遊んだフリーゲームの記録(ティラノゲームフェス2023参加作⑨)
自分がプレイしたゲームの感想というより個人的な記録です。
ゲームの簡単な概要と私個人の感想をネタバレ無しで綴っています。
ゲームを批評する目的ではなく、
読んだ方にとって、自分に合う作品かを調べたり
まだ見ぬゲームと出会う一助になれたらいいという物です。
今回もフリーゲーム投稿サイト
「ノベルゲームコレクション」にて行われている
ティラノゲームフェス2023に参加している作品の中で自分がプレイしたものをこちらの勝手な括りで並べてみました。
世の中は年末年始や冬休みで長期的な休みに入る方も多いと思います。
(暇じゃないよって方もいるのは承知している上で)
せっかく時間が空いているのならこの機会にどっぷり浸れる長編はいかが?ということで何作かピックアップさせていただきました。
長編と言っても基準が幅広いので
・概要の説明でプレイ目安時間が1時間以上と表記されている作品(作品概要欄での書き込みも含む)
かつ
・私がEDまで1周見終えるのに1時間30分以上かかったもの
となっております。
(全ED回収の周回で計1時間越えのようなものは今回は対象外)
※プレイの際は作品ページに書いてある注意事項及び利用規約を必ずご確認ください
※今回掲載したゲームの作者様へ
この記事内容への訂正・削除等何か要望がありましたら
お手数ですが
・この記事のコメント欄 か
・プロフにかかれている個人サイトの連絡先までお願いします
(Xでよければ @nonossanoです)
『未来都市の氾濫』
デジタルと人で溢れる洪水
■作者 HULINERS様
■プレイ時間:4時間くらい
■ゲームの概要
・ジャンル:アドベンチャーノベル
・ED数:1
・セーブ機能あり
・R-15指定の作品です
ゲームの導入:
この未来都市では人間の日常生活にAIなどのディジタル技術が密接につながっています。肉体労働以外は全て在宅、学校も在宅でAIが教師の代わりに学習指導を行います。
テクノロジーによって変革を得た市民たちは、その利便さを享受していました。それと同時に人と直接顔を合わせて話す機会も少なく、全ての関係はネットで事足りています。
それはつまり、この街には人同士のつながりがないことを意味してもいます。
午後6時、主人公のヤシロは今日の仕事を終え
偶然目にしたニュースによると、元から問題視されていた自殺者が増加の一途をたどっているのだとか。
テクノロジーが発達したこの都市でもなぜ人が自ら死を選び続けるのか。
そんなことを考えながら、ヤシロは夕飯を食べに出かけるのでした。
感想
ディストピア好きなのとサムネイルのUI画面のお洒落さでプレイを決めていました。
UIが全てウィンドウ化されていることで、デジタルとシステム化の世界観が表現されていて素敵でした。
時場所要件が全てUIとして表示されているのに加え、
ピクトグラムなどのシンボル的デザインの画像で作られていて、
シンプルかつスマートな描写演出なのも作品の良さですね。
シナリオはヤシロが主人公のChaptersとクミが主人公のPartsの二軸で構成されており、プレイヤーの任意で双方を読み進めていけます。
一方を一通り終わらせてもう片方のを終わらせるとか、または交互に見て行くとかでも良いのですが、どちらにしてもヤシロから先に読んでいくのが未来都市とそこに住む人全体の姿がわかるので読みやすいかなと。
AIからみた人の抑圧と憎悪と絶望とは、もしそれを学習したとしたら?
