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わたしの本棚ー読書の記録ー
大人になったら、自分が今までに読んだすべての本を並べる本棚がほしいなと思っていました。
私の家にも本棚はあるのですが、そこにある本は、私が読んだ本のごく一部にすぎません。
私は、ほとんどの本を図書館から借りて読みます。
先生からは、本は買って読みなさいと言われています。
そうすれば、真剣に読めるから。
いつでも手元においておけるから。
私だって、そうしたい。
でも、今の私には、読みたい本を全部買うことはできないので、今日からここにわたしの夢だった本棚をつくることにしました。
でも、私だけのための本棚ではなく、小さなお店Art Saryo(私のnoteにある架空のお店)の本棚にしようと思います。
そうしたら、お店に来たお客様も手に取ってくれるかもしれません。
ちなみに、私の架空のお店はこちらです。
この本棚には、私が毎週読んだ本と、次の週に読みたい本を配架します。
私がこれまでに読んだお薦めの本は、これからricetta(私のお店のメニュー)として、ちょこちょこ紹介します。
気になる本があったら、ぜひあなたも手に取ってみてください。
今週読んだ本
おすすめポイント、感想、心に残った文章を思うままに綴ります。
◆伊藤まさこ『伊藤まさこの雑食よみ 日々、読書好日』KADOKAWA、2013年
伊藤まさこさんは、私の憧れの人です。まさこさんの本を読むたび、センスに脱帽します…私もこんな大人になりたい。私の読書も雑食だな。読書案内でありながら、図書館や本屋さん、絵本の原画展、本の筆者さんを訪ねる旅行記のようでもあります。
◆塩野七生『行き方の演習ー若者たちへー』朝日出版社、2010年
教養は、イタリア語ではクルトゥーラと言います。この言葉の語源であるコルティヴァーレという言葉になると、「耕す」という意味です。他のことをやっている、そういう人たちの仕事も、自分は知りませんなどと言わずに、好奇心を働かせて、理解する。そうすると、自分の専門技術だけでは達成できなかったことも達成できるかもしれない、ということなんです。(pp.46-47)
人々がみんな全部一緒というのではなくて、ぼくはこれをやりたいからこれをやる。私はこれをやりたい。そういう形で仕事を選んでいって、その苦労に応じて適切な処遇があればいいんです。女性だって、今は職業をもつのが当然のように言われていますが、何も女は職業をもたなきゃいけないなんてことはない。(pp.59-60)
イタリアの歴史小説と言えば、塩野さんですね。この本は、塩野さんが日本の若者に語りかけた本。真の教養をもつ塩野さんが語る「教養」は、ものすごく説得力がありますね。
自身はバリバリの仕事人である塩野さんから、女性は職業を持たなくてもいいという言葉が出るのは意外な気もしますが、その言葉を読んで、みんなと一緒じゃなくてもいいんだと少し気が楽になります。
◆益田ミリ『週末、森で』幻冬舎、2009年
私は、本を図書館から借りるとき、難しい本だけを借りないようにします。ふっと息を抜きたいときもあるから。益田ミリさんのマンガは、一見するとゆるふわな印象ですが、醜い感情も掬い取って、浄化してくれる、すごいマンガばかりです。
◆星野道夫『アラスカの詩 夢を追う人』新日本出版社、2011年
以前、星野道夫さんの美術館に行きましたが、その言葉と写真にすっかり魅了されてしまいました。星野さんの言葉に触れたいと思って手に取った本です。
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で観ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって……その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」(pp.47-50)
アラスカの写真を撮り続けた星野さんが友人と話したときの言葉です。写真や冒険譚もすばらしいのですが、何気ない言葉に星野さんの優しさ・強さが溢れています。私は、ときどき、無性に星野さんの言葉に逢いたくなります。
◆宇野重規、東浩紀、原研哉、堀江敏幸、稲葉振一郎、柴田元幸、中島義道著『創造するということ』筑摩書房、2018年
現代社会を悲観的に捉えることはいくらでもできる。でも、それだけじゃなくて、この現代だからこそできること、新しい可能性を各分野の専門家たちが語っています。
文系的な知っていうのは、最初に領域横断的なものがなければならない。(p.55)
日本の文化の背景には「空っぽ」がある。(p.73)
創作にはゴールはありません。あるのは常に過程だけなのです。(p.114)
どういうこと?と思った方は、この本を読んでみることをおすすめします。ちくまプリマ―新書は、すごくわかりやすく書かれているものが多いですね。私は、難しいことを、わかりやすく語ってくれる本が大好きです。
◆宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』岩波新書、2010年
この本を手に取ったのは、この著者が、日本学術会議で任命拒否された一人だったからです。政治に疎い私ですが、この本も「難しいことをわかりやすく」語ってくれる本だなと思います。
本を読む限り、政治を身近な問題として捉えなおさせてくれるこの本の著者が任命拒否されるべき理由は見当たらなかったです。
◆平野啓一郎『私とは何か「個人」から「分人」へ』講談社、2012年
この本は、ずっと前にフランス語の先生が紹介してくださった本です(フランス語とはほとんど関係ありません)。読まずにいたことが悔やまれるくらい良い本でした。
たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。(p.7)
そんなの当たり前のことでしょ、と思う方もいるかもしれません。でも、この考え方をできているようで、本書を読むと、本当は全然できていないことに気づきます。
ありのままの自分でいたい気持ちと、相手に受け入れやすい自分でいたい気持ちは、本当は矛盾しません。どちらかが「本当」で、どちらかが「嘘」じゃなくて、きっとどちらも本当の自分なんだ、そう考えるだけで、いろいろなことがうまくとらえられるようになります。
自分自身についてはもちろん、他者との付き合い方も考え直すきっかけとなる本でした。
来週読みたい本
◆ウィリアム・J・バウズマ『ルネサンスの秋 1550-1640』(澤井繁男訳)みすず書房、2012年
◆オルガ・トカルチュク『逃亡派』(小椋彩訳)白水社、2014年
◆『ギリシア悲劇Ⅰ アイスキュロス』(高津春繁訳者代表)筑摩書房、1985年
◆『ギリシア悲劇Ⅱ ソポクレス』(松平千秋訳者代表)筑摩書房、1986年
読み進めたい本
◆江川泰一郎『英文法解説』金子書房、1991年
◆宍戸里佳『基礎からレッスンはじめてのドイツ語』ナツメ社、2017年
附記
明日は、読みたい本を消化するため、ほぼ毎日noteはお休みします。
明日更新する予定だったricettaは、昨日更新したので見てみてください。
それでは、みなさんよい週末を!Buon weekend!