アウトドアに求めるのは「手間を楽しむ」ことだ、という説明をもうちょっと深めて考える。

　みなさまもよくよく御存知の通り、川瀬智子よろしくインドア派な私だが、こないだわけあってアウトドアイベントにかかわることがあった。

　アウトドアに詳しい人に、「アウトドアの醍醐味はなにか」と聞くと「手間を楽しむことだ」とおっしゃる。

　なるほど、たしかに都市インフラに囲われた生活を日常的にしている限り、手間は最低限にすることができる。ちょっとの動きで火も水も手に入る。こんな便利なことはない。言い換えれば、都市インフラに囲われている限り、生活にかかる手間は最小限にどうしてもなってしまう。この手間の量を、あえて増やすためには、都市生活から離れる必要がある。

　しかし、手間を楽しむ、という感覚はなかなか不思議だ。それなら、例えば、家の中でガスを使わないとか、水道を使わないとかいった、いわゆる「しばりプレイ」をしたっていい。十分お楽しみいただけるはずだ。しかし、人はあえて家を離れて山に向かう。手間を楽しむ、というのはいわば通過点であって、その先がおそらくある。それは何か。