まちに音楽を届ける〜三島せせらぎ音楽祭2024〜
2024.2.11
第3回目となる三島せせらぎ音楽祭が終わりました。
今回、私はステージマネージャーとしての役割をいただき、
期間中は仕事の休みをいただいて、フルコミットしてきました!!!
まだまだ頭の中ではずっと、彼らの凜として優しさ溢れる姿と、あの時の演奏が脳内再生されています☺️
本気で向き合った5日間。
次にむけて動き出すためにも、この5日間のかけがえのない経験を書き留めておきたいと思います。
「三島せせらぎ音楽祭」とは?
はじまりは、2020年の夏。
コロナ禍で演奏する機会がなくなってしまった最中。
芸術支援事業のひとつとして、スカイウォークでコンサートが開かれました。
集まったのは、指揮者の下野竜也さん、ヴァイオリンの矢部達哉さん、ピアノの横山幸雄さんを筆頭に、日本のトップクラスの音楽家たち。
自らがまちへ出て音楽を届け続けたいという彼らの想いが、「音楽」に込められ、限定100人の観客の心と三島の街に、大きな感動を生み出し、奇跡のようなコンサートとなったそうです。
そして、その時に集った音楽家の皆さんが、三島のまちの美しさと、人の温かさに魅力を感じてくださり、「せせらぎのように音楽が街中に染み渡るような音楽祭を開きましょう」と、想いに共感してくださった音楽家の方々を集め、年間を通して小中学校での演奏や野外でのコンサート等を重ね、今年で第3回目となる「三島せせらぎ音楽祭」が開かれました。
音楽が、届く・・・
今年のせせらぎ音楽祭。
盛りだくさんなスケジュールで進んでいきました。
2月7日に皆さん集まり、リハーサルがスタート。
2月8日は市内小学校へのアウトリーチ、
2月9日には静岡県立こども病院へアウトリーチとレセプションパーティー
2月10日は日清プラザ(イトーヨーカドー)での福祉とつながるコンサート、
そして2月11日のメインコンサートである「YouYouせせらぎコンサート」。
小学校のアウトリーチでは、
5年生・6年生とそれぞれに約1時間のコンサートが開かれました。
子どもたちにむけた曲間の高橋さん(トランペット)の超わかりやすい解説に、思わず音楽家の皆さんも「へぇ~」と唸る場面も😆
子どもたちはその解説をきいて、曲や当時の文化についてイメージを馳せながら、目の前で見る演奏の「超絶技巧」に釘付けになっていたり、ワルツの拍子に合わせて体を動かしていたり楽しそうな様子🎵
中でも、カルメンを歌った清水香澄さんの先生を巻き込んだダンス付きのパフォーマンスには超盛り上がり!
最後には、生演奏で校歌を合唱し、笑顔一杯で終了しました!
終了後、片付けをしていたら、ひとりの先生が声をかけてくださいました。
「こんなに素晴らしい演奏を、子どもたちと一緒に聴けたことが本当に嬉しかった。心が豊かになりました。本当にありがとうございます」と、目にいっぱいの涙を浮かべて。
そのとき、MCで高橋さんがお話していたことを思い出しました。
ノドが乾いたら水を飲むように、
心が渇いたときに潤してくれるのが音楽なんです
そして、翌日のこども病院へのアウトリーチでは、
この言葉の意味をさらに深く実感する経験ができました。
会場となる会議室に、子どもたちやそのご家族、スタッフの方々など30名ほどの方が集まりコンサートがスタート。
はじまりの曲はモーツァルトのディヴェルティメント。
それまでは本当に「ただの会議室」だったのが、
演奏がはじまった瞬間に、
会場にふわっと優しい風が流れ、とってもあたたかいコンサート会場になりました。
思わず駆け回るお子さんに、ヴァイオリンの矢部さんが演奏しながら追いかけるといった微笑ましい場面も☺️
最後に演奏された「花のワルツ」。
会場いっぱい、音楽家の皆さんの想いのこもった音に包まれ、
それまでじっと聴いていた子たちが、自由に指揮をしたり、紙で音をだしたり、手をたたいたり・・・
「あ、音楽が届いたんだ」
そう感じた瞬間でした。
音楽があったから繋がれたとも言えるかもしれません。
あの愛しい時間を共有できたのは、間違いなく、
皆さんの想いが詰まった音楽が包み込んでくれたからだと思います。
今だから書けますが、、
「花のワルツ」は涙を堪えるのに必死でした。。
明るく力強い音色に、勇気や元気、まさに「心に潤いを」届けてくれた、かけがえのない時間でした。
ステージマネージャーという仕事
この5日間は、プロのステマネさん(以下、師匠という)に教えてもらいながら、「舞台袖」がわたしの仕事場になりました。
ステージマネージャーの役割は「音楽家の皆さんが届けたい想いをのせて、ステージで最高の演奏ができるよう、最高の環境をつくること」。
昨年の夏に、師匠が背中で教えてくださったその役目は、舞台監督のようなステージづくり(演出をするときもあるそう!)から、袖や楽屋といった裏側の環境も整える役割を担います。
もともと、こういう裏方の仕事は大好きで、非常に楽しかったのですが、
中でも印象的なシーンが2日目のリハ(ショパンのピアノ協奏曲)でのことでした。
それぞれのパートの席に何度も座ってみながら、演奏中のステージ上で視線の交わし方や、隣との距離感を数センチ単位で調整している師匠。
その後のリハーサルを私は客席で観させていただいたのですが、、、
息をするのを忘れました。
本当にそのくらい音楽に惹き込まれたのです!!!!!
横山さんのピアノに導かれ、ステージからまっすぐに心に響いていく。
あの空間に紡がれた音楽が自分の体にぶわーーーーっと響いて・・・!!! ( クラシック素人かつ、語彙力がなくて表現しきれないことが悔やまれる・・・😭)1日目の演奏ももちろんすごかったのですが、全然違う風に届いてきたのです。
前日は、椅子のレイアウトもちょっと距離があったりで、全体が少し広がっていたような感じだったそうです。
それが、視線や隣から聞こえる音をどれだけキャッチできるかという師匠のこだわりの微調整に加え、音楽家の皆さんの情報収集力がやはりものすごくて。
プロフェッショナルを目の当たりにし、なんと贅沢な現場にいられてるのかと幸せを感じると共に、自分も常に120%でなければここには居られないと感じた出来事でした。
未来へ繋げる音楽祭
そんなふうにリハーサルを積み重ねてむかえたメインコンサート本番の日。
現場は、それまでと変わらずにありながらも、 どこか空気が高揚していて、ふとした時に緊張感が漂うような不思議な空間でした。
いよいよ幕開け。
師匠が一声かけ、ステージにでていく扉を開けて、皆さんを送り出します。 お客様からの大きな拍手に迎えられ、譜面台の前に立ち、照明がしぼられます。
曲目が進むごとに、音楽家の皆さんの魂と愛情が込められた演奏にお客様がどんどんステージに魅了されていく・・・
演奏が終わった途端に聞こえてくる感動をのせた拍手の音や、袖の隙間から見えるお客様の高揚した表情が、その様子を物語っていました。
私は、せせらぎ音楽祭の魅力のひとつは、
音楽家の皆さんが本当に楽しそうに演奏されること
だと思っています。
お互いのことを尊敬し合い、ともに演奏できるよろこびを、
音楽にのせて、お客さんと共有し、
音楽の力を、本気で、全力で、このまちに届けようと。
市民主体の音楽祭に、トップレベルで活躍されているこれだけの音楽家の皆さんがきてくださるというのは他のまちではありえないそうです。
小学校や病院に行ったり、トランペットクリニックのように楽器を演奏される市民の皆さんの学びの場をつくったり。
「三島市内を流れるせせらぎのように、まちに音楽を届けていきたい」という矢部さんのお言葉を、本気で感じた5日間。
この音楽祭を、未来に繋げていけるように。
私たち三島のスタッフも想いを共にし、せせらぎ音楽祭をもっともっと育てていきたいと思います!
最後に。
この5日間、私にとっては「映画づくり」を思い出す日々でした。
約10年前に行った映画づくりは、間違いなく、私の人生が大きく変わったきっかけの出来事です。
この音楽祭も、同様の可能性を感じました。
当日の運営サポートのみの関わりでも達成感を味わうことはもちろんできますが、
どれだけ関わるかは、自分次第。
三島の街にこの音楽祭があることを誇りに思い、
この喜びと感動をもっと多くの仲間たちと共有できるように、
次に向けて一緒に頑張っていける仲間も増やしていけたらと思います!
第4回三島せせらぎ音楽祭の始動をお楽しみに♡