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空冷4発、シングル、バーチカルツイン、そして Vツイン

オートバイとの出会いから現在に至るエンジン形式への個人的な想いの話です。
文中に関連するバイク雑誌等のWeb記事のリンクを入れています。


750cc ライダーに憧れた小学生

小学生の高学年の頃、漫画、750cc ライダー(ナナハン ライダー)を読むようになって、オートバイというよりもナナハンに憧れました。ナナハン以外の排気量や劇中のオートバイ CB750Four のエンジンが空冷並列四気筒(空冷4発)ということも知りませんでした。マスターのモンキーは知ってたか…

最初の愛車は 250cc シングルスポーツ

高校生になって、オートバイの雑誌などを読み始めて、初めていろいろな排気量やエンジンの形式があることを知りました。YAMAHA SR400/500 を見たときは、なんでマフラー(エキパイ)が一本しかないんだろう?なんか変なオートバイだな…なんて思っていました。SR の購入を検討したこともありましたが、その頃のイメージが拭いきれない感じがあるようです。

シングルエンジンへの偏見というか変なイメージを持っていたものの、原付をとばして中型免許を取得して最初に購入したのは、HONDA CB250RS-Z という単気筒のロードスポーツでした。エンジンは、オフロードバイク XL250S のエンジンを流用したもので、単気筒ながらエキパイ、マフラーは2本でした。
2本マフラーだったから許せたのか、憧れの ホンダ車に乗りたかったからか忘れましたが、その頃の自分には合っていたと思います。あと半年くらい待てば VT250F が発売される時期でした。VT250F は発売前、 2サイクルの YAMAHA RZ250 の対抗馬と見られていて、スパルタンなイメージがありました。しかし、発売されるととても乗りやすい高性能バイクといった感じで、これを待っていてもよかったのかなとも思いました。
CB250RS-Z はビッグシングルと違って、低回転で鼓動を楽しんで走るオートバイではありませんでしたが、トコトコと小気味よく走る感じを楽しんでいました。憧れの CB の車名も気に入っていました。

漫画に出ていたとは…

バーチカルツインへの憧れ

国産バーチカルツイン

オートバイに乗るようになってからだったか、その少し前だったか、友人に勧められて、片岡義男のオートバイ小説を読み始めてはまっていました。片岡義男さんがパーソナリティを勤めていたラジオ番組も聴いていました。
「彼のオートバイ、彼女の島」の主人公が乗るのは KAWASAKI 650 RS W3 というバーチカルツインのオートバイです。後に映画化されたときにも W3 が出てきました。「スローなブギにしてくれ」の映画では小説とは異なるオートバイで残念だったため、嬉しかった記憶があります。

小説を読んだ後、W3 のことを知るようになって、YAMAHA XS-1(XS650/TX650)と合わせて、国産バーチカルツインのオートバイに憧れました。ツインへの乗り換えを考えていたときに、候補として検討しましたが、やはり旧車ではなく現代のオートバイに乗りたいと思い、候補から外しました。当時、KAWASAKI W650/800 が出ていたら購入していたかもしれません。

英車、ロッカーズへの憧れ

(単純に音楽としての)ロカビリーが好きだったこともあって、イギリスの 1950年代後半から 1960年代のバイカー、その文化であるロッカーズ(Rockers)に興味があって、そのオートバイ、カフェレーサーのベースの英国のオートバイに憧れました。Norton、TRIUMPH、BSA といったオートバイですが、車種については詳しく知りませでした。

余談ですが、昔、友人に「バイクメ〜ン」という漫画を教えてもらって読んでいました。Rockers の頃のイギリス人らしき青年とオートバイ(トライアンフ、ノートン)が一体化した、わけのわからないバイク人間が現代の日本に現れるという内容で、最初はこういうのは好きじゃ無いなぁと思ったものの、好きだった世界ということもあってか、はまってしまいました。

憧れの空冷4発 750cc に乗る

大学生の頃、限定解除(大型二輪免許を取得)しました。バーチカルツインへの憧れもありましたが、やはり子供の頃からの夢だったナナハン(空冷4発)に乗ることにしました。憧れの CB750Four は当然旧車になっていて、後継の DOHC 空冷4発の CB750F も最終型(FC)が出ていて、その時代も終わろうとしている頃でした。
新車は買えなかったので、中古車を購入したのですが、選んだのは CB ではなく GSX750E4 という、フロント16インチ、リア17インチホイールのオートバイでした。リトラクタブルライトを搭載した GSX750S KATANA 3型 のベースとなったモデルです。新設計のエンジンであったことと、練習場、試験場で乗った旧型 GSX のエンジンが下からトルクがあって乗りやすかったこと、当時の流行であったフロント16インチに乗ってみたかったことが選択理由でした。

学生の頃は、長期休暇のたびにこの GSX で長距離ツーリングに行っていました。休暇の前半に集中的にアルバイトをして、後半はツーリングというパターンでした。
GSX は高速走行が楽で、朝に岐阜を出発して東京に帰り、午後の授業に出るなんてことも苦もなくやれていました。

「空冷4発」という呼び方は、長距離フェリーで一緒だった Z750FX のライダーに教えてもらいました。当時はアナログの時代だったので、何回か文通をしていました。ユーザー車検の話やオーバーホールの費用などオートバイの情報交換をしていた記憶があります。

憧れの空冷四発ナナハンとの別れ

GSX は低回転からトルクがあってフレキシブルで乗りやすく、スロットルを開けたときのパワーの出方、力強い排気音も気に入っていました。
しかし、ある頃から四気筒のエンジンにときめかなくなっていることに気がつきました。最初に乗ったシングルエンジンの心地よさや、乗ったことは無いものの、大排気量ツインエンジンの鼓動への憧れがありました。
悲しい想いでしたが、ツインのオートバイに乗り換えることにしました。

ビッグシングル

ツインのオートバイ選びをしていましたが、欲しいと思える国産モデルが無かったため、ビッグシングルも検討しました。最初のオートバイがシングルだったこともあって、それより大きな排気量のシングルエンジンにも興味がありました。シングルエンジンの鼓動はツインと比べて単調に感じますが、それはまた別の魅力だと思います。

国産ビッグシングルの代表といってもいい、SR500 はカスタムパーツが多く、独特の世界があって、そこに浸ってみたいという気持ちもありました。しかし、個人的に最初のイメージが悪かったことが拭いきれないようで、踏み切れませんでした。

同じヤマハのビッグシングルで SRX600(SRX-6) がありました。今見てもかっこいいというか美しいデザインで心惹かれます。
後期型のモノサスのモデルにキックがついていたらなぁ…と思います。
結局購入しませんでしたが、このエンジンを元々搭載していた XT600 をオーストラリアでレンタルしてツーリングしました。

お下がりのエンジンというイメージが…

当時のほとんどのシングルロードスポーツのエンジンはオフロードバイクのエンジンの流用でした。それは当然ではあると思うのですが、なんとなくお下がりという感じがしてしまい、そのオートバイのために設計されたエンジンを積んだオートバイが欲しいと思ってしまいました。
今思えば、当時のモデルの方が、シングルスポーツというかっこよさ、潔さが感じられたように思います。メーカーがそれを主張していただけかもしれませんが… しかし、オフロードバイクのエンジンを流用したカスタムバイク的な魅力もあったのかもしれません。

その頃、カワサキの250cc エストレヤ(ESTRELLA)が登場しました。直立したシリンダーとクランクケースの形状がクラシカルでとても魅力的でした。カワサキはなにを考えているのか?すごいの出してくるななんて思いましたが、後にべべルギアのバーチカルツイン(W650)が登場したときはさらに驚きました。

最近はオフロードバイクが少なくなったので、お下がり的なイメージも無くなったように思います。GB350 のようなオートバイが出てくるのは嬉しく思います。W230 については、まあ、そうなるよなという感じですが、メグロやW800 の弟分なら、エストレヤを復活させて欲しいなぁと思ってしまいます。

Vツインエンジンの魅力

国産に欲しいツインのモデルが無く、ビッグシングルも購入には至りませんでした。やはり欲しいのはツイン、シングルの鼓動もいいのですが、なんとなく心許ないというか、やっぱりツインの鼓動を感じたいと思いました。

バーチカルツインについては、見た目とイメージや聴いた音だけで憧れていましたが、自分が求めているのは不等間隔爆発のVツインじゃないかと思うようになりました。
VツインとなるとLツインと呼ばれるドゥカティ(Ducati)のベベルギアの 900SS にも憧れていましたが、スパルタン過ぎて自分が乗れるオートバイでは無いと思っていました。
そして、気になっていたのがハーレイダビッドソン(Harley-Davidson)のスポーツスター(Sportster)でした。

Harley-Davidson Sportster

ハーレーというと、日本や欧州のメーカーと比べると性能が悪く、壊れやすいというイメージでした。しかし、かっこいい狭角Vツイン、独特の排気音、鼓動、ダートトラックレースでの活躍など、不思議な魅力のあるオートバイでした。特に独特の排気音、鼓動は和太鼓の演奏を聴いているような感じがして、なんであんなリズムでビートを奏でることができるのかと不思議に思っていました。

当時、ハーレーダビッドソンには、ビッグツインとスポーツスターの二系統のエンジンがありました。鼓動感といったら断然ビッグツインなのですが、個人的にビッグツインはオートバイというよりも、ハーレーという独自の枠という感じがありました。ビッグツインへの憧れはあるものの、所有するのであればオートバイらしいスポーツスターがいいと思いました。

当時、「ハーレー・チューニング・マニュアル スポーツ・スター編」という本を買って、通勤バッグにも入れて毎日といっていいほど読んでいました。
まだ、5速が出て間も無い頃で、情報は4速モデルがほとんどでした。4速モデルはミッショントラブルが多かったらしく、中古は怖いな、5速はどうなんだろう、883 と 1200 はどちらがいいのか?カスタムパーツは…などと2年くらい悩んでいました。
そして、キャストホイール、ベルトドライブの 5速モデルが出たので、購入することにしました。

スポーツスター Vツインエンジンの衝撃

並列四気筒からのスポーツスターのVツインエンジンは衝撃的でした。振動、排気音、鼓動、爆発感…
しかし、さらに衝撃的だったのは、慣らし運転の回転数の封印が解けたときでした。2000回転を超えて 2500回転に回すと、全身を連打されているような振動で、全身の血液が沸騰するかのような感覚を覚えました。そのときは夜だったので、神経が研ぎ澄まされていたこともあるかもしれません。
その後、スポーツスターはラバーマウントになったので、振動は抑えられていると思います。

特にラバーマウントのスポーツスターはいろいろ改良されているようですが、私が購入したものは、オーバーヒート、効きの悪いブレーキ、カックンといった感触の重めのクラッチ、(けっこうな)高速ではエンジンが壊れるんじゃないかと思うほどの振動など、国産車と比べると信じられない点が多くありました。楽しく安全に乗るには、そういったところに対応してくれる信頼できるショップ選びも必要だと思いました。

その後、国産にもツインエンジンのスポーツモデルが…

スポーツスターを購入後しばらくすると、ホンダやスズキからVツインエンジンのスポーツバイクがリリースされました。ヤマハの並列二気筒エンジンには 270度クランクが採用され、不等間隔爆発が注目されてきたようでした。これらのオートバイがあのときあったら買っていたなと思いますが、より個性の強いスポーツスターを買ってよかったと思っています。

以前、足にひどい骨折をして以来、車や自転車に乗ることが多くなり、あまりオートバイに乗らなくなってしまいました。久しぶりにスポーツスターに乗ると、当たり前のことですがスポーツスターはなにも変わることはなく、忘れかけていた自分の身体に鼓動を打ち込んできて、その個性を再認識させられる。そんな気分になります。

250cc Vツインへの期待

以前、最後のオートバイ候補について投稿しましたが、250cc クラスの Vツインへの期待もあります。

大型バイクに乗ってからも気になっていた 250cc のオートバイがありました。ヤマハの SRV250 です。
アメリカンモデルに搭載されていたエンジンですが、アメリカンではVの角度が広くてあまり好きではありませんでした。広いと言っても 60度なのですが、ホンダが多数のモデルをリリースしていた狭角Vツインがかっこいいと感じていました。もちろんハーレーダビッドソンも。
しかし、SRV250 のデザインは車体、フレーム、エンジンを含めて美しく、かっこいいと思います。ロードスポーツの車体にはデザイン的に合うのかもしれません。
また、けっこういい音がしているという印象です。
何年後かに愛車にするには古すぎると思いますが、このようなオートバイが出てきたら、最後のオートバイとして考えたいなと思います。新しい空冷Vツインエンジンが開発されるとは思えないのですが…
最近は270度クランクの大排気量パラレルツインが多いので、そちらに期待するのが現実的かもしれません。

追記

そういえば、スポーツスターの車検の代車で VTR(VTR250)に乗ったことがあったのを思い出しました。前述のとおり、最初にオートバイを買った半年くらい後に VT250F が発売されたこともあって、感慨深いものがありました。けっこういい音で、乗った感じも楽しかった記憶があります。初期型が発売されたのが、1982年、VTZ、VTRになって 2017年まで生産されたということは 35年。ロードスポーツバイクとしては、かなり息の長いモデルでした。250cc のスーパースポーツがパラレルツインになったのは、なんとなく寂しい気がしてしまいます。


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