【開催報告】かみいけ・ゆる読書会vol.7 朗読と読書ー好きな本の一節を声に出して読んでみようー
6月10日土曜に、上池袋くすのき荘にて、かみいけ・ゆる読書会を開催しました。
今回は、好きな本の一節を声に出して読んでみる朗読会でした。
エッセイ、小説、詩、評論などさまざまなを本持ち寄って、好きな一節を読んでみる形式で開催しました。
今回、参加者の皆さんがお持ちになって読んでいただいた本の一部を紹介します。
僕に踏まれた町と僕に踏まれた町 中島らも
作家であり俳優やミュージシャンとしても活躍された中島らもの高校時代や浪人時代などの青春の日々をつづったエッセイ。
参加者の方からは、中島らもの若かりし浪人時代のエピソードがつづられた箇所を朗読いただきました。
中島らもが浪人時代に感じていた不安や焦燥感が悪夢となって出てくる話だったり、友人を亡くした後に当時を振り返る話が、青春時代の切なさや懐かしさを感じられる一節でした。
30年ほど前のラジオ番組の「大槻ケンヂのオールナイトニッポン」で、この本が紹介されていたのをきっかけに購入されたのだとか。
昔好きになり影響を与えられた本は、繰り返し大事に読みたくなりますね。
ランボー詩集 堀口大學 訳
フランスの1800年代の詩人、ランボーの詩集を日本の詩人でありフランス文学者の堀口大學が訳したもの。
参加者の方からは、「戸棚」や「永遠」といった詩を朗読いただきました。
古い言葉の言い回しで意味はストレートには伝わらない部分もありますが、
「もう一度探し出したぞ。 何を? 永遠を。
それは、太陽と番(つが)った海だ。」
という有名な一節に、若いランボーの力強い感性を感じました。
堀口大學による解説も巻末についており、そちらでも詩の意味を反芻して学べます。
愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集 佐々木良
万葉集の恋の和歌を、現代の奈良弁でコメディ風に訳した本です。
「君には恋ふる」や「恋死なば」という万葉集のままの言葉で詠むと高尚な感じに聞こえる歌が、現代の言葉に訳すと「メッチャ好きやねん」とか、「キュンキュンして死にそう❤️」といった言葉になってしまうので、和歌を朗読した後に、現代訳を朗読すると、そのギャップに思わず笑ってしまいました(笑)
二十億光年の孤独 谷川俊太郎
日本の代表的な詩人の谷川俊太郎の1950年代のデビュー作。
この中に収められた表題作「二十億光年の孤独」を参加者の方に朗読いただきました。
朗読後に、「人類は小さな球の上で 眠り起きそして働き ときどき火星に仲間を欲しがったりする」という一節が、宇宙の広さ故に寂しくて仲間を求める地球人の孤独が、現代人が感じる寂しさになぞらえているのではないかという解釈を、参加者同士で話し合いました。
マイパブリックとグランドレベル 田中元子
「一階づくり」のまちづくりを提唱される建築家の田中元子さんの著作。
参加者からは、その冒頭部分について朗読をいただきました。
一階で営まれる店舗や商いなどの活動が、街を豊かにするのではないかという田中元子さんの意見表明がされており、その言葉にいたく共感しました。
知り合いがいなくても人が何気なく集える「中間の場」を街のグランドレベル(一階)に作ること。それが、人が受容される感覚を生み出して、結果、暮らしを豊かにすることに繋がるのではないかという点について、参加者同士で意見交換しました。
他にも、中原中也の詩集や、夏目漱石の小説、ウサギの親子が出てくる絵本などさまざまなジャンルの本を朗読しました。
朗読をすると、本の中に入っていくような不思議な感覚もあり、黙読とは違った新鮮な体験でした。
今回、本を持ってきて頂いたり、朗読にご協力をしてくださった参加者の皆さんに御礼を申し上げます。
次回の読書会も、今回と違ったテーマにて参加者を広く募って行いたいと思います。
もし、ご興味ありましたら、以下のかみいけ・ゆる読書会Peatixのページをフォローください。