夏の雨
夏といったらゲリラ豪雨と答える人はどのくらいいるだろうか。私だったら答えない。
でもゲリラ豪雨に遭ったら夏だなあと感じる人は多いと思う。実際に今日感じたのである。
ふらっと外に散歩に出た際に、突然目の前が明るくなり空全体に青っぽい光が広がった。すぐに音が鳴り、ポツポツと腕や頭に水の感覚がした。これは大雨になりそうだと感じ、歩く速度を少し上げ、早めに帰路につくことを決意するが、時すでに遅し。いつの間にかずぶ濡れになり、近くの駅前のコンビニに駆け込んだ。
ここから頭の中で自分の天使と悪魔が戦いを始めた。
悪魔👿「ビニール傘買っちゃえよ」
天使👼「すぐに止むから少し雨宿りしてなよ」
悪魔👿「ほらほら周りの人も買ってるぞ?」
天使👼「もったいないから節約したほうがいいわよ」
悪魔👿「みんな傘さしてるな。お前だけだな」
ののや👨「うるさいな」
悪魔👿?「ずっとそこにいてもコンビニ側にも迷惑だ ろ」
天使👼?「じゃあもう雨の中走っていっちゃいなよ」
悪魔👿?「風邪引くかもしれないだろ。しかも人の家 なんだからずぶ濡れは失礼だろ」
天使👼?「もう何なのよ」
悪魔👿?「👼はちゃんとこいつ(ののや)のこと 考えてんのか?」
天使👼?「…」
👼👿「もう濡れてるからどうでもよくない?」
自分の中の天使と悪魔は自分のことを全く心配してくれてはいなかったみたいです。途中からどっちが天使でどっちが悪魔かもわからなくなってきました。
コンビニの前でこのやり取りを頭の中でしていたとき、どんどん寂しくなってきた。
この状態を誰とも共有できずにいることに寂しくなっていたのだ。さっきまで一人で散歩していたときは何も思わなかったのに、突然の雨によって寂しさを感じるようになる。
なぜ今のこの状態が伝えられないのか、すぐに共感してくれる人がいないのか。
雨の中急いで線路を渡り、駅の方に走っていくとそこには多くの雨宿りをしているサラリーマンやOLが。
👼👿「よかったな、お前だけじゃないよ」
👨「うるさいな笑」
誰とも知り合いではないのに、なんだか温まった。
そこからは雨の中歩いていても、なにかに包まれている気がして嫌な気はしなかった。
「うわ、雨だよ。」を共感してくれる人を確認するだけでこんなに気持ちがよくなるのか。
夏のゲリラ豪雨は心の中にも寂しさのゲリラ豪雨を降らせる。でも所詮はゲリラ。
すぐに晴れるのである。