病院騎士団 カルタゴの夢(小説一部)
今、実際はリヒター修道僧は悪夢のような酷い場所に居たのだが‥
夢の中 優しい綺麗な声が夢の中で甘く響く。
「約束するわ リヒター修道僧 貴方を救ってあげるから」
それは綺麗な夢 夢の中で あの時の海賊達のガレー船を破壊しようとした魔物の少女の声と優しい笑顔
少女はリヒター修道僧に微笑みかけるのだった。
続く夢の中の情景は‥
荒地、夜の時間 月明りの美しく壮麗なカルタゴの遺跡
もし昼間なら熱い太陽の空、青と白のコントラストがそれは見事な光景
其処 其処にあるのは栄華を極めたはずの
哀れな古代フェニキア人の末裔たちの植民都市 カルタゴ
荒地に広がるヴァル神殿跡をはじめとした遺跡の数々
『ヴァル神に愛されたもの』 その名前の意味するハンニバル・バルカ
アルプスをゾウ達と越えた伝説の名将ハンニバル将軍
彼が愛した故国の残骸。
「これは…此処は?」
「多分、貴方が見ている夢ね リヒター修道僧 今 貴方は船に居るから」
「此処は綺麗で切ない場所だわ」
そう言いながら魔物の少女はリュートをつま弾く
「アレルヤ(ハレルヤ)」「オフイーリア」
それはあのガレー船で船を壊しながら謡っていたメロデイ
彼女が歌う中で海賊船の甲板が砕けてゆき、海賊達が次々と獲物になった。「あの時、私が魔物と分かっていたのに助けようとした貴方
哀れな幼い貧者の為に身代わりとして 自らの身を捧げた優しい貴方への約束」