、物語なのであると気付かされる。

「おたく」の精神史 一九八〇年代論
大塚英志・著 講談社

70年代から80年代にかけて、宇宙戦艦ヤマトやガンダムといった作品を考察するなどの追求心あふれるオタクが大量にいたが、そういったオタクの活動はお金に還元出来なかった。お金に還元する活動が上手だったのがディズニーランド。

最近、「オタク」も市民権を得て来たけれど、昔は「オタク=社会的にバレてはいけないもの」だった。オタクは犯罪者予備軍に扱われたこともある。そんな昔のオタクの状況をあらゆる角度から批評した一冊。

本の紹介が一巡したあとで、参加者それぞれが考える「推し」については、

☑︎最近「オタク」という言葉が市民権を得てから「推し」という言葉がライトに使われるようになってきた。「推し=好きなもの」と同義になっていて、「自分が推しているもの」を示すことで、自分をキャラ付けする風潮があるのではないか。

☑︎「推し」という言葉は、最近の流行りの言葉だと思われるので、「推し」という言葉の次にどんな言葉が使われるだろうか。

☑︎かつて「アイドル」は、「偶像」という意味からとても遠い存在として捉われていたけど、AKBみたいに双方向にコミュニケーションが取れたりするようになって、アイドルがもっと身近な「推し」という言葉になってきたような気がする。

☑︎「推し」という言葉も、もっと「身近な親しい存在」というライトな意味で気軽に使われてくるようになると思う。

などのコメントがありました。

今回の読書会は、推している本だけでなく、「推し」という言葉の意味まで深い話が出来てとても面白かったです。

また、引き続き色々なテーマで開催して、参加者同士で本をきっかけにたくさんお話していければと思います。

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