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烈空の人魚姫 第4章 策動のアトランティス大学 ⑤人魚魔女間紛争

人魚魔女間紛争ーーー

インフィニティはそう呟くと残りの紅茶を飲み込んだ。

『イロード学長がそう呼んでるの。ある日大学の隣町の【リトルエンケラドス】で人魚と魔女の大きな衝突があって。いつもの喧嘩ではなく大規模な争いになったのよ。こんなこと初めてで・・・。
緊急事態だからイロード学長がその争いを収束させるためにアトランティス大学で人魚部隊を急遽結成させたのだけど・・・まさかその部隊にバブルが招集されるなんて思わなかったわ』

「どうしてバブルが招集されたの?」

『多分、バブルが【圧力の無効化】が出来るからよ。魔法が飛び交う戦いでも、相手の魔法を無効化できるわ。発せられたエネルギー自体を無かったことにできるから。でもあの時は・・・』

インフィニティは身震いをして、息を整える。
そしてカケルを見て言いにくそうに言葉を探している。

「魔女たちを殺したんだよね・・・・。列車の中でスランバーから聞いてるから、大丈夫だよ」

カケルがそう言うとインフィニティは安堵の表情を浮かべる。

『それももう知ってたのね。そう、彼女は【圧力の無効化】だけでなく、最大限に圧力を高めることもできるみたいなの。私、知らなかったけど、あの時のバブルはおかしかったわ。強力な重力波で魔女たちを滅ぼすなんてーーーカケル、私ね。思ってることがあるのだけど・・・』

「うんーーー」

インフィニティはあまり大きな声で言えることではないと思ったのか、テーブル越しにカケルの方に顔を近づけた。

『私、バブルはそんなことしないって思うの』

「僕も、そう思う・・・」

たった一度画面越しに会っただけ、それでもカケルはあの時のバブルの目が忘れられない。
宇宙に輝く星みたいにきらめくあの瞳・・・・
純粋な好奇心の塊がそのまま星になったみたいだった。

『だから何かあるって思ってる。何かが・・・』

インフィニティは語気を強める。
何かってなんだろう。カケルは眉を潜めた。

『カケル、ごめん、授業が始まるからもう行かなきゃ。』

インフィニティはトートバックを肩にかけると立ち上がる。

『カケルとフレイム1号は引き続きバブルの動向調査、よろしくね。私がリベルクロスに行くのはとても無理だけど、あなたのフレイム1号ならきっと辿り着ける気がする』

そう言ってウィンクをすると、インフィニティは大学に向かってもうスピードで泳ぎ去っていった。


「どうする?フレイム1号」

カケルはフレイム1号に向かって聞いてみる。
答えてくれるだろうか・・・
フレイム1号は両腕のマニュピレータを頭に当てて考える仕草をする。
キュルキュルという考え中みたいな機械音が止まるとフレイム1号は言った。

『ダイオウイカセンセイヲオビキヨセル』

「あっ、なるほど。そうだった•••魚屋で何匹か魚を買って持ってきたんだったね」

潜航前にフレイム1号の機体下部のトレーに収納した魚ーーーダイオウイカ先生ならバブルの居場所を知っているかもしれない、そう思いダイオウイカ先生をおびき寄せるためのエサとしてカケルが事前に購入したものだった。

ダイオウイカ先生はこのアトランティス大学に今いるか分からないけど、研究室に行ってみるのが一番近道かもしれない。
フラッシュ攻撃をしたことをまだ恨んでなきゃいいけど。

カケルは鍾乳石で出来たみたいに真っ白なアトランティス大学正門を潜り抜けた。

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あらすじと登場人物

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