そして繋がりが無くなったという人間同士と取り残されてしまった者たちの声、様々な声と思いが交差してく模様を読み進めていくのが楽しかったです。
選択肢のない一本道なので自分のペースでゆっくりと読めます。
こういう未来が起こらないとは言えないリアルさがあるが故に、自分たちのこれからの姿も考えられる作品でもありました。
長編のディストピア系近未来SFを楽しみたい方におススメです。
『The Mirror Game』
デスゲーム風味の演劇鑑賞会
■作者 SERINA様
■プレイ時間:2時間くらい
■ゲームの概要
・ジャンル:アドベンチャーノベル
・ED数 :5(途中のクイズの正解数で最後の絵が変わる)+バット1
・セーブ機能あり
・R-15指定作品です
また注意事項として
とのことですので、プレイ前は必ず概要ページを全てご確認ください。
ゲームの導入:
宇宙人のアギラは地球人のグランドらが高校時代の文化祭で行ったという演劇「デスゲーム風白雪姫」が気になり、夢や思考データを読み取る機械を活用して、当時のデスゲーム参加者(演者)たちの記憶を使い一本の映像化し上映会をすることに。
白雪姫をデスゲーム風にアレンジしたという彼らの即興劇は一体どうなったのでしょうか。
感想
どこかのSNSでゲーム概要と画面のスクショを見かけた際にタイトルをメモし忘れたのですが、その後ティラノフェスのバーチャルブース会場で見かけてたどり着けました。(フェス参加作一覧で見かけたはずだけど肝心のタイトル画面を見忘れていて気が付けなかった…)
説明にある通り、作者様の作品シリーズの続き物なので過去作からのキャラや設定がそのまま出てきますが
メインは作中作の白雪姫パロディなので元キャラの設定が要らないのと
冒頭でシリーズ初プレイの方への簡単な説明がありますので
過去作未プレイでもなんとなくこういう世界観とキャラたちなんだなくらいで進められますので大丈夫です。(私はシリーズ初見です)
キャラクター数は多いのですが皆それぞれ多種多様な見た目で見分けつかないってのはおきないかと。
本題の白雪姫デスゲーム演劇に入る前のくだりが大体30分ほどあり、
そこではシリーズのキャラたちが集まってわちゃわちゃと楽しそうなやり取りが繰り広げられます。シリーズ作をやっているとこのキャラたちの背景も繋がりもより深く楽しめると思いますので先に過去作をやるのも良いかと。
作品とのミスマッチを避ける目的で一応言及しておきますと、
デスゲームときくと推理ロジックとかのイメージですが、この作品は殺人事件がおきて犯人を捜すというような推理ゲームではありません。
そのため猟奇的などの閲覧制限表現は含まれておりません。
内容としては白雪姫を風刺を混ぜつつ大きくアレンジしたノベルという感じです。
作者様の説明にもありますが
グロさや恐怖の類ではない聞いてて不快な人もいる尖った言葉がズバリダイレクトで沢山出てきます。昨今のSNS事情を鑑みるに誰もが一度は目にしたことのある言葉ではないかと。なのでその手の攻撃的かつ存在否定的ニュアンスの強い表現が苦手な方はご注意ください。
事前情報が少ない状態でプレイ欲しい為、ここではこれ以上シナリオの内容には触れませんが、メッセージ性のあるゲームとなっています。
話の大筋は白雪姫ですが、本家の設定から大分アレンジされていて展開が面白かったです。
タイトルにもある鏡というワードが表す通り、プレイヤーらの姿を映したゲームなのかもしれません。人によってそのキャラの台詞に共感出来たり、逆に反論したくなったり様々な意見があると思います。
EDについてですが基本は一本道です。劇の途中でいくつか選択肢があり、その正解数で最後のイラストが変わります。(私は初周2問正解でした)
スキップも付いてますので全部見るのはそこまで難しくないかと。
見た目はデフォルメチックでありつつ現代風刺のスパイスが効いた、
作者様の世界観溢れるゲームです。
過去シリーズを追いたい方はこちらの作品からプレイするとよいそうなので是非。
『僕は運動が出来ない! それでも…』
半歩頑張ることを思い出させてくれる爽やかノベル
■作者 UNKNOWNPROJECT様
■プレイ時間:2時間~2時間30分
■ゲームの概要
・ジャンル:アドベンチャーノベル
・ED数 :1
・セーブ機能あり
ゲームの導入:
今年の球技大会の種目はバスケですが、直坂のクラスはそこまでやる気ではない様子です。しかし、帰宅部で運動が苦手な直坂には大会でどうしてもやりたいことがありました。それは自分がシュートを決めること。
スポーツの実力が全くない直坂にとってシュートなんて夢のまた夢…なのですが、放課後や昼休みにも練習をし始めます。
学校での練習も思うようにできない中で、運よく出会えた近所に住むバスケ経験者の華蛙損(カーソン)に指導してもらうことになりました。
感想
タイトル名と作品説明を見て惹かれました。
そうです、私もスポーツができない側の人間だったので、そういうテーマっぽいスポーツ作品ってどういう展開になるのか気になりまして。
バスケの知識がなくても読めます、というより主人公の直坂自体がほとんどルールを知らない状態でのスタートなので
バスケのルールや用語が出てくる度、後で華蛙損が教えてくれるので状況がわからなくなることはないかと。
内容はきちんと真面目なバスケがメインのスポ根?コメディです。
私のように学生の頃体育で少しやっただけという程度の人にとっては、聞いたことのないルールやパスの受け渡しやドリブルの仕方など、読んでて勉強になるものが多かったです。ドリブルのときボールを蹴ってしまう、歩数がわからずトラベリング、みたいな直坂の失敗もガチ初心者あるあるなので気持ちがすごくわかる。パスをもらえずただいるだけみたいな存在になることも…
試合でシュートを1本決めるという己の目標のため頑張る直坂、
気が強いためなのか周りの女子たちから浮いている存在の宝生、
クラス唯一のバスケ部である折田。
三者三様の視点で物語は進んでいくので、バスケのみではなくスポーツそのものへの向き合い方について色んな角度から楽しむことができました。
学生時代に宝生や折田のような想いを感じた人も大勢いるのでしょうね。
(私も宝生の気持ちわかるかも…)
勝敗や成績がゴールではない青春スポーツノベルが見たい方に
佃煮定食おいしそ
『醍醐くんの飯活!!』
探索・パズル・推理・なぞ盛り沢山ゲーム
■作者 一(いちもんじ)様
■プレイ時間:4~5時間
■ゲームの概要
・ジャンル:アドベンチャー
・ED数 5 (バットは31種)
・セーブ機能あり
・攻略情報あり (概要欄のリンク先)
・R-15指定のゲームです
注意事項として
とありますので、必ず作品掲載ページの事項を全てご一読ください。
ゲームの導入:
朝、学校の屋上で待ち合わせをする戸門と醍醐。
二人の目的は戸門をカツアゲしている不良グループ:北島・明井・商の3人の弱みを握り、戸門へのいじめを止めさせることです。
醍醐の見立てでは戸門に残されたタイムリミットは後3日。
まず1日目は北島の情報を集める為、聞き込み担当の醍醐とネット担当の戸門とで分かれて行動することに…
感想
飯活ってかいてあるし食べ物のゲームかな?と食い気のみで覗いてみたら、なんかすごそうなゲームだ!ということでプレイ。
注意書きにもある各種描写についてですが、不良グループがあくどいことをやっていたり、すこしシリアスな展開もあるのでギャグコメディ色100%というわけではありませんが、概ねソフトに触れられて終わりって感じで終わるかと。
※その手の単語や雰囲気が出るだけでも無理な方は避けた方がよろしいかと思われます
ストーリーは全体的にコミカルなやりとりで進みます。
わけあって他者に対して無干渉無関心に接していた醍醐と何事も相手に振り回されるままだった戸門が、それぞれ少しずつ変わっていく姿が印象的でしたね。
女の子も複数登場しラブコメ要素もあり、オカルトネタもあり…と何でもありの学園物な作風となっています。
ゲームとしては探索パートがメインではあるのですが、
随所になぞなぞやパズルなどのミニゲームが差し込まれているので次から次へとゲームが移り変わって楽しかったです。
探索パートでのイベントがバリエーション豊かで、1周だけでは見られないイベントが満載です。
それ故に初見でストレートにクリアするのは難しい難易度となっています。
何度もバットEDを見てセーブロードを繰り返して遊ぶタイプのゲームですね。
探索時に必要な情報をそろえられないと先に進めなくなりますので、
午前最初の探索スタート時のセーブを残しておくのをお勧めします。
攻略情報については作者様のサイトに公開されておりますので、
一部謎解きやクイズでどうしても答えがわからず詰まってしまうときやED分岐の条件など調べる際はご利用ください。
EDは5種あるそうです。私はグッドエンドでしたが、正直何がフラグだったのかわからない(思い当たるとすれば彼とのあのイベントかな?)くらい色んなイベントと遭遇します。それくらいシナリオ上での選択の幅が多く何周でもプレイしたくなるゲームとなっています。
がっちり作りこまれた探索系アドベンチャーがやりたい方におススメです。
醍醐の爆盛りご飯が良いですね。おかずいっぱいだから食べ応えあるね
『WHO THE HELL AM I』
悩んで選んで歩いてまた悩んで
■作者 あかとりょうじ様
■プレイ時間:3~4時間
■ゲームの概要
・ジャンル:推理ADV
・ED数 :1
・セーブ機能あり
ゲームの導入:
悪魔のアリーズが言うには、自分(プレイヤー)は本来死ぬべき時じゃないのに死んでしまったので、魂だけの存在になった自分が本人自身に戻りその死を無かったことにしないといけないのだとか。
しかし、魂が誰のものなのかまではわからないため、魂の持ち主だと思われる候補者4人にまつわる回想をみて、自分自身が誰なのかを探し当てることになりました。
肉体にあるべき魂は1つだけ。つまり死んだ自分以外の肉体に戻ろうとすると元の人間にはじき出され、魂であるあなたが消滅してしまうのです。
魂は正直な存在で、魂である今の自分が感じたことは偽りのない自分自身の考えということになるので
回想を見て自分が感じることは『魂の正体が考えることと一致しているはず』でそれが正体を探し当てるヒントになるはずとアリーズは語ります。
黒い髪の男:トール
神に仕えるシスター:シウ
戦斧を抱え鎧に身を包んだ騎士:スカーレット
フードの男:ロータス
この4人の中にあなたがいるーーー
感想
タイトル画面のシンプルさと説明文をみて気になったのでプレイしました。
回想で自分自身を見つけるってどういう感じなんだろうと…
トール・シウ・スカーレット・ロータス4人の言動を振り返りながら、
魂である「あなた」が眺めてて思ったことを混ぜて回想が進んでいくので、
4人だけでなく魂が何を視てて何を思いそれにどういう印象を持ったのかまで把握しながら読み進めるのが凄く新鮮に感じました。
回想の世界はRPGものでよくあるタイプのファンタジー系です。その世界の専門用語などは出てこないので、その手の知識がなくても問題なく読み進めて行けるかと。
ただ起きた事実だけを表示され、それだけを推理し続けるのかと思いきや、4人それぞれの想いや考えにはあるテーマがあり、魂の正体を見つけること以外についても考えさせられるゲームでした。
回想時以外は真っ白の部屋で悪魔のアリーズと話し合ったりも出来るのですが、その時の会話のゆるさが回想を見る緊張のガス抜きとなってちょうどいいですね。
一番最後自分が誰なのかを聴かれ、そこで正解の一人以外を選ぶとゲームオーバーとなります。
セーブの忠告がありますのでそこできちんとしておきましょう。
推理自体はそこまで難しくもないかなと(4択ですしね)。
自分自身が一体何者なのか…どうしていけばいいのかわからない
という方に是非お勧めしたいゲームです
最後に
今回はプレイ時間が1時間30分以上かかるであろう長編をいくつか挙げてみました。
しかし、フェス作にはまだまだ長編作品はたくさんあり、本当は全てに触れてプレイ記事として残したいのですが、こちらの都合もあって難しくてかなわず。
長編に限らずノベコレの作品はフェスの終了や公開日時・参加の有無関係なくプレイする気満々なので、このnoteで引き続き記録を残していけたらなって思います。
遊ぶ側としたらどうしてもプレイ時間によるとっつきやすさというものがあって短編と長編だとその差は…ね。という感じで
どうしても「もっと時間のある時にプレイしたいな~」で長編は後回しになりがちに。
一応自分も作る側なのでそっちでの視点も言いますと
「たっくさん時間かけて作り上げた分、色んな人にプレイしてもらいたい」
という気持ちもそりゃ湧きますよねと。
5~10分のゲームを作るのだってそのプレイ時間に見合わず大変なのは制作者なら特に感じることだと思うので、長編というたけでプレイを断念されてしまうのはちょっと惜しいと思う部分もあるのです。
フェス期間中でなくても
本当に時間ができたときそのゲームを思い出してもらえたら嬉しい、なんて思っています。
最後になりますが、各作者様プレイさせていただき誠にありがとうございました。
ここまで見てくださった皆様も気になる作品がありましたら是非ご自身の手で触れてみてください。
お付き合いいただきありがとうございました