エッセイ)終わった恋の価値
物を捨てるのが苦手だ。
もう着なくなったお洋服や資格の勉強でつかった参考書、何年も手をつけないで置いてあるだけの文庫本。
狭いワンルームに置きっぱなしではものが増えてしまって困るから、これらはメルカリや近所のリサイクルショップの買取に出すようにしている。
小銭稼ぎというよりも
捨てられないから、他の誰かに引き取ってもらうという感覚。
中には値段がつかないものもある。
それでも、自分で処分するよりはマシという理由で
リサイクルとしてお店に引き取ってもらうのだ。
なかでも一番扱いに困るのは
過去に付き合っていた人や好意を寄せてもらった人からプレゼントされたアクセサリー類。
アクセサリー類に限らず、
人からのプレゼントは物とは別に想いがこもっているからやり場に困る。
物に罪はないから、と捨てずにそのまま使っている人もいるけれど、わたしにはどうもそれはできない。
だから
気持ちの整理がついたら手放すことにしている。
ネックレスを人生で3度もらったことがある。
恋が終わり、時が経てば、やはりこれも例外なくリサイクルショップへと繰り出されるのだが
服や本と違い、
ネックレスに値段がついたのを見たとき
なんだか釈然としない気持ちになる。
もちろんネックレスに値段がつけられただけで、
過去の恋が査定されたのではない。
それでも、過去の恋愛に値段がついたのではないとわかっていてもその恋の価値が測られたような気持ちにすこしだけなる。
モノの価値は当然変わらないのだが
数千円の値段がつけられたときなんかは
恋の終わりに似た呆気なさと
ほんのり虚しさが残る。
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