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発達障害のボクと母ちゃんのお話

 昔、ボクが母ちゃんのお腹にいる長い間ボクはずっと逆子だった。

 そして、一度も元には戻らずに上を向いたまま過ごしたボクは頭がスクスクと成長し、七匹の子山羊のオオカミのように母ちゃんのお腹をチョキチョキと切って、この世に生を受けた。

 逆子だった原因はへその緒がボクの首にグルグルと何回も巻き付いて身動きが取れなくなっていて、病院の先生は、お腹を切らなかったらボクは死んでいただろうと言っていたそうだ。

 この時に母ちゃんは、まさかボクが障害児であるとか、十数年に及ぶ壮絶な子育て生活に突入するとか想像すらしていなかっただろう。

 産まれてすぐのボクは、お昼寝を全くしなかったり、夜に寝たら半日以上寝ていたり、産後すぐの母ちゃんはお昼寝ができなくてとっても眠かったと言っていた。残念ながら家族も親戚も育児に参加してくれる人は誰もいなかったそうだ。

 母ちゃんは後に、ボクが人の気配に全く関心を持たなく、ある一点だけを一日中見つめていて。その状態が数ヶ月続き、他の赤ちゃんとは様子が違うことがとても気になっていたらしい。

 このお話も本当だったらボクが書きたいのだけれど、ボクは頭の中で考えていることを伝えるのが苦手なんだ。

 だから、苦手なことは母ちゃんに任せることにしている。それで母ちゃんの苦手なことはボクがやる。だから『お互い様だね』って母ちゃんはいつも言う。

 今は苦手なことがたくさんあるけれど、いつまでも甘えているわけではない。要約して話すこと、相手の気持ちになって考えること、障害があることを逃げ道として使わないことだ。

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