映画『ボーダーライン』
日を跨いだ深夜に記事を更新しているせいで5日ほど投稿が空いたことになる。記事が空くのは2日までにしたいな。
なんとなく緊張感がある映画が観たくて『ボーダーライン』を観る。原題がSicario(殺し屋)と超絶イカしてる。なぜ原題そのままにしないんだ、と配給会社にムカムカするがカタカナ表記で『シカリオ』になると「シカ」は動物の鹿を想像させるし「リオ」はありがちな女の子の名前だし原題の意味を知らなければ重々しい意味には聞こえないかも。
ボーダーラインの素晴らしいのは暗鬱な展開にもしっかりとメリハリがある部分だ。冒頭から銃撃戦と猟奇的な事件が発生し、ショッキングなシーンが連続する。だけどそれは黒猫が目の前を横切ったようなこれから起こる不吉を予感させる静かなものだ。(私の中では死体が写っているシーンや死んでいるシーンは限りなく静で緩やかなのである)仏壇の前で心拍数が上がらないのと同じだ。激しく燃え上がったと思ったらしんと静まりかえる。
抜け穴に潜入していくシーンはその場に自分がいるかのような錯覚を覚えるほど鮮やかな転換だ。
今作でもっとも緊張感がありショッキングなシーンを問われれば、間違いなくベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロ・ギリックが任務を遂行する場面でしょう。復讐について法律と道徳を持って考える人には衝撃的な結末。この衝撃的な結末を網膜に焼き付けるため90分を捧げる価値は十分にある。
続編の『ソルジャーズ・デイ』もグロテスク&バイオレンスで変わりなく暗鬱で乾いた雰囲気なのだが、なんと三作目の制作が進行している。※ただし制作の情報は2023年を最後に途絶えている。コロナ禍や欧米での脚本家ストライキのことを考えると順調に制作が進んでも2025年かそこらの発表になるだろうか。1,2作目の雰囲気が崩れることのない鬱々とした作品であることを願う。