遠くから

いつも口うるさく話すお父さん

私が何かをするとき、決まってお父さんは文句を言う。
嫌だなぁ。うるさいなぁ。
そんな気持ちで、いつも鬱陶しくて顔も見なかった。

でも、こんな気持ちになるなんて思いもしなかった。
お父さん、起きてよ...

最愛の主人への謝罪

貴方、いつも仕事で忙しくしていて、付き合いで飲みに歩いて、私はいつも家で一人ぼっちでした。
でも、どんなに遅くなっても最後には私のところに帰ってきて「ただいま。」と言って無言で御飯の催促をしていましたね。
二人目の子が生まれた時から別々の寝室になってしまったけど、それでも貴方を大切に思ってはいたんですよ。
ただ、異性としてではなく家族として。
貴方は私を求めてくれたけど、どうしてもそんな対象として見られなくなってしまった私を許して下さい。
他の人に寄っていたわけではないんです。
ただ、性欲が減退してしまっただけなんです。

貴方を拒んでしまったあの日を、今申し訳なく感じてます。
従順でなかった私を許して下さい。

親父

正直俺はあんたを嫌いだよ。
死んでくれて感謝してるぐらいだよ。

俺が勉強で悩んでた時、あんた何て言ったか覚えてるか。
「おちこぼれめ」
あんたそう言ったんだよ。

正直落ちこぼれてなんていなかった。
でもな、あんたの一言で頑張ることをが馬鹿らしくなって今の俺ができたんだよ。

あんた、会社でどれだけ成績上げてたんだよ。
ただの平社員じゃねえか。
あんたに俺をけなせるだけの実績があるのかよ。

何も知らねえよ。
あんたの何も俺は知らねえままなんだよ。
文句があるなら寝てねえで起きて説明しろよ。
どんなスゲエ男だったのか俺に教えてくれよ。

友へ

なぁ、なんで死んだんだ。
また明日と言って別れたじゃないか。
お前が明日また私に「おはよう!」と言ってくれることを私は信じていたんだぞ。
この会社だって、二人で立ち上げたようなものじゃないか。
なぜお前は逝ってしまったんだ。
私を一人にするんじゃない。
この先どうすればいいのか、お前がいつも具体的に私に示してくれたから、これまで私は会社を続けてこれたというのに、この先私にどうしろと言うんだ。
あの時別れ際にタクシーに無理矢理にでも乗せておけば、いや、私の車で送っていればこんなことにはならなかった。
すまない。

お前はいつも突然だな。
もしかしたら、明日になったらひょっこり目覚めるんじゃないかと今も期待してるんだぞ。
でも、仕方ないな。
少しのあいだ、お前なしで頑張ってみるよ。
私もそんなに残った時間は多くないはずだ。
そっちに行ったら、また飲もうな。

遺言

遺産分配などは全ては母さんに任せる。

盛大な葬式はするな。無駄だ。
生きているあいだに使いたい分は使ってある。
葬儀用の通帳は、私のカバンの底に入れてある。
簡単に家族葬で終わらせなさい。

子供達
私は良い父親ではなかったと思う。
しかしな、これだけは言える。
私はお前たちを真っ直ぐに育て上げた。
どんなことがあっても、自分の信じた道を突き進む気持ちの強さ。
自分を信じられる人間は強いぞ。
自分たちの人生を大いに楽しみなさい。

母さん
私はいつも苦労をかけていたと思う。
その迷惑料ではないが、母さんがいつも言っていた1000万円の小遣いを準備してある。
母さん名義の信用金庫口座を作ってあるから、好きに使ってくれ。

そして、もし許されるなら、私の墓は家の敷地内に小さなお堂を作って欲しい。
骨壷を置けとは言わないが、いつもみんなのそばにいられる方が嬉しい。
お地蔵様でもいいな。
家に居たい。

遠くからみんなを見守るなんてことはしたくない。
いつでも、たとえ死んでいても、私たちは家族だ。

では、よろしく頼む。

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