ハンバード ハンバード「一瞬の奇跡」について
この曲は、この「嬉しい楽しい〜ただ歳とっていく」のフレーズが何度もくり返され、自然と頭に残されます。
このフレーズを入口に、歌詞を見てみると、皮肉っぽさもありつつも、一瞬一瞬の感情に大きく囚われすぎずに歳を重ねていこうという、メッセージが込められているように感じられました。
私自身アラサーになり、ふと、もう一回ここまでの時間が繰り返したら60代。もう一回繰り返せば100歳目前。
なんかあっという間なのかなって、思っていました。
人並みなのかわかりませんが、人生を意味あるものにしたいとか、何か特別な人になりたいとか、そうでなくても、自分の人生に達成感を覚えたいという欲を漠然と抱えていた(る)のですが、「ハッピーエンドなんて存在しない〜」の歌詞が痛烈に響いてしまいました。
自分の人生の終わりを前にして、嬉しい、楽しい、寂しい、悲しいのいずれかの感情を抱くのかはわかりません。
先ほどの「欲」を引き合いに出すなら、嬉しい、楽しい、と思える人生が素晴らしいことでしょう。けど、そんな先のことはやはりわからない。
少なくとも今まさにこの一瞬一瞬に湧き立つ色んな感情に蓋をせず、一方で、振り回されず、今を淡々と生きてもいいんだよと伝えてくれている気もして、どこかホッとする気持ちになりました。
最後だけ、「嬉しい楽しい〜」のフレーズではなくなり、愛憎入り混じる人間味溢れる雰囲気を出しつつも、一歩引いて「電気信号」と一蹴しています。
昨年来、あることをきっかけに、どっぷりと絶望感に苛まれていて、将来に明るい見通しを立たない状態なのですが、この一蹴してしまう勢いの良さが身に沁みました。
けど、この曲のタイトルは「一瞬の奇跡」。色んな感情を自分の人生の一部と認めて、止めようのない時間流れの中を生きていく、そんな逞しさを学ばせていただきました